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例の漫画・映画館編


 皆さん、こんにちは。映画館大好き腹肉ポンポンさん、木賃もくちんふくよし(芸名)です。
 ええと。近頃はツイッターなどでタイトルのない漫画がバズったり、作者や作品名はあるんだけど、色んな事情から、


 「微妙に言及しづらい作品」


 ってのが増えてるように感じる。
 要するに、手放しに賛同も出来ないし、晒して糾弾もしづらい。間違ってないから否定はできないけど、正しいとも言えないから肯定もできない。
 一言で断ずるには誤解が生じるし、きっちり説明すると文字数が足りなくなる事は明白。
 そう言った複雑な事情を抱えると、微妙に言及しづらくなって、


 「話題になってる『例の漫画』の話だけど」


 とボカしてしまい、色んな意味で追求が困難になる。そーゆー現象が今までに何度かあった。

↑  前例  ↓



 今回のはキーワードや事象がわかりやすかったので発見しやすかったのですが、これも近しい例だと感じている。

 発端は、とある漫画作品である。
 作者がかつて体験した映画館での出来事。

 チケット売り場で働いていた作者が、女児向けアニメ「プリキュア」の大人チケットを1枚くれ、というキモオタに遭遇する。
 「女児に囲まれている席にしてくれ」というキモオタに対し、作者は本能的危険を感じ、機転を利かせ隅っこの席に案内するも、あらましを上司に報告すると、


 「それ差別だから」


 と逆に怒られ、モラルハザードが起きてしまった、というもの。
 大半のオタク客は周囲に配慮しているし、周囲に確認しても「上司の方がおかしいし、女児の安全を考えたら間違ってない!」という意見が殆どだった。


 という話なのだが、作者(店員)、上司、客(キモオタ)、この漫画を賞賛している人、批判している人、その全員が色々ズレている。
 無論、この話が全て、ある程度の事実に則っているとしての話だ。

 まず、店員の立場として、


 顧客情報を漏洩するのは
 コンプライアンス違反です。


 職業倫理として、基本的に間違っています。昭和の御代ならいざ知らず(プリキュアは平成以降)、他の客の情報を漏らすのは有り得ない。
 そもそも、映画館は女児斡旋サービスを目的としていない。

 「そういったサービスは行なっておりません。他のお客様のプライバシーに関する情報も開示できません」で済む話なのである。

 で、だ。
 オーケー。本能的危険を察知したんだな。うむ。わかる。わかるよ。
 どうしても生理的に受け付けないとか、「あ。コイツはヤベー」ってヤツいるよな。わかる。わかるとも。ワタクシだってそう思うコトはあるもの。

 けど、それでも、ダメなんだよ。
 それは上司の言う通り、差別なんだよ。見た目で「あいつキモいからチケットを売らない」は差別なんだ
よ。見た目がヤクザみたいで怖いから売らないなんてのは完全に差別です。ヤクザでも、違法行為なしに断る事は原則的に不可能。
 え? 女児目的と言ってるから差別じゃない? 断っていいだって?

 ほう? 映画館には映画を楽しむ奴しか行っちゃいけないなんて基準は何処から生まれたんだ?
 映画の物語を楽しむファンがいてもいい。主演の女優が好きだから行く奴がいてもいい。ん? 映画の楽しみと女児は関係ないだろ?
 ふむ? 映画館のポップコーンが楽しみで映画館に行っちゃいけないのか? 映画館の暗がりで眠る事が楽しみで行っちゃいけないルールはあるのかい?
 昔は映画館が入れ替え制じゃなかったから、¥1300(1980年代前半)で、今で言う漫画喫茶的な使い方をする人も少なからずいた。

 言うと問題になるかも知れないが、ポルノ映画館に「手コキのサービスをしてあげる」って名目で、観客の男性器を目的としてるホモのおっさんとかいた訳だ。
 このホモのおっさんのサービスを受け入れる観客がいるというケースは置いておいて、拒否する or 許可なく触ってきたら、そりゃ普通に警察案件である。
 まあ、ポルノ映画館(場合によってはハッテン場のケースもある)なのだから仕方ないか、みたいな空気があったかどうかの話は置いておいて、普通に警察案件なのだ。犯罪なのだから。

 そういう意味において、同一視したくない気持ちはわかるが、残念ながら、

 「女児に囲まれる事が目的の客」であっても差別は許されないのである。それをキモいと思うのも自由だ。しかし、どれだけ気持ち悪くても、犯罪者でもないのに不当な扱いをする事は許されぬのである。
 逆に言えば、見た目が綺麗な女子大生であっても、隣の席の女児にちょっかいを掛けたら警察案件。残念ながら、線引きはそこでしか出来ない。
 自分が経営者なら追い出す権限もあろうが、残念ながら、「お前の見た目がキモいから商品を売らない」と言ってはいけないのである。
 例えば、八百屋の従業員だとして、「お前の見た目がキモいから野菜は売らない」って置き換えれば、それがどれほど差別的か理解できるだろう。


 もうひとつ言おう。


 「このカボチャは食べません。中をくり抜いてマスクにするんです」

 って表明があったとして、

 「食べないんなら売らない!」となるだろうか?

