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【#Real Voice 2023】 「学生コーチの挑戦」 1年・山本優時

4月にしては強い日差しが降り注いでいたあの日、私は初めて東伏見の地を訪れました。一般入試で入学し、本当にコーチ経験は皆無だった私が早稲田大学ア式蹴球部(以下ア式)に学生コーチとして入部できるのか。入部できたとして、みんなには受け入れてもらえるのか。不安と緊張から、喉がカラカラでした。その日は練習を見学し、ア式では仮入部期間があること、その期間は「自分自身がア式という組織でどのような存在価値を見出せるのか」という観点が重要になるということを説明していただきました。そして翌日から、私の仮入部期間が始まりました。


こんにちは。1年学生コーチの山本優時です。本ブログでは私の人生のこれまで、そしてア式に来てからのことを綴っていこうと思います。


私は幼稚園のときにサッカーを始め、小・中・高と続けてきました。小学校の時にはそこそこ強いチームに所属しており、市の大会で優勝したり、県大会で3位になったりしました。素晴らしいコーチの方々のもと、厳しさがありながらも楽しくサッカーをしていました。私の、コーチという役割に対する尊敬や憧れといった感情は、このことが原点であるかもしれません。

その後、中学は暁星中学に進学しました。しかしそこからはあまりうまくいかず、中1のときには腰椎分離症を発症し、治ってからも腰の痛みを抱えながらのプレーとなりました。中2の夏からは病気で半年ほど学校を休むことになり、サッカーができない日々が続きました。中3の全中では仲間たちが準決勝まで勝ち進みましたが、自分はただ見ているだけ。人生でこんなに悔しい思いをしたことは後にも先にもありません。この時感じた悔しさは、今の自分を突き動かす原動力になっているのかもしれません。


このように色々あった中学時代でしたが、サッカーが好きという気持ちは一切変化しませんでした。むしろ、休んでいる間に私を救ってくれたのがサッカーでした。時間だけはあったので、国内外問わず1日中サッカーの試合を見ていました。サッカーに関する書籍もたくさん読みました。その中で、サッカーの監督に関する本も手に取るようになりましたし、戦術に関する本も読むようになりました。この頃から本格的にサッカーのコーチという役割に興味を持つようになったと思います。


高校はそのまま暁星高校でプレーし、大学はサッカーについてもっと深く知りたく、スポーツ科学を学びたかったため早稲田大学スポーツ科学部を選択しました。そして、サッカーのコーチという役割に尊敬と憧れを持っていた私は、レベルの高い環境に身を置き、本気で挑戦したいと思い、早稲田ア式蹴球部の学生コーチを志しました。そして冒頭のように、私のア式での生活が始まりました。

憧れていたコーチという立場に自分がなっているという事実。超一流の社会人スタッフの方々や素晴らしい先輩学生スタッフのみなさんから様々なことを学べる環境。仮入部期間当初は、緊張しながらも、毎日ワクワクしながら東伏見グラウンドに通っていたように思います。

しかし、練習をぬるくさせてしまったり、間違ったアドバイスをする怖さがあったりと、コーチという役割の難しさを痛感しました。さらに、自分の至らない点について先輩に怒られたりもしました。その結果、チームに迷惑をかけてしまっていると考え過ぎ、どんどん消極的になっていってしまいました。当然、私の入部はなかなか認められませんでした。消極的な自分に、ア式での存在意義などありませんでした。周りの学生スタッフが次々と入部していく中で、焦りだけが日々募っていきました。

 
入部期間ラスト2週間は、もはや消極的になっている場合ではありませんでした。とにかく死に物狂いで、自分が合っているかどうか関係なく声を出し、選手に伝えました。ぬるっとした入りになっていた練習試合では、メンバー全員の前でそのことを指摘しました。そのことが評価されたかどうかはわかりませんが、仮入部ラスト1週間で入部を認めていただきました。

 
まだ私の入部が決まっていないとき、4年生の平山怜央くんに相談した際に、

「確かに最近、ゆうとは良くなってきていると思うけど、それがコーチとしてのノーマルだから。」

という言葉をもらい、ハッとしました。さっき私は死に物狂いでとかなんとか書きましたが、それはコーチとして当たり前のことです。この言葉には続きがあって、それがコーチとしてのノーマルだから、その頑張りを続けて欲しい、と言っていただきました。要するに、「頑張り方は間違ってないよ」と背中を押していただいたというわけです。私はこの言葉に本当に勇気をもらいましたし、消極的になっていた自分を反省し、少しはその消極的な自分を払拭することができたのかなと思います。

 

最近までトップチームが総理大臣杯に参加していた影響で、Iリーグのカテゴリーの練習メニュー作成からオーガナイズまで、全て任せていただいており、悩みながらも学びの多い時間を過ごさせてもらっています。まだまだ未熟な自分ですが、消極的になることなくこれからも頑張っていきたいと思います。
最後に、この場を借りて、自分を受け入れてくれたア式のみなさんに感謝を申し上げたいと思います。特に同期のみんなには、その明るさで日々助けてもらっています。ありがとう。

山本優時(やまもとゆうと)
学年:1年
学部:スポーツ科学科学部
出身校:暁星高校


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