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【#Real Voice 2022】 「忘己利他」 2年・東廉

ア式蹴球部2年の東廉です。
いつもふざけているので、部員ブログくらい真面目に書こうと思います。あまり面白くないかもしれませんが、よかったら最後まで読んでください。

ア式にきてから2年目の年が終わろうとしている。
サッカー的には、自分自身のプレーにまだまだ課題があると感じるが、思っていたよりも試合に絡ませてもらった。
プライベートでも、同期の仲間と旅行に行ったり、サウナに行ったり、美味しいものを食べたりと、楽しいことが多くあった2年間だった。

この2年間、ア式にきて、環境が変わって、色々思うことがあったので、それについて書いていこうと思う。


まず、自分は社会に適した人間ではない。ア式に入ってから、それを明確に認識するようになった。

ア式ではピッチ内もそうだが、ピッチ外のことをとても大事にしている。私はア式に来る前、エスパルスの下部組織に所属していた。そこで、ピッチ外のことを全く言われてこなかったわけではない。でも、Jリーグの下部組織なので、サッカーをとことん追求していて、ピッチ内にかける比重が大きかった。また、自分自身、サッカーさえできていればそれでいいと思っていた。

エスパルスで適当にやってきたピッチ外の部分が、ア式では大きな足枷となった。

私は2年間で、仕事のミス、連絡のミス、遅刻など、数多くのミスを重ねてしまった。

そして、私のミスは私だけに留まらなかった。
私がミスをするたびに学年全員が集まって、私のミスについてのミーティングを行うからだ。

ミーティングをするたびに、歳の変わらない同期からミスについて詰められる。

自分が惨めで仕方なかった。

ただ、何度詰められてもミスを繰り返してしまった。

「絶対にもうミスはしない。」

ミスをするたびにそう決意したが、必ずどこかのタイミングで気が抜けてしまった。
ミスの制度や詰められたことに対して、不満に思う気持ちがあったのだと思う。


そんな感じで、この組織に来てから、ピッチ外の部分では何もかもがうまくいかなかった。



ピッチ外で足を引っ張ってしまった分、サッカーでは示し続けたかった。

だが、サッカーでもうまくいかなかった。

今年は開幕から数試合メンバーに入れてもらい、何度か途中出場をさせてもらったが、関東リーグの強度に圧倒されてしまい、自分の持ち味を発揮できなかった。

当然、私に関東リーグで戦える力はないとみなされ、何試合かした後、ベンチからも外れるようになった。そこから怪我もあって、半年くらい試合に絡めない期間が続いた。


何をするにもうまくいかず、ピッチ内外両方で足を引っ張っていた。
当然、みんなからは嫌われるだろうと思っていた。

自分が逆の立場だったら、「何してんだよ」とか「またあいつかよ」と思っていると思う。それでも、ミスをした次の日には何事もなかったかのように接してくれる仲間がいてくれた。

また頑張ろうと思えた。

みんなは自分を助けようなんて思っていないと思うけど、自分にとっては大きな支えだった。

そんなみんなのためにやれることをやろうと思った。




なかなか試合に出られない中で、チャンスは突然めぐってきた。

後期の桐蔭横浜戦の2日前に監督に呼び出され、

「明後日の試合はお前にとって大事な試合になる」

と言われた。

それまで後期の関東リーグでは全く試合に関わっていなかったので、とても驚いた。

試合に出られることへの嬉しさはあったが、同時に恐怖にも襲われた。
チームは残留争いの真っ只中で、本当にどの試合も落とせない状況だった。
自分がミスをして負けたらどうしようという不安が付き纏った。

前日の夜は緊張してほとんど眠れなかった。

ただ、その眠れない時間は考えを整理する時間にできた。

これまで何もできなかった自分。人に迷惑をかけた自分。
そんな自分を受け入れてくれたチームメイトのために、戦おう。
泥臭いプレーをするタイプではないけど、走って、球際行って、声を出す。
それだけは、最低限でもやろうと思った。


試合では、やることがはっきりしていた分、思い切ったプレーができた。

得点やアシストといった明確な結果は出せなかったが、2-1でチームは久しぶりに勝利した。

試合が終わった後、応援部員のところに挨拶に行って、同期に「よくやった」と言ってもらえた時には胸が熱くなるものがあった。自分のプレーは、働きとして大きいものではなかったと思うが、自分の力が少しでもチームの勝利につながったこと、そしてそれを仲間に認めてもらえたことが何よりも嬉しかった。


この桐蔭戦では、今まで自分のためにしかしてこなかったサッカーを初めて人のためにできた気がする。

人のために何かをすることは、一見無駄な行為のように見える。

実際、今まで自分は他の人のために何かをするなんて馬鹿馬鹿しいと思っていて、自分のためにしか行動してこなかった。

でも、桐蔭戦を経て、認識が変わった。

人のために何かをすることは、自分のためだけに何かをする時よりも圧倒的に大変だ。

でもその分、成功した時に得られる嬉しさだとか達成感だとかも圧倒的に大きくなるような気がする。

だから、誰かを想ってプレーができたときは、いつもより少しパワーが出るのではないかと思う。



自分にできることはとても少ない。

この組織に来てからそれを痛感した。

また、自分が頑張ろうと思えるのは、家族、友人、祖父母など、自分の近くにいる人がパワーをくれているからだということ。

それもよくわかった。

自分はできることが少ないから、大勢に何かをすることはできないと思う。

でも、自分の近くにいる人のためにできることはある。

今はサッカーが1番だ。というより、サッカーしかない。

それでもこれから先、自分の中からサッカーがなくなってしまう日が必ず来る。

そうなった時、何ができるかはわからない。

でも、どんなに小さいことでも、自分にできることをやり続けたい。

そして、自分にパワーをくれる人に、少しでも何かを返せる人でありたい。

◇東廉◇
学年:2年
学部:スポーツ科学部
前所属チーム:清水エスパルスユース
















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