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【#Real Voice 2023】 「ココロオドルホウへ」 2年・谷口航大

今年は何を書こうかなと考えていましたが、生まれて初めての大怪我をしたということでその頃の心境と怪我人生活で感じたことについて書きます。

 


2023年2月1日、去年は不甲斐ない結果でシーズンを終えたため、今年はやるぞという気持ちを持ちながらも学年は2年になり、監督の交代と新しい風が吹くことの期待を込めて新シーズンがスタートした。初日から5分間走5本とえげつない走りをしたことは衝撃であったが充実感もあった。プレーの調子が良くて怪我人が多発したこともあり、最初の方からAでプレーさせて貰えた。

周りの選手は上手く、自分は付いていくのに必死であったが、確実に成長して充実する日々。何よりもサッカーが楽しくて仕方なかった。調子がいい日はもちろん、ミスした時でさえもまだまだ成長できると思えるほどである。


1ヶ月が経って静岡産業大との練習試合では運が良く、スタメンで出させて貰えた。2年目が勝負の年だと言い聞かせていたため、このくらい当然と思う気持ちと周りの足を引っ張らないかと緊張していた気持ちが混じり合い、変な感覚のまま試合が始まったのを覚えている。
結果的に3−1で勝利して自分自身も手応えを感じることができ、終わった後は嬉しさと安堵が込み上げた。


次週の東海大学と練習試合、先週の試合で小さな怪我をして4日くらい休み2日間ほどの練習で試合を行った。
普通なら大事をとって休むが、次の日には鹿島アントラーズと試合があった。中学生の頃お世話になったクラブとこうした形で試合ができる事を誰よりも楽しみにしていたし、プロとの差がどれくらいなのかを知りたいという欲。この機会を逃したらできないかも。という焦りから多少の無理をしてでも東海大の練習試合に臨んだ。

しかし、前半15分に着地ミスから膝が思いっきり伸びて倒れ込んだ。トレーナーが監督に出したサインは×のサインで離脱することになった。サインを出された瞬間、明日の試合に行けない。このシーズンが勝負と意気込んでいたのにこんなもんで終わるの?
そう感じ、目標としたところに辿り着けない悔しさから涙が止まらなくなった。
大雨で風邪を引きそうなくらい寒かったが、何も感じられないほど悔しくて試合も見ずにずっとうずくまっていた。
この悔しさは今でも忘れられない。



痛々しい接触ではなかったため、大怪我はしてないだろうと思って病院に行った。だが、医者に告げられたのは


前十字靭帯断裂。


全治約8から9ヶ月の怪我。おかしくなりそうだった。シーズンが始まったばかりなのにもう終わりと言われたようなものだった。
冷や汗も止まらず、医者の言っていることは何も聞き取れなかった。

その状況の中でも親に伝えなくてはと思い、頭が真っ白になりながらも親にそのことを話したら、最初の返事は「大丈夫?」の一言。

何気ない一言であるが今の状況、メンタルの状態、全てを悟ってくれたような言葉だと思う。その言葉に愛情、優しさを感じた。
同時に応援してくれていたからこそこんなに早く離脱することに申し訳なく思い、また涙を流していた。でもそのおかげでメンタル面が少しずつ回復でき、改めて親の偉大さを知れたと思う。
情けない姿を見せるのはこれまでにしようと思い、気持ちを切り替えてここから始まった怪我人生活。


前十字靭帯の怪我は手術をしなければ治らないので、手術を行い、入院生活が始まった。想像していたよりも遥かに地獄だった。痛みには個人差があるが非常に悪く、術後は激痛が走って松葉杖で立つことすらできず、必ず夜中の3時には痛みで目覚めて起きることが1週間以上続いた。


何とか生きて退院し、手術の影響で1ヶ月ほど離脱していたため、久々にみんなの顔を見て懐かしさを感じた。
だが、それも束の間で足が思うように曲がらないことや足の太さの左右差を無くすのに毎日下半身を鍛え、チューブで引っ張られながら四つん這いで歩くなど退院後のリハビリメニューは体が壊れるくらいきつかったし、足によく力が入らないことからちゃんと復帰してサッカーができるのかと不安になる毎日だった。


こんな地獄のような入院生活、きついリハビリで何度も挫けそうになったが、それでも辛い、辞めようとは1度も思わなかった。



なぜなら、自分の心はサッカーに突き動かされているし、こんなにも胸が高鳴って心が躍るスポーツを簡単に辞められるわけない。
物心ついた時からサッカーと共に成長し、常に隣にはサッカーがあった。自分の人生はサッカーでできているからこそ最後もサッカーをして終わりたい。

さらに、プロサッカー選手になるという夢、みんなとのサッカーが好きでまたやりたいという情熱が自分の大きな軸となって原動力となっているからだ。


思い描いていた理想とは遠いが現実を受け止め、自分の中にある熱い情熱をこれからも軸として驕ることなく、地に足をつけて一歩ずつ歩んでいこうと思う。
いつだって自分の進む道は心が躍っていたからこそ、この胸の高鳴りを信じてこれからも心が躍る方へ進んでいきたい。


最後に、コーチ陣、トレーナー、医者など怪我をしてから本当に多くの人がサポートしてくれた。両親、仲間、友達には数え切れないほどの復帰に対する応援をもらった。
改めて、自分のサッカーのために多くの人が支えてくれて多くの人に助けてもらっている。
これが当たり前でないことは百も承知だが、そのことが自然体になってしまう時がある。
だからこそ常日頃から感謝の気持ちを持ち続けて、助けてくれる人達が応援して良かったと思えるような人間に成長していこう。



◇谷口航大(やぐちこうだい)◇
学年:2年
学部:社会科学部
前所属チーム:山梨学院高校



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