 いや、それが自分の店なら好きにすりゃいいけど。

 さらに言おう。
 「このメロン、穴を開けて〇〇○を突っ込む為に買います!」と言われても、売らない理由にはならないのである。


 ただし、この場合はフツーにセクハラとして対処できるが。


 結局、店員側としては「そのようなサービスを行っていない」「顧客情報は明かせない」が波風を立てずに返す方法である。それでも子供の守りたい、例えばそれが差別であっても、誤解であっても、子供を守る事を優先するなら、自己の責任として「不審者が来た」と警察に連絡するしかないのだ。警察が大ゴトだと思うなら、相当不審な奴がいるとスタッフに情報を回すだけでもいい。

 で。客側もおかしい。色々とおかしい。
 例えば人形を買うとしても、わざわざ、


 (゚∀゚) 「この人形、切り刻むために買うんですよ」


 とか言う必要はない。それが事実か否かは知らんが、不必要な情報である。
 つまり「女児に囲まれたい」とか言う必要はない。不審者扱いされても仕方ないのである。
 誰が女児アニメを好きだろうと、女児アニメ好きの女児が好きだろうと、そんなのは自由だ。
 ワタクシにとっちゃどれだけキモくても、迷惑行為がないなら知った事じゃない。その為の映画館の暗がりである。ハッキリ言って、スマホをつけたり、ボリボリ音を立ててモノを食う奴の方が迷惑なのだ。
 そりゃ、見た目がキモいのも、体臭がクサいも迷惑だろう。残念だが、そう思われたり、実際に体臭が迷惑になってる可能性もあろう。
 それでも、何らかの能動的アクションで一線を越えない限りは、不当な扱いを許すべきではない。

 なのに、わざわざ不審に思われる行動を取る時点で根本的に間違ってるとしか言えないのである。

 んで。中では一番真っ当な行動を取っているのが上司だ。
 「それは差別である」「親が付いてるのにコトを起こすバカはいない」という冷静な判断である。
 だが、それならどうして、


 「慌てないで。見た目の気持ちが悪くてもコトを起こすとは限らないし、親御さんが付いてるから滅多な事は起きないよ」


 「でも、よく報告してくれたね。○番シアターの○の席付近には、気を配っておく。他のスタッフにも注意を促しておくよ」


 「あと、それは捉え方によっては差別と言われてクレームの対象になるから、気を付けて」


 「そーゆー時は、顧客情報は明かせないって言えばいいから」


 と言ってあげられないのか、って事なのである。
 そして何より、この漫画を「例の漫画」のような存在にしてしまうのが、賛否両論の読者様方の面々であり、いわばワタクシもその1人だ。

 ツイッターなどの媒体は文字数制限の問題もあるのか、とかく意見が両極化しやすい。しかも文章が短いから読解力不足も手伝って、

 石の投げ合いが始まるのである。


 しかも今回は、店員・上司・客の三つ巴に、それぞれの支持者サイド、そしてSNS独特の意見が合わない奴は敵サイド、というジェノサイドが起きるのである。
 そして、本筋からズレた意見や、逆張りすればいいと勘違いしてる勢まで入り乱れて、割と見ていられない。※ 見た限りでは店員の対応が悪いが最大勢力と思われる。


 中には、券売機で買えよ!派などが存在し、駅の改札が人力だった時代とか信じてもらえなさそう。そもそも席指定もなかったし、人気映画は立ち見も普通だったんだよな。

 他にも「コイツはプリキュアファンじゃないから叩いていいよ!」派とか。いや、プリキュアのアンチにも映画を見る権利はあるだろ。前述のように目的が(犯罪でない限りは)何であっても入場を断る理由にはならんよ。

 作者が嘘つき説。どうやらこの作者は以前にも映画館の利益について誤ったツイートをした経緯があるらしく、それについては削除・訂正・謝罪しているにも関わらず「今回もどうせ嘘」とする派。
 たった一例の誤り(しかも謝罪済み)で全てを見抜けるとは、さぞかし聖人君子なのであろうとお見受けする。
 なお、ワタクシは「危うき」なので近寄らない方がイイですよ。あなたに間違いがないか、それをちゃんと削除・訂正・謝罪したか、そして謝罪した過去があっても糾弾しちゃいますから。

 てか、そもそもそれがドキュメンタリーであれ、作品に意図や恣意や嘘が入らないなんて事は有り得ない。


 自分からはこう見えた!

 を100%にしても、
 嘘や間違いは混じる。


 草食動物と肉食獣の視点で、真実は違って見えて当然なのである。

 そして、極めつけがコレ。



 

 そんな客おらんやろ。




 (´°∀°)」 いるんだわ、コレが。



 ワタクシは接客業を30年近くやってたし、接客業の知り合いも多いから、そりゃもう、


 (´°Д°)」 何言ってんだコイツ?



 って客はいる。ホントに有り得ない客はいる。この話が本当かどうかは知らんが、この程度なら確実に存在している。
 てか、普段はクレーマーが! キチ隣人が! メンヘラが! モンスターペアレントが! って話は鵜呑みにしてるのに、急にこの話だけ「そんな客おらんわ」と断じる理由は何だ? それこそ、



 (´°Д°)」 何言ってんだコイツ?



 って話である。
 ミイラ取りがミイラに、なんて言うけれど「差別主義者糾弾」という名目で正義の鉄槌を頭上に掲げちまうと、振りおろす場所を探す差別主義者になってしまうモノなのである。

 最終的に、振りおろすのは自分のアタマしかなくなるだろう。
 だから、そうならないよう、武器は安易に振り上げない方がいいって事だ。



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 なお、この先にはちょっとイヤ〜な話が書かれてます。


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(´・Д・)」 文字を書いて生きていく事が、子供の頃からの夢でした。 コロナの影響で自分の店を失う事になり、妙な形で、今更になって文字を飯の種の足しにするとは思いませんでしたが、応援よろしくお願いします。