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ブックレビュー:仕事の思想

本当にいい本というのは、具体的なことを何も教えてくれない。
ドラッカーもカーネギーもピケティもそうだった。しかしそれゆえに汎用的であり、より多くの場面で解釈を変えながら応用することができる。

具体的なことが書いてあるわけではないから、具体的に現実をどうするかはわたしにゆだねられている。
そこもいい。本当にわたしが困ったときに、わたしを助けてくれるのはわたし自身でしかないのだから、理にかなっている。

ただこの本は、優しく背中を押してくれる。見守っていてくれる。
50年先から、30年先から、20年先から、離れたところから小さな声でエールを送ってきてくれる。それは遮るもののない遥か彼方の宇宙から届く光となって、現在のわたしたちの目に光を宿す。

いつかわたしもそのようになれるだろうか。
いつかわたしの声も誰かに届くだろうか。

わたしたちは昔よりずいぶん賢くなったけれど、
宇宙の彼方を見渡すことは依然できないのだから、
その声は多くのそれと同じように小さく響いたあと闇の中に消えていった。

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