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杜賀 季
2023年9月23日 23:50
夜、ふと侘しくなり、出鱈目な詩を求めんばかりに筆をとり、朗らかな空想に耽る。枯葉だって最後は赤やら黄色やら快活な顔して落ちていくじゃないか。落葉はされど淋しく風はぬるい。人は皆、利己的に他者を救出せんと発奮するんだ。皆さん本当に自己愛に満ちていらっしゃいます、私も例に漏れずとも。我利我利君。ニヒリズムというものはつまらんね。あれは愛の乞食がやるものだ。悲しいよ。そういう人は誰かに抱きし
2023年9月17日 07:50
我らの心は泡沫に 安寧はされど微かなり典雅かな風がふわふわり 運河を撫ぜる 夏は長いこの心とは裏腹に 日々の生活 宙ぶらりん一日千秋 尋ね人 篤実な此の地にありありて 海鳥は今日も空眺む愛らしき想いを疑わず 小さき御手に包まれて沿岸沿いをガタンゴトン とろめく御目 眺む男千尋の紺 柔和な雲 嗚呼そい伏せまほしう今尚漂う潮風は 我を運びて労りて 奥歯の影に昆布の香り惜
2023年6月22日 16:56
春の早朝は翠の匂い 私の心は浮遊し 絡繰の果て 空想の彼の地亭午、あの華の香りを嗅ぐ 春の吐息穏やかな優しい心にする香りである櫻の花は上品だね そめいよしの この名前すら気品があるよ薄紅 清楚可憐 静謐なる少女 香り薄し それも良きかな 優美なり顔を熱らせながらの善行 少女が席を譲る平静を取り繕い 厳粛な顔 しおらしいつつましい老夫婦 しわくちゃ笑顔 仁愛か我々
2023年5月3日 00:46
嗚呼、いつくしや厳島二度目の逢瀬は 杪冬に 枯れた紅葉 憐憫の情紺の海に千の真珠が落ち 斜陽が皆を照らしだす熟れた柿の実 目尻の皺 揺蕩う乳房 牡蠣の如し嗚呼、美しや厳島いと艶やかな その肌に 醜い愛撫 果たしては含羞恥辱の狂宴か 我らは正に白痴なり我の心ここに在らず 嗚呼、悲しきかな厳島あの子の恋慕は何処へやら離れる度に醒めゆくわ寒風沁みる首元に 卑し
2023年2月10日 01:30
我愚者、偶然の上に生きる囂々たる霹靂が胸中へと落ちる浮世の渦の中に暫時私はいたはずである無意識に下唇を噛んだ 涙を堪える為ではなかった 束の間の断罪 線香を六本祖母の葬儀へ参列の為に東京を旅立つ厳寒の地にあった祖母の肌は新雪のようだ髪でさえ龍の髭のよう流麗でうら寂しいかず子さん心配なさらないで 日本の貴婦人はついさっきまで彼女の闘争の中にいたのよ 貴方の
2022年11月15日 22:24
どうか忘れてくれるな 貴方はいま ただ寂しい大きな孤独に包まれて 木枯らし通る秋の道どうか忘れてくれるな 貴方は人が恐ろしい優しさにさえ懐疑して 鬼面の影を友にみるどうか忘れてくれるな 貴方は誰より優しい自分の悲しさ顧みず 凍える人を温めるどうか忘れてくれるな 貴方は静かに強かだ慟哭にいつも人気はなく 雨垂れの様に綺麗に滴るどうか忘れてくれるな 貴方は気弱で美しい
2022年1月31日 22:03
忘れましたか たまゆらの日々 温泉地 上流にかかる太鼓橋 その上で 僕らは皆目を瞑り優しい陽を浴びました 可憐な微笑み 微風と往来の会話朗らかで 川の流れもしおらしく 私の心は和むばかり 河原の砂利の音 水切りと靴にかかった無邪気な雫 小さな蕾が川に落ち川は些か垢抜けた 少女みたいな野良猫に僕らは愛想尽かされて 善の笑顔が溢れたな思わせぶりなあの態度 彼の娘と同