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【#Real Voice 2022】 「多様性の中に生きる自分」 3年・小松寛太

良くも悪くも
自分が、チームが大きく進展した1年だったと振り返る。

3年目
勝負の年だと意気込んでスタートした記憶が新しい。

シーズン最初のカテゴリー分けが行われた。

Bだった。焦りを通り越して絶望した。
俺ってこの程度だっけと思った。
そこからサッカーが楽しくない期間が続いた。

サッカーを始めた根本はサッカーが楽しいという純粋な気持ちからであり
楽しくない時にサッカーをしても結果は出ないし、何より成長しないなと感じた。

だからこそ、強引にでも楽しいと思える要素を自ら生み出したり、見つけたりしてその場をなんとか凌いでいた。


今年のチームはサッカーの能力的に今までの中で最も期待が大きかった。
ア式蹴球部は4年生の代としての色がそのままチームの色になる。
サッカーに対して直向きで真摯で、何よりサッカーが大好きであり、個性溢れた代だった。

そんな4年生の色は自分と重なる部分があり、楽しかった。


関東リーグが開幕した。
期待とは裏腹に中々勝つことができない。
負け続けた。
原因を探す中で、徐々に粗探しみたいなものになり、本質的な原因を掴めなくなっていった。
チームに不満が募り、次第にまとまらなくなった。

そんな中、夏休みに入るくらいにトップに上がった。

ここまでの話だけを聞くと廃れていたのかと感じる人もいるかもしれないがそうではない。
変化しようともがいていた。(多少なりとも廃れてはいたが...)

どう変化しようとしたか。話は遡ること約2年。

関東リーグに初出場した大学1年の時。
出場時間は5分ほどで、相手は慶應。華の早慶戦だ。
引き分けで出場した私に決定機が訪れた。シュートを放つが枠から大きく逸れた。


あれが現時点での最後の関東の舞台


その時は悔しくてまた次頑張ろうという気持ちが強かった。
しかし、時間が経つにつれてあのプレーがきっかけに仲間からの信頼が圧倒的に欠如していったことを感じた。
それが分かると、プレーが消極的になり、周りからの見られ方を気にするようになった。
サッカーをやっている心地がしなかった。
誰かのためにサッカーをやっているようだった。
悪循環が完成し、3年の夏までBに居続けた。



こうした自分の生き方を変える必要があった。
変化するために、自分はどういった人間なのか
自分のことをめちゃくちゃ精査してやろうと決意した。

本当に些細なことから始めた。 

好きな食べ物は母のハンバーグ 
嫌いな食べ物は特になし。

といった調子で始まり

何を好んで何を嫌うのか。
何が強みで何が弱みなのか。
どういう性質も持った人間なのか。

知ろうとすればするほど、自分のことなのにも関わらず
知らないことが多いと気付いた。
知らないというよりも曖昧だった。


心理学、遺伝、親の教育、どんな環境で育ったか、どんな人と出会ったかなど


自分自身を徹底的に調べ尽くした。


そうすることで自分がどんな性質を持った人間かが整理された。

すると自分の生き方が確立していき、心が安定した。


その成果が如実に出たのが早関戦。

後半から途中出場し、久々のトップでの試合
短い時間だったが、試合が終わりピッチを出ると
「外池さん(前監督・外池大亮)に散々言われていたぞ。」と
選手経由で間接的に耳に入る。(かなりきつめのお言葉)
以前の私だったら、間違いなく折れていた。

しかし

周りの目を気にしてプレーする弱い自分がいることを知っていたから
1度ミスをするとそこから調子を損ねる弱い自分を知っていたから
批判に対して敏感な自分を知っていたから
直後に行われた自分にとって崖っぷち練習試合にも
平常心も保ち、クリアな状態で試合に入れた。

生き方の確立が自分を大きく進展させた。
生き方が確立したことで自分が満たされていった。
自分が満たされると、周りが見えるようになった。
自分が満たされていない時
周りに何かを与えようとすることは逆効果だ。


約1ヶ月後


約2年ぶりに、再び関東のピッチに立つ。
2年前とは、明らかに違う感覚でピッチに立った。
自信があり、落ち着きがあった。
いつも共に練習していたBの仲間が外から応援してくれた。
自分がボールに関わると声を荒げて応援してくれた。

本当に嬉しかった。
頑張って良かった。
そう感じた。
盲目的だったものが少し晴れた瞬間だった。
外にいる仲間たちが抱える様々な想いが身に染みて分かるからこそ
応援に、期待に応えたかった。


しかし年間3勝。最下位。関東2部降格。

シーズンを通して結果が出なかった。


人間の生き方には各々の知恵、考え方が反映される。
全く同じ人間なんて存在しない。

『多様性』

組織に身を置く上で人と価値観や感覚が合わないことがある。
時にここが違うと否定される。

否定されると人間は思考を巡らせる。
ここを直す必要があるとか。チームのために個性を殺すとか。


人と違うことをしたり考えたりすると
出る杭を打つように
否定されたり馬鹿にされるし
不安になったり恥ずかしかったりする。

それでも芯を持って貫き通すこと。
全く合わせる必要がないということ。

人間は同じでないからこそ
合っていることの方がおかしいはず。(合う事も当然ある)

だからこそ
他の考え方や価値観があることを尊重する。
それが多様性を受け入れるということだ。

逆も然り
決して自分が全てじゃないことも知っている。
受け入れられないこともあるということ。


チームとして結果が出なかった最大の要因は
多様性を受け入れられなかったことにあった。

これに気付いた時にはすでに手遅れだった。




いよいよラストシーズンが始まる。

個人として、もっと自分を知り、強くなること。
プレー面でも課題に向き合い、武器をさらに進化させる。
リスクを冒して攻撃し、結果を出せる選手になること。


チームとして、関東1部に上がることに使命感を感じ、プレッシャーに感じている人が多くいる。
そんなプレッシャーに駆られながら、闘えることをポジティブに捉え楽しみたい。
こういう状況でしか経験できないことだし、非常に良い機会だ。




やりきった1年後

自分が、チームがどうなっているか楽しみで仕方ない。

◇小松寛太◇
学年:3年
学部:教育学部
前所属チーム:早稲田実業学校高等部


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