デザインとブランディングと世界観+IT
前回の一部の続き。(だが特に読まなくてもこの記事だけで独立してます)
最近デザイン誌の元気がなくなった
って思うのは僕だけですか? そうですか?
ちゃんと日経デザイン、読んでますよ。ずっと。
というわけで、2018年3月・4月のインデックスを見てみると…
インデックスからブランディングが成功したぁとか、伝統工芸✕デザインで売りまくってるぜっとか、商品開発するなら今だぁっていう感じの、イケイケドンドン!感が伝わってきませんか? 来ませんか⁉
いろんな企業がいろんな取り組みをしてて、こうなってるぅという模索感が猛烈に垣間見えませんか? なんとか成功事例を探そうとしている感っていうか、商品開発どこ行った? って内容に変わってる。
ちなみに月刊誌の春号って、新入社員とかが増えるので、読者獲得のためにわりと力を入れて記事特集したりするんで、日経デザインもその傾向を感じてるから3・4月号を取り上げたまで。
眺めてもらえばわかるけど、「商品開発どころじゃなくなったぞ。どうやったら売れるんだぁ」ってあがいているように見えます。
だからデザイン業界の仕事量も減ってるんだろうなぁ。
まだ統計値出てないけど、電通の本社売却とか、財務諸表上の資産を減らしているというのにも関係してると考えなきゃいかんでしょ。
ただ、これ。例の流行病があったからって言うより、遅かれ早かれ同じことになっていたはず。
だって、2018年頃のデザイン業界の動きってマーケティングとあまりリンクしてなかったというか、古参デザイン会社の多くが「マーケティングなんてクソ怪しい。コトラーって誰だよ」って空気感を漂わせてて…
その背後にはウェブマーケティング会社(=怪しいSEO会社)を自分たちの狩場を荒らす存在と混同している感があり、なんとなく敵対している空気を纏っていたのを感じていたのはただの気の所為?
実はみんな勘違いしてた⁉
どっちかっていうとすれ違っていたのが正しいのかと。デザインとウェブマーケティング。それとゆるキャラと観光と地域づくり。
みんななんだか小さな接点があるだけで、うまく重なっていなくて、表面だけでいろんなことをやってきたツケを払う時が来たんじゃないかと。
ブランディングって、グラフィックデザインの領域だと主にCIから始まるシンボルマークを中心にしてパッケージ展開。ウェブマーケティングはそのシンボルマークやカラーを使って販促をするという感覚。
だからグラフィックデザインからみたら、ウェブマーケティングは下工程と勘違いされて、ウェブマーケティング側はデータドリブンできるから、そこからグラフィックデザイン側へ分析結果を戻し、直してくれるものと勘違いしてた図式。
グラフィックデザインでもよく登場したゆるキャラも同じ傾向があって、公募しようがデザイナーが作ろうが、やはりマーケティングを後工程と捉えているから、実際のデータを分析して修正しようとかしてないんですよね。
最も大きな勘違いは「ゆるキャラで地域づくり」。
くまモンの影響だろうけど、「ゆるキャラ「くまモン」のブランド構築についての研究」を読んでみたほうが良い。
くまモンはゆるキャラじゃない事がわかる。(まずこれが大きな勘違い)
最も大きな勘違いは、行政機関が運用できてしまったこと。
その大きな原因は、もともとブランディングを手掛けていたデザイナーが練り込んで作り上げたキャラクターであったことと、2011年のiPhone普及でSNSによる共有が爆発的に増加したこと。さらにサンリオなどのキャラクターと違い、著作権の問題が小さかったことが考えられます。
そりゃニコラーの皆さん、著作権の問題がなけりゃ弄るでしょう…。くまモン自体もニコニコ生放送に喜んで出ていたし。
結果、ゆるキャラで地域ブランディングという勘違いが続いております。
キャラの本質を考えてみる…
本来キャラは世界観とセットで活きてくるもの。仏像が最もわかりやすいのですが、忘れられてきてますよね。
その基本が最近は商用イラストに使われるようになってます。そもそも漫画とアニメーションが最もうまく仏教と仏像の関係法則を使ってきました。
つまりキャラは世界観を語る「ストーリーテラー」であり、動作によって地域文化の所作を表す存在でもある。
見えない文化を見えるようにする存在がキャラの本質。
民話では桃太郎がわかりやすい事例。
昔々あるところに…桃から生まれた桃太郎‼
醜い浮世の鬼を退治てくれよう。
なんか違うな。(笑)
桃太郎はブランディングの教科書でも語られるアレで、「桃」はシンボルマーク、犬猿雉と主従関係を結び、痛い格好で鬼を打つストーリーテラーとして活躍する。
紹介の仕方がイロイロ違うかも。((゚ε゚)キニシナイ!!)
