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【#Real Voice 2023】 「ゴールがもたらすもの」 1年・伊藤猛志

はじめまして。今回部員ブログを書かせていただくスポーツ科学部1年、伊藤猛志です。まとまりのない文章になっていますが最後まで読んでいただけると幸いです。


















「サッカー楽しくないな」



















最近そう思うことが増えたように感じる。





パスが繋がらない、ボールをキープできない、ヘディングが勝てない、そして何よりもシュートが決まらない。




ただただ自分に苛立ちを覚えていた。




私は学年に3人しかいないスポーツ推薦でア式蹴球部に入部した選手だった。私以外の2人はトップチームでプレーしている。一方私は、1番下のカテゴリーである。フォワードの序列では1番下。










ゴールを決めることができない










このことが試合に出られない最大の理由である。
しかし、こんなに点を決めることができないことは初めてではない。小中高のチームメイトに現状を話しても「猛志らしいじゃん」「またスランプきたのか」「お前ならまだ大丈夫」と言われるだけだろう。いいことではないが自分の人生はそんなものだと客観的に捉えることができる。










初心忘れるべからず










最近そう自分に言い聞かせている。この言葉は誰もが知る「何かを始めたときの気持ちを忘れてはいけない」という意味である。私にとって忘れてはいけない過去がある。





前十字靭帯断裂





サッカーをやっている人ならば一度は聞いたことがあるだろう。高校1年の冬、私はこの怪我をした。医師に告げられた復帰までの期間は約1年。高校1年生の時、今のようにゴールを決められず、全く試合に出られていなかった私にとって来年こそは自分の年にしてやると意気込んでいた時だった。そんな時に全治1年の大怪我をした。普通に考えたら最悪である。



しかし、周りの人の反応は違った。父とキーパーコーチは「この時期で本当に良かったな、少しでも遅かったり早かったりしたらもっと大変になっていた」と、担当医師は「この怪我を通して他の選手よりも強くなれる」と言った。サッカー人生で初めて怪我をした私にとってこれらの言葉を聞いて前を向くことができた。しかし、この怪我はそんなに甘くはなかった。



人生で初めての手術、車椅子・松葉杖生活、モデルのように細くなった足、そして一人グランドから離れて地味なリハビリトレーニング。手術後、変わり果てた自分の足を見て「またサッカーできるのかな」と思うこともあった。そして手術後初めてグランドに行った時チームメイトがサッカーをしている姿を見て泣いたことを今でも覚えている。その時改めて思った、自分はサッカーをすることが大好きなのだなと。



それから自分がジョギングをできるようになった頃、高円宮杯プレミアリーグが開幕した。先発の半数は同期だった。同期がこんなにプレーできている中、自分はボールを触ることもできないのかと自分自身に失望していた。そんな中、最悪なことが起きた。







両足シンスプリントになってしまった。怪我をした膝以外の場所をリハビリ中に怪我してしまったのである。そして、この怪我をしてしまったことによって膝のリハビリを進めることができなくなってしまったのだ。リハビリ期間で1番きつい時期だった。当時コロナ禍だったこともあり、勝手に実家に帰ることは禁止されていたが、クラブに無断で学校を休み、勝手に実家に帰ったこともあった。そして一人実家で泣いていた。
しかし、その後トレーナーに勝手に帰ったことがバレて、事情を話した。結果的にこの行動がいい転機になりシンスプリントも膝の状態もどんどん良くなった。そして気づけば実践復帰をしていた。







10月3日、怪我して11ヶ月、実戦復帰して2週目、初めてプレミアリーグのメンバーに入った。そして、試合残り10分で出場、後半ATタイムにゴールを決めた。

















「サッカーやっていてよかった」



















心からそう思える瞬間だった。毎週のように病院に片道1時間かけて送迎してくれた母、自転車が漕げない時期に朝早くから送迎してくれたチームスタッフ、わがままも全部受け入れて接してくれたトレーナー、自分のリハビリに関わってくれた多くの人が自分のゴールのことを見て聞いて喜んでくれた。自分のゴールでこんなにも喜んでくれるのだと感じられた出来事だった。






そして、自分の進路がかかった高校3年生の年。






プレミアリーグ15戦12発
天皇杯でトップチームデビュー









怪我があったから結果を残せた、怪我して良かった。そう思えるシーズンだった。そして、ただただサッカーができていることが楽しいと思える1年でもあった。

















「猛志が決めれば勝てる」



















中学と高校で一緒だった1人のチームメイトがよく試合前に言ってきた言葉だ。私はこの言葉が好きだ。






早稲田大学ア式蹴球部に入部して半年、全くと言っていいほどこの言葉を実現できていない。チームの数少ないチャンスを外し、勝てる試合も勝つことができなかった。今後、何回自分のゴールでア式蹴球部を勝たせることができるだろうか。自分がとても楽しみである。






大怪我を経験し、サッカーの楽しさを十分に感じた。そして、それを感じる時にはいつもゴールという結果があった。自分の価値を証明するにはゴールしかない、支えてくれる人に対しての1番の恩返しもゴールという結果であると私は思う。今はサッカーが楽しくないかもしれないがこの現状を楽しみ、あの経験を忘れずにやるべきことをこなさなければいけない。そして、貪欲にゴールという結果を求めなければならない。そして、いつかこのブログを見返す自分に問いたい。
































今、サッカーが楽しいですか、と。


伊藤猛志(いとうたけし)
学年:1年
学部:スポーツ科学部
前所属チーム:ジュビロ磐田U-18

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