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【#Real Voice 2022】 「一度諦めた挑戦」 1年・渡邊朋恵

私は今年ア式蹴球部に入部し、学年は2年生だが部内では1年生として活動している。
実は一度ア式蹴球部の門を叩くことを諦めている。それでも今なぜ部員としてブログを書いているのか。

ア式蹴球部に来てから8ヶ月、せっかく与えられたこの機会にもう1度初心に立ち返りたいと思う。


臙脂と黄色に染まった会場、泥臭く声を張り上げて応援する早稲田生。知らない隣の人と肩を組んで紺碧の空を歌う早稲田生。そんな応援を一心に背負いプレーする選手たち。

衝撃を受けた。こんなに自分の学校を誇りに思っている人々を見たことがなかったから。


これが私と早稲田大学との出会い。

私もこの空間に入り込みたい、早慶戦に携わりたい。そう思って必死に勉強して早稲田大学に来た。


中高とテニス部で選手として部活に取り組んでいた私は、マネージャーなんて縁のないものだと思っていた。自分がプレーしないで楽しいのかなと。


けれどア式蹴球部のマネージャーの部員ブログを読んで衝撃を受けた。

ピッチでプレーしないからこそ感じる苦悩に立ち向かい日々試行錯誤する姿や、チームのことを常に考えて選手がプレーしやすい環境を創り出していること、また社会に声を発信していくなど主体的に活動していることを知って、マネージャーって奥が深いんだなと思った。


マネージャーという存在に興味を持ち、ア式蹴球部のマネージャー募集説明会に参加した。

「この説明会が終わったら仮入部の日程を相談しよう。」
入部する気満々だった。


けれどその希望は打ち砕かれ、説明会終了後色々と話し合ってア式蹴球部の活動に参加することは難しいという結論に至った。ただでさえ学費の高い早稲田大学に通えているだけで幸せ者なのだから仕方がない。

けれど挑戦する土俵にさえ立てないという事実に当時の自分は絶望した。


さぁ何をしよう。目標が消えてしまった。

そうなって私はサークルに入ることを決めた。

サークルではかけがえのない大好きな友人に出会えた。サークルに入ったことに対する後悔は一切ない。むしろ入って良かったと思う。


けれど次第に自分の中で膨れ上がってきたある想い。

「毎日楽しいけれど何かが足りない。」

その何かとは、刺激。自分を成長させてくれるような困難があるわけでもなく、日々何かを得ているわけでもない。このまま4年間が過ぎていくことに不安と恐怖を覚えた。


ア式蹴球部に入らなかったからには応援する立場に回ろうと、合間を縫ってYouTube配信やSNSを見ていた。けれど本当にこのままでいいのだろうか。


そんな時に出会った真生也(2年・成定真生也)の部員ブログ。

属する組織によって自分を取り巻く環境は変わり、自分にとっての「当たり前」が変わる。そして自分がとる選択と行動は自分の意思によっても左右される。


この言葉を読んで、もう一度自分の心と向き合おうと思った。

やっぱりア式蹴球部に入りたい。時間はかかったけれど自分なりに出した答え。

決定的になったのは昨年の10月24日に観に行った早慶戦。近くの席の人が言っていた「早慶戦って早稲田生の特権だよね。」という言葉。学生主体で作り出す舞台、両校の意地とプライドがぶつかり合う戦い。やっぱりいいなと思った。

2021年 スタンドから見ていた早慶戦

ア式蹴球部に挑戦する環境を作るためにできることはなんでもやった。こうして晴れて2022シーズン開始と共に1年ほど遅れてやっと仮入部をスタートした。

いざ入ってみると難しさは想像以上。

まずぶつかったのがコミュニケーションの壁。マネージャーという立場からどのように選手に接すれば良いのかわからない。

そして自分の無能さを実感した。練習メニューのピッチ作りを覚えられないし、ミスもたくさんした。私が授業で遅れていっても練習は淡々と行われている。行動力と発想力を兼ね備えている先輩たち、意欲に満ちた同期たちがすごく遠い存在に思えてきて、自分がいかにちっぽけな人間か思い知らされた。私は何をしにここに来たんだっけ?現実から目を背けたくなった。

というネガティブな文になってしまったけれど、この感情を上回るほどア式蹴球部での日々は刺激的である。

自分の課題に真摯に向き合い、日々努力し続ける選手たち。
チームに対して熱い思いを持ち、自分の仕事に責任を持って取り組んでいる学生スタッフ。
明るく気さくに話しかけてくれる同期。
主体的に活動する場を与えてくれる監督をはじめとする社会人スタッフの方々。

私を取り囲んでいる素晴らしい方々に何度も何度も勇気をもらった。本当に感謝しかない。

そして実際に活動してみて改めて感じたマネージャーという役職の奥深さ。

皆バックグラウンドもやりたいことも様々。けれど「チームの力になりたい。」目指す先は同じである。何が正解ということもないからこそ難しいし、アンテナを張ってみると創り出せる活動は無限大である。

今ア式蹴球部には12人のマネージャーがいる。皆それぞれやっていることは違うけれど誰1人欠かせない存在で、1人ひとりの活動が合わさって初めて組織として成り立つのだと日々実感している。悩んだ時、同期や先輩に相談をすると、自分が思ってもみなかったようなアドバイスがもらえる。いろいろな考え方があるなと勉強になるし、自分の視野も広がる。

チームの力になりたい。それは私も同じであるけれど今の私はそんなことも言えないぐらい何もできていない。悔しいけれどこれが現実である。その要因として自分を発信できていないことが挙げられる。

いくら熱い想いをもっていたとしてもそれを表現できないと意味がない。

選手はピッチ上で自分を表現する、ではマネージャーはどこで表現すればいいのか。それがマネージャーの難しさである。自分の中で意識して行動していたとしても、それを表現しようとしないとただの自己満になってしまう。ア式蹴球部という組織に所属しているだけで、そこで自分なりに考えてアイデアを生み出そうとしなければ、簡単に埋もれてなんとなく4年間を過ごすことになってしまう。私はそんな事をしにア式蹴球部に来たのではない。

と偉そうなことを書いてしまったけれど今年の早慶戦、私はほとんど何もできなかった。早慶戦に携わりたいから来たなんて言うのが恥ずかしいぐらい無力だった。

それはこの組織から目を背けていたから。立ちはだかる課題から目を背けて、無意識にア式蹴球部のことを頭から遠ざけようとしていた。けれどこの環