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【おひとりさまレベル向上のススメ】「観覧車に一人で乗った女」になれたという話。

唐突に自慢するが、私はぼっちスキルがかなり高い。
勿論上には上がいるはずだが、「”おひとりさま”でどこまで行けるか」の話で対決した場合、私の狭い交友関係では常にぶっちぎりの1位である。
なんせ、遊園地の観覧車に一人で乗ったことがある。JR桜木町駅近くの、デジタル時計の付いたアレだ。

当時ぺーぺーの社会人だった私は、来る日も来る日も残業ばかりで、毎日その観覧車を眺めながら、絶対いつか乗ってやる、あの観覧車が営業終了する前(平日は21時)に間に合うように仕事上がって、帰りに乗ってやるんだ!!と謎の決意を抱いていた。そして、ある日早く上がれたので本当に乗った。結構寒い秋の夜だった。平日ど真ん中だったためか結構空いていて、前後合わせて5組ぐらいのカップルが並んでいただけだったが、私は堂々と腕を組んだ仁王立ちで彼らの間に並び、無意味に威圧オーラを出しながら順番を待った。係のお姉さんたちに「一人です!」と高らかに宣言した時、彼女たちが確かに一瞬怯んだのを覚えている。
観覧車自体には思っていたほどの感動はなかったが、観覧車を降りた私は、小さな夢を叶えた達成感に満ち溢れながら、夜の遊園地の外周を散歩したあと、ごく普通に帰宅した。漠然とした自信喪失から解き放たれて、自分が何者かになれた気がした。
実際にあの夜、一周たった15分、1000円足らずの料金で、私は誰に対しても胸を張って自慢できる人間になれたのだ。「遊園地の観覧車に一人で乗った女」に。

ドヤァ!!

……と、良い話っぽく書いてみたが、まぁ流石に「一人観覧車」は多少の勇気が要った。
ともあれ今でも私は、牛丼、ファミレス、ラーメンあたりはごく普通に一人で行くし、ヒトカラも一時期常連だったし、ライブだろうがFF14のコンセプトカフェだろうが(一緒に行ってくれる人を探すのが面倒なので)最初から一人で行く派だ。

なお、下のページの「おひとりさまレベル」で言うと遊園地はレベル9らしく、私がやったことがある中では、やはり観覧車が一番ハイレベルっぽい。


ちなみに今まで一番恥ずかしい思いをしたのは、学生時代に行った焼肉(おひとりさまレベル6)である。
いちいち注文するたびに、
「グレープソーダ1つ入りましたぁ!」
「グレープソーダ1つぅ!」
「「「はいよろこんでぇぇぇ!!」」」
「牛タン塩一人前ぇ!」
「牛タン塩一人前よろこんでー!」
「「「はいよろこんでぇぇぇーーー!!」」」
とやられたのは、他の客が二組しかいなかったとはいえ、結構、いやかなりきつかった。アウェイ感に飲まれて居たたまれないあの感じ、分かってもらえるだろうか。テンションが違いすぎるのだ。こっちは一人で完全に素で、向こうは集団の圧力で全力ハイテンションをぶつけてくるのだもの。
それでもきっちり金額を計算しながら食べ、お会計1200円の所を、そもそもの目的だった1000円引きの携帯クーポンを使って200円だけ払って帰ってきたので、私の勝ちという事にした。羞恥心と引き換えにタダ飯を食らった感じである。
ついでに言うと、その次に携帯に来たクーポンは500円引きにグレードダウンしていた上に、お会計2000円以上の場合のみという、非常に厳しい制約がついていた。まるで「そこのお前!そうお前だよお前、この間来ただろ!お前みたいな奴はもう来んな!!」と名指しで糾弾されているのかと錯覚するようなクーポンだった。
ケッ、もう行かねぇよ!!と内心捨て台詞を吐いて、私はそれ以降「一人焼肉」は自粛して、20年経った今まで一度も行っていない。まぁ普通にそれなりに高いしね、焼肉。別にいいよ、スーパーで買った牛タン焼いて食ってるから。いつもありがとう「べこ正宗」、もっとしょっちゅう半額になってくれていいのよ。

