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本邦初公開!パーソナルコーチ中西哲生が“グループ指導”で進化した最強メソッド|サッカーパパ・ママが知るべき最先端理論

6月22日・23日に開催された「WHITE BOARD CONFERENCE」では、「親が変われば、子供の未来が変わる」をテーマに、日本トップクラスの講師陣が登壇。世界で戦う選手の育成に必要なメソッドやマインドを余すことなく伝えた。

6月23日のセッション4、カンファレンスの最後に改めて登壇したのが中西哲生だ。久保建英(レアル・ソシエダ)や長友佑都(FC東京)らを世界で通用する選手へと導いたN14中西メソッドは、筑波大学と堀越高校での指導を経てさらに進化を遂げている。アップデートし続ける独自のメソッドの本質が示された。

個人だけでなく「グループ」にも適用するメソッド

中西哲生が一言一句を大事にしながら進化する独自メソッドの本質を伝える。参加者は前傾姿勢で耳を傾け、目を凝らしながら、記憶に残そうと思い思いの行動を起こす。「最高峰の学びを、すべての人に」というコンセプトのもと2日間にわたって開催されたホワイトボードカンファレンスの最後に、相応しい時間が流れた。

講義のテーマは、「筑波大・堀越高校で実践するN14中西メソッド2.0」。中西はこれまで久保建英(レアル・ソシエダ)や長友佑都(FC東京)ら選手個人の進化にフォーカスし、パーソナルコーチとして活動してきた。しかし、2023年に転機を迎えていた。3月末に筑波大学蹴球部テクニカルアドバイザーへと就任し、7月からは堀越高校で臨時指導を務めるようになったのだ。

前述のように選手個人と向き合い成長を促してきた日本サッカー屈指のパーソナルコーチが、チーム(組織)と交わる。実際の指導では、どんな変化があったのか。

「パーソナルトレーニングでは、選手が具体的にどのように進化するのかを突き詰めてきました。(堀越高校での)グループトレーニングでは個人指導でやってきたことをグループ全体にどう落とし込むか。効率良くする方法を編み出しました」

筑波大では全体練習後に、中西との“自主トレ”の時間が設けられている。テレビやラジオをはじめ、指導者以外の仕事を数多く抱えているなか、中西は全体練習の時間からグランドに向かう。そして、全体練習中には球拾いなども率先して行い、トレーニングをサポートしているのだ。

「選手がどんなプレーをしているのか、得意不得意をポイントにチェックしています。ボールを止めて蹴る動作は、右足で止めて左足で蹴る、右足で止めて右足で蹴るなど、左右の足を組み合わせると4通りある。それらがすべてできないとダメだから、そこを重点的にチェックしたり。あとは、クセを見破る時間でもあります。利き目がどちらなのか。ターンを見て、苦手な方向で判断しています」

満遍なく観察し、選手の体の使い方の特徴やクセをインプットして、それを基に、選手にアドバイスする際の“声掛け”に活用していくのだ。

「利き目」という不慣れなワードが出てくると、進行役を務めた主催者・北健一郎が判別方法を問う。中西は顔の前に両手で円をつくり、両目で見た状態でペットボトルを円に収め、それを片方の目だけで見た時に円に収まったまま見えるのが利き目であることを伝授する。会場内で実演タイムが始まった。

全員で確認した利き目が、どのようにプレーに影響を及ぼすのか。人の体の仕組みや“黒目の性質”を踏まえた解説など、興味深い話が尽きなかった。

学生の成長意欲からも学ぶ

明日から実践できる体の左右のズレを矯正する、日常生活における所作の重要性が説かれるなか、筑波大と堀越高校での指導で大切にしていること、実践していることが以下の4つの観点で紹介された。

①状況に対しての理想
②どう取り組んだか
③そこから得た学び
④新しく生まれたトレーニング

筑波大と向き合うことで学んだ自己肯定感をアップさせて自信を身につける方法や、N14中西メソッドの代名詞の一つでもある「軸足抜き蹴り足着地」を使ったシュートのメリットや練習メニューの実演解説など、濃密な時間が続いた。

終盤には、“トレーニングでの順序を変える”というN14中西メソッドにおける大きな変化があったことを明かした。

指導の出発点として、「ネガティブな事象をどうやって取り除くか」を考えていることから、本人に「動きを刷り込ませて自動的に発揮できるようになる」ためにどのように構築していくかなど、指導の考え方の根幹をアップデートし続けることで、この唯一無二のメソッドは進化し続けているのだ。

久保のカットインシュートや長友のクロスなど、中西の指導が攻撃的なプレーで効力を発揮してきたことはさまざまなメディアなどで紹介されてきた。しかし、まだそれほど焦点が当たっていない「守備対応」への効力も紹介された。

「筑波大2年の小川遼也(富山U-18出身)は1年の時、トップチームに所属していたものの、試合に出る機会はほとんどなかった。でも、右足も左足も素早く出すなど体の使い方のトレーニングを1年間、徹底的に続けると動作が急速に自動化し、2年生になってからはレギュラーになりました。左右への移動がとにかく速く、右足でも左足でもボールを奪えるようになった。利き目のトレーニングも積んでいたので攻撃の運ぶプレーも伸び、信じられないほどの進化を示してくれました」

筑波大では中西が教えるだけではなく、学生から教えられることもある。その一つが「後頭下筋群」だ。これはピント調節を司る筋肉で、中西に利き目の話を聞いた学生が状況把握を含めた認知の質を高めるために調べて見つけて伝えてきた。大学生の強烈な成長意欲からは「本当に彼らはすごすぎる」と刺激をもらい、中西自らも指導者として成長していることを実感しているようだ。

最後は本カンファレンスの締めとして、中西が重要視する成長のヒントを伝えた。

「思ったことをすぐに口にするのではなく、子供の成長にとってそれが言うべきなのかどうかを考えて、一度言うのをやめることも必要です」

プレーだけではなく言葉を“キャンセル”することの大切さも述べ、割れんばかりの拍手のなか2日間のホワイトボードカンファレンスは幕を閉じた。

【冒頭4分公開 #08】
中西哲生「筑波大・堀越高校で実践する N14中西メソッド2.0」

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