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【渡辺皓太インタビュー#1】横浜F・マリノスの主軸に成長。本格開花の1年を振り返る「何としても優勝したかった」【無料記事】

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オフシーズン企画第2弾は…

 飯倉大樹選手のインタビューで始まったオフシーズン企画。第2弾は「渡辺皓太選手インタビュー」となります。

 横浜F・マリノスで迎えた5シーズン目、ついにチームに不可欠な選手となり、リーグ戦全試合出場を達成した渡辺選手。すでに契約延長も発表され、来季も中心選手として大きな期待を背負うことになります。

 そんな渡辺選手に2023シーズンを振り返っていただいたインタビューを3回に分けて掲載します。なお、飯倉選手のインタビューと同様に「#1」のみ無料記事で、「#2」以降は定期購読マガジン会員向けの有料記事となります。

 今回の「#1」ではシーズン全体を振り返るとともに、渡辺選手自身の変化について語っていただきました。それではインタビュー本編をお楽しみください。

飯倉大樹選手インタビューはこちら

時を経て立場が変わったからこその「優勝」への想い

(撮影:舩木渉)

――2023シーズン、お疲れ様でした。残念ながらリーグ優勝は果たせませんでしたが、渡辺選手にとっては横浜F・マリノスに加入してから最も多く試合に出場したシーズンになりました。この1年をどう振り返りますか?

F・マリノスに加入した2019年は、「なんか優勝しちゃったな……」とリーグ優勝の実感が全くありませんでした。シーズン中盤まで試合に出られない時期もあった昨年は、終盤に継続して試合に出られるようになって、少しは優勝に貢献できたかなと思っていました。そして、今年はシーズン開幕からずっとスタメンで試合に出させてもらって、優勝できたら本当の意味で喜びを感じられるんだろうと思っていました。だから何としても優勝したかったし、2位で終わってしまったのは本当に悔しいです。

――F・マリノスでリーグ戦全試合に出場したのはアンデルソン・ロペス選手と渡辺選手だけでした。さらに34試合のうち33試合で先発し、チームで2番目に長い2725分間出場しました。これまで地道に積み上げてきたものが一気に花開いた印象です。

自分のプロキャリアの中でも最も長い時間プレーできたシーズンのような気がしています(※筆者注:実際は東京ヴェルディ時代の2018年に記録した36試合2776分間が最長)。開幕から最後まで試合に関わり続けられたのも、たぶん今年が初めてです。

2019年にF・マリノスに来た頃はフィジカル的にもメンタル的にもこのチームの基準に達していなかった。まず普通の筋トレだけでもキツかったですし、チーム練習をこなすだけでヘトヘトになっていたくらいで、プレー強度や体づくりの部分に大きな課題を感じていました。

東京ヴェルディのユースからトップチームに昇格してプロになり、F・マリノスに来るまでは自分の身体とあまり向き合ってこなくて、ボールコントロールやテクニックで勝負してきたところがありました。でも、F・マリノスに来たら、それが全く通用しなくて、何もできず「これはマズいぞ」と感じて、少しずつ自分の身体と向き合うようになりました。

今に至るまですごく時間はかかりましたけど、まずフィジカル面の土台ができたことで、ようやくサッカーのことを考えられるようになりました。そのうえでF・マリノスのサッカーを理解し、自分の感覚がどんどんフィットしていったのが昨年から今年にかけての流れだと思います。

ボランチとして本格開花。「成長を感じている要因」とは?

(撮影:舩木渉)

――昨季終盤からのいい流れを継続するために取り組んだことはありますか?

確かに昨年は秋ごろからすごくいい感覚があって、そのままの状態で次のシーズンに入りたいと思っていたので、オフシーズンにこれまでとは違うことをしてキャンプに入りました。具体的にいうと、今まではしっかり休んでから新しいシーズンに入る感じだったんですけど、今季に向けては個人で例年よりも早く始動して、フィジカル面を重点的に鍛えました。

オフシーズンの過ごし方を変えたことが負傷の少なさにつながっているかどうか自分ではわからないですけど、そこでの貯金はかなり大きかったと思います。いい形でシーズンに入れましたし、昨年からのいい感覚を1年通して持続させることができました。

――昨季後半戦から継続して出番をもらえるようになりましたが、今年も立場が安泰というわけではありませんでした。前半戦は藤田譲瑠チマ選手もいましたし、山根陸選手も急成長している中で競争を生き残るには成長し続けなければなりません。さらなる進化のために、どんなことに取り組んできたのでしょうか。

ずっと課題だと感じていたのは、ビルドアップへの関わり方でした。僕はF・マリノスに来るまでボランチでプレーした経験がほとんどなく、ヴェルディ時代は主にトップ下で使われていました。なので、前の方でボールを受けた時の狭いスペースでのプレーや攻守の切り替えのところは感覚的にできていて、ボールを失った後のプレスやボール奪取には対応できたんですけど、ゲームコントロールが難しかった。

やっぱりサッカーをしっかり理解していないとビルドアップに効果的に関われないですし、これまでは自分のところからチーム全体を動かすことができていなかったなと。でも、今季は「相手がこう来たらこう組み立てていこう」という理解や柔軟性がシーズンを通して深まっていった実感があって、それが成長を感じている要因ではないかと思います。

シーズン開幕後にチーム戦術が変わって…

――F・マリノスでは今年4月にビルドアップのやり方を大きく変えました。これまでとは全く違う戦術にも対応できたのは、サッカーへの理解が深まったからこそですか?

いや、シーズン中に新しいことをやったので、全員にとって一からの挑戦でした。あの戦術変更によってチーム全員の新しいサッカーを理解しようという意識がグッと高まった感じもありましたね。

少しうまくいっていない時期に戦い方をガラッと変えたことで、選手たちの目の色が変わったし、みんながマスカット監督の要求を必死に理解しようとして、自分もそこにうまくフィットできた。なので、僕個人の変化どうこうではなく、選手全員の意識の高さが戦術変更に対応できた要因だと思います。

――岩田智輝選手や仲川輝人選手、高丘陽平選手など多くのキープレーヤーが抜けて……

<インタビュー#2に続く>

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