何の話だっけ。そうそう、おひとりさまだ。

で、私は昔から割とそんな風なので、常日頃から「自分は行動力がある」「何でも出来る人間だ」的なドヤをしまくっている自分の母のことも、私が出来る程度のことは出来るのだろうとなんとなく思っていた。
のだが。

先日、母が食事に行こうと言い出したのを、名物メニューが野菜っぽいし、面倒くさいので断ったところ、母がゴニョゴニョと言い出したのである。

「だってこういう所、一人では行けないじゃない?」と。

ちなみに行先はごくごく普通の、商業施設に付随したレストランである。
私の理屈では、行けない理由は何一つない。行きたいか行きたくないかは別として。

行きたいなら行けばいいじゃん、と私が言うと母は「友達を誘ってみる」と言い残して、心なしかションボリと立ち去った。
真面目に、一人では行けないらしい。

へーーーー!!!そういうもんかーーーー!!!

私は謎の達成感に満ち溢れ、高揚した。
焼肉とか観覧車ならまぁ、行けなくても仕方ないと思うのだが、ファミレスレベルでも入れない奴、こんなに身近にいたのかーー!である。
やべぇ。ドヤりたい。観覧車の話、多分母にドヤったことない。追いかけ回して「m9(^Д^)プギャー!」したい。

世代の違いもあるかもしれないが、私の周囲の女子でも「ファミレスも無理」という子は、ほぼいない。男女比率の問題で、牛丼やラーメンに行きにくいと感じる子はいるだろうけれど。
しかし母のあのリアクションでは、下手をすると「マックのイートイン」すらダメな可能性まである。

えーーーー!!マックも行けないのーーー!?うっそだぁ!!!

と、指を指して笑ってやりたい。がははははは。
性格悪くてすみません。いや、実際にはやってないので許して。

まぁ、人間何事も、得意不得意がある。
そして「おひとりさま」レベル向上のために必要なのは「周囲の見知らぬ人の目を気にしない」という能力であり、他の能力はほぼ関係ない。
私はそこが割と平気で、自分が知らない人に全く興味がないために、他人も自分に興味がないはずだと思っているし、知らない人に「うわーあの人一人でこんな所いるー、友達いないのかなぁプークスクス」されたとしても、友達がほとんどいないのは事実なので、別に痛くも痒くもないのである。

とはいえ母のような「おひとりさま」レベルが低い人が、それ故に食べたいものを食べられないのは純粋に不便だなぁと思うので、行きたいお店、行きたい場所がある人には、是非「おひとりさま」を選択肢に入れることをお勧めしたい。同行者がいなくても行けるというだけで、行ける回数自体が格段に多くなるからだ。

新しい「おひとりさま」に挑戦するときのコツは、「自分は今日『一人で○○をする人間』になる!」と強く心に決め、半径50m以内の人間すべてにそれを宣言するつもりで実行することである。
周囲の「他の客」や「お店の人」は、私の挑戦の立会人であり、結果を見届ける証人である。とくと見よ、我が偉業をその目に焼き付けよ!!とそんな風にイメージすれば「プークスクス」など気にならない。審判がちょっとよそ見しているようなものである。笑ってないでちゃんと見ろ!と目の前に立ちはだかってやればいい。
私はこの方法で、「遊園地の観覧車に一人で乗った女」になった。何度でもドヤるが、これは私の人生において数少ない、他人に堂々といくらでも誇れるものの一つなのである。(ドヤァ!!)

いずれは、例のリストのレベルMAXらしい「一人高級フレンチ/料亭」にも挑戦したいものである。
一人かどうかという話の前に、行きたいお店がそもそもない(詳しくなさ過ぎて見当がつかない)のは置いておいて。
達成したら、このnoteで報告しよう。うん、そうしよう。


幸田さまのこちらの記事で紹介して頂きました。ありがとうございます!


何の関係もないですが、観覧車繋がりで良かったらこちらもどうぞ。


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