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【一分大学講義】心のノートとハインツのジレンマ前編(パロディ教育心理学:2)


教授「道徳性は子供の成長と共に育っていくと思いますか?」


今回の講義のテーマは「道徳性の発達」です。

子供が社会的に成長していくにつれて、彼ら彼女らの「道徳性」は果たして成長していくのか。もし成長するなら、一体どのように成長していくのかを学びました。

これはこれは難しいテーマですね。。道徳性の成長。。


心のノート


「道徳」「成長」という言葉を聞いた時、ぼくの頭の中にふと思い浮かんだのは「心のノート」という単語です。

ぼくと同じくらいの世代の方もそうだと思うのですが、小学校のころ「道徳」は一つの科目でした。国語、算数、理科、社会の並びの中にしっかりと「道徳」の二文字があったんです。

たしか、一週間に一回くらい授業があったのかな。その道徳の授業の教科書、それが「心のノート」だったんです。

(これが心のノートです。あぁ懐かしい。今は改定されて、「私たちの道徳」という名前に代わっているらしいです。う~ん、正直「心のノート」の方が良くない?)


小学生のころのぼくは中学受験の勉強をしていたこともあり、優等生キャラで売っていたんですよ。歴史とか算数とかが得意で、通信簿の成績も非常に良かったです笑。

でね、「道徳の成績がいい」って何か親からほめてもらえそうじゃないですか! なので、道徳の授業も気を抜くことなく真剣に受けていたのを覚えています。

でも、「道徳」って中学受験の教科にないんですね。進研ゼミでも教えてくれないし、Z会にもない。だから、心のノートは正にバイブル、道徳でいい成績を取るための聖書だったのです。

当時のぼくは、心のノートをそれはまぁ真剣に読み込んで、空欄を書き込んでいた記憶があります。「道徳の評定、絶対5を取るぞ!!」という風に。


そして猛勉強の結果、道徳のテストで見事クラス一位をゲットしました笑


それはおめでたいことだけど、その分ぼくがクラスで一番道徳的な小学生だったかと聞かれると絶対違いますよね笑。「親に褒められてぇー」という邪な考えのみを原動力としていた当時の僕には、道徳性のかけらもありませんでした。

でもね、実際、道徳性ってどうやって図るんだという感じがしませんか?


「たかが心のノートなんぞで道徳性が分かってたまるか!!」

そんなロックなことを言っていた小5の同級生もいました。正に彼女の言う通りで、(あ、その子は女の子です。)それぞれの子供が持つ道徳性を図ることは至難の業です。少なくとも心のノートの理解度テストなんかで分かる問題ではありません。


ハインツのジレンマ


さて、当時のぼくの例を見てもわかる通り、子供の道徳性を図るという課題は非常に難しいものです。

ですが、この課題に一つの答えを出した、コールバーグという心理学者がいます。「私の手にかかれば、子供の道徳性は図れますよ」と。

ではどうやって図るのか。彼によると、なんと「ある物語に対する感想」を子供に聞くだけで、その子の道徳性を図ることが出来るというのです。

オイオイ、そんなスーパー物語があるのか!!心のノートいらなかったやん!

というわけで、以下がその物語、『ハインツのジレンマ』です。これを読んでいる人の中に小学生の方は少ないとは思いますが、皆さんも是非「自分がどう感じたか」を意識しながら読んでみて下さい。


1人の女性が病気で死にかけていますが、ある薬によって助かる可能性があります。
それは、同じ町に住む薬剤師が開発したものです。
薬剤師は、その薬を作るのにかかった費用の10倍の2000ドルの値をつけました。
女性の夫ハインツは知り合い全員にお金を借りましたが、費用の半分しか集められませんでした。
ハインツは自分の妻が死にかけていることを話し、安く売ってくれるように、
さもなければ残りを後で払えないかと薬剤師に頼んでみました。
しかし、薬剤師の返事は 「ダメだ、私がその薬を発見したんだし、
その薬で金儲けをするつもりだからね」 でした。
ハインツはやけを起こして薬局に押し入り、妻のためにその薬を盗み出しました。


さて、皆さんはどんな感想を持ちましたか?

コールバーグはこの『ハインツのジレンマ』を読んだ感想を6タイプに分け、それぞれをランキング付けしました。この感想はとても道徳的だ、こちらの感想はあまり道徳的ではない、というように。

実はこの段階的な分類、中々に厳しいものです。下手をすると、ぼくのような大学生だけでなく、社会人の方々も「道徳性がない!!」と言われてしまうかもしれません。

というわけで、次回それぞれの分類を紹介していきますね~

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