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詩集

137
現代詩をいくつかまとめた詩集です。どんな人にも届くように軽めでわかりやすいものを集めたつもりです。週に数回更新されます。
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2024年5月の記事一覧

【現代詩】大切なことはいつだって

【現代詩】大切なことはいつだって

大切なことは
人の心を打つ言葉となり
多くの人が口にしてきたからこそ
世の中に広まり
困窮した人を勇気づけてきた

言葉を紡ごうとするとき
手あかがついた言葉と
毛嫌いするかもしれない
けれど
大切なことは
いつの時代にも必要とされる

あなたにしか届けられない人がいるかもしれない
その可能性があるなら
その言葉には価値がある

【現代詩】自習時間にしてたこと

【現代詩】自習時間にしてたこと

自由になる時間が少ないと
心が満たされなくてつらい
自由になる時間が多すぎると
時間を有効に使えない自分が情けなくてつらい
勝手なもんだね

やるべきことをやらないとだなんて
そう思うから窮屈なのさ
自習時間にラクガキしてたみたいに
ぽっかりと空いた時間には
体の向くまま気の向くままにすればいいのさ

【現代詩】今そこからしか届かないものがある

【現代詩】今そこからしか届かないものがある

何かを届けたいと思ったとき
自分がどんなに未熟な存在に思えても
ものすごいプロではなくても
自分しか立っていない場所がある
自分の場所からしか届けられないものがある

届けるものの価値は
自分で決めるんじゃない
あれこれ批判だけする人が決めるのでもない
決められるのはそれを必要とする人だけだ

【現代詩】はじまり、めぐるものたち

【現代詩】はじまり、めぐるものたち

誰かの助けになりたいと思うとき
自分が満たされていないとなかなかできない
だから自分を振り返り
小さな幸福を大切に抱きしめ
そのおすそ分けが自然にできるようでありたい

そして
できることなら相手の未来を 一緒に夢みたい
時に申し出が受け入れられなくても
応援している気持ちがほのかに伝わればいい

思いはめぐる
世界をめぐる
そしてまた
私の幸せを支えてくれる

【現代詩】恐れているのは失敗じゃない

【現代詩】恐れているのは失敗じゃない

一歩を踏み出すのなら
失敗はあって当たり前
失敗を恐れて
失敗しないことを目指していては
遠くへは行けない

君は失敗そのものが怖いんじゃない
失敗したときに感じるショックを
辛いと思っているだけ
でも大丈夫

目指した成功への道のりからすれば
失敗はほんの小さなこと
誰も気に留めなどしないこと
そこから巻き返してどうだと言えること

そのときはどんなに最悪だと感じても
立ち向かう気持ちを無くさな

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【現代詩】灯りを消せば見えてくるもの

【現代詩】灯りを消せば見えてくるもの

夜のとばりが光を閉ざすと
私が私に帰ってくる
部屋の灯りを月に替えると
私の真ん中が輝きだす

私の光は私を照らす
それは強い光ではないけれど
私の中の確かなものを見つけさせる
世界にあふれる光に照らされ
見えなくなっていたものを

そして浮かぶ世界との境目
そこからみつめていけば
見ていたつもりの世界が見えてくる

【現代詩】許さなくてもいい

【現代詩】許さなくてもいい

日々を大切に生きるなかで
ふと過去の恨みを振り返るように見つめた時
それがとても小さいものに思えたら
それは今
あなたが幸せでいる証拠

傷跡を再度外科手術するかのように
無理に許すのではなく
日常の幸せで風化させる
そんな向き合い方をしたなら
いつしか傷跡も見えなくなるだろう

【現代詩】心の辞書を開く時

【現代詩】心の辞書を開く時

これはメッセージ
届いて欲しいと
祈りながら書く手紙

手紙そのものが届いたとしても
どう響くかはわからない

だから
言葉を選ぶのです
頭や小手先によってではなく
心の辞書から選び出すのです

私に逢いに来てほしい
そう思って書く時は
ほんとうにほんとうに
あなたに逢いたいと思う気持ちを
ほんとうの言葉で綴るのです

【現代詩】好きなものは好きと胸を張ればいい

【現代詩】好きなものは好きと胸を張ればいい

何かを始めるとき
始めようとしているとき
胸に感じるワクワクは自分だけのもの
それはとても素晴らしいもの

世間や社会がどう評価してようと関係ない
そんなものを横目で見て
手放すなんてもったいない

結果にがっかりすることがあったとしても
ワクワクの記憶は消えない
ドキドキの手触りは消えない
だから大丈夫
好きなものは好きと胸を張ればいい

熱狂の対象に 優劣などないから

【現代詩】未開の扉

【現代詩】未開の扉

目を覚ましたその瞬間
全てを振り払い走り出さなくてはという思いに突き動かされる朝がある
体中の力を使い果たすまで走りぬき
再び立ち上がる力をたくわえるために地面に倒れ込む

体全体で息をしつつ
ふと感じた気配に視線を上向かせると
そこには未だ誰にも開かれたことのない扉がそびえ立っている

何処へ続く扉なのか
どうしたら開くことができるのか
何も知りはしないのに
ただ何としてもその扉を開かなくてはな

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【現代詩】未来を夢見させてくれるひと

【現代詩】未来を夢見させてくれるひと

不意にあなたが私の手をとる
私は戸惑う
あなたは私の手を引き
そのまま駆け出す
私は足をもつれさせる

待って待ってと叫ぶ私に
ほら

あなたが前を指差す

ああ
あなたはいつだって
私の未来を想像させてくれる
私の足を動かす理由を作ってくれる

ひとりでも行ける もっと遠くへ

【現代詩】絵の具を混ぜた日々

【現代詩】絵の具を混ぜた日々

絵の具を混ぜる
それは授業時間じゃ組み上げきれないパズル
名前のついた色なんて
チューブのラベルのものだけ

絵の具を混ぜていたときの
少しずつ混ざり合って
変わっていくかんじ
隣り合ったアイスクリームがとけてゆくような

二度とは会えない
パレットに生まれた何気ない奇跡
もったいなくて洗い流せない

世界を塗りつぶすのは
平淡な誰かに任せて
面相筆で
輝きを描こう

あんまり思うとおりにはいかな

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【現代詩】思い通りの奇跡でなくても

【現代詩】思い通りの奇跡でなくても

自らの力だけでは成しえない
何かが実るとき
それは小さな奇跡に思える
様々なバランスがあり
絶妙のタイミングがあり
そこに生まれたもの

そんな奇跡が
また起きるという保証はない
けれど奇跡はそこここで起きてもいる

奇跡とは
待つ人のもとに起こるものでなく
懸命になって起こすものではないだろうか
それでも滅多に起きないけれど
思い通りの奇跡でなくても
何かが実ることはあるだろう

出会いもまた奇

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【現代詩】失ったことの絶望に季節の移ろいすら忘れようとするひとへ

【現代詩】失ったことの絶望に季節の移ろいすら忘れようとするひとへ

昨日と今日とで
なにも変わらないように過ごそうと決めた日々の中
ふと激しく心が震えることがあるだろう
それは失ったものが与えてくれていた安らぎや温かさの証

悲しみを連れてゆくのは辛いことばかりじゃない
その重さは少し形を変えた幸せなのだから

ゆっくり
手の平の中にそれを感じて
その拳で胸に鼓動を刻んで

色褪せない思い出に身をゆだねるのではなく
移りゆく限りある時間を
思い出とともに前を向いて

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