桃太郎以外で現代にも身近で、日本文化を背負って立つのが稲荷神社。
全国稲荷神社チェーン展開でコンビニよりも数が多いから、どこに行っても必ず見かける赤い鳥居と狐の狛犬。
そんなこちらは荼吉尼様。
つまり物語とその世界観とキャラはセット
であるがゆえに、物語と世界観が見えにくいキャラでは効果が薄い。
くまモンやバリィさんって、サンリオと被る印象があるので、見た人は勝手にサンリオワールドを連想して、世界観を勝手に作る。
これ、コトラーのマーケティング5.0に書かれている「トランスメディアストーリーテングス」の一部。
マーケティング5.0についてはこちらを一読あれ。
ブランディングとは世界観の中に入り込むこと
ちょっと前はストーリーブランディングって言われてました。製品企画なら、その製品にかけた思いを語るっ! みたいな。
でも長続きしてないように思えません? 思えませんか? 思うでしょ?
少なくとも「開発大変だったねっ! じゃぁ買うわ」って…ならんですし。
ストーリーブランディングでうまくいって、かつ長く続いているものって、ゲームの世界。テーブルトーク、カードゲーム〜ボードゲーム、近頃はビデオゲーム〜オンラインゲームになってきてますね。この先はVRゲームかな。
これら完全にその世界観に入り込むことに加えて、オンラインゲームなどではクエストの体験がそのままリアルなものと区別がつかなくなる現象も。
その結果、アイテムグッズやクエストにちなんだグッズなどがあれば購入に至るという行動が…。
ゲームほど強くないですが、漫画・アニメ―ションの世界も同様の構造が見られます。総称して「オタク経済圏」。
「オタク」という言葉、Z世代ではアイデンティティ
アニメオタク・漫画オタクだけでなく、アイドルオタク、鉄道オタク、ゲームオタク、ラノベオタク、BLオタク…と同じオタクセグメントの中でも、多くのクラスターが存在します。するのです。みんなオタクでくくちゃうとそれは違うのです。
エ⁉ って思ったX世代(1965〜80年生)❗ 刮目せよっ‼
懐かしのテレビ番組に浸っている場合ではないのだっ❗
Z世代とは、生まれたときからインターネッツが存在していて、物心ついたときにはググっていて、テレビよりもYouTubeをガッツリ見てる世代なのだ。
つまり、「同じ時間に同じ番組を見てはいない❗」
この感覚の違いは行動に現れているのだから、そりゃ購買行動にもつながるってわけですよ。
ブランディングもサブカルを見習うべき⁉
同じ時間に見てはいないけど、同じ作品は見てる傾向はあるのが特徴。
ゆるキャン△は2018年から2021年にかけて、アタラシイ嗜好傾向に対応した作品の一つ。
なんと全く同じ内容、セリフでアニメーション版と実写ドラマ版が作られ、season2まで同じ作り方をした、今までありそうでなかったパターン。
ネット配信だからこそという特徴が出てますよ…。
ちなみに、原作は漫画。
ついでに、ヤマハさんともコラボしてます。(作中で主人公が乗っている原付きを再現)
まさかの、トリニシティまでコラボするとは…
もう、デザインっていうより、世界観の中で追体験になってきてます。
まぁそんなかんなで、ブランディングで尖った特徴を出していくのではなく、世界観(ハッシュタグ)=ストーリー体験を共有できる仕組みを考えていかないと難しいですね。
ウェブ制作会社じゃないよ。コンテンツ企画と時代考証の会社だよ。観光マーケティングも考えてるよ。
コトラーの5.0、日本語翻訳大変でしょうが…。楽しみにしています。
で、金の卵はどこいった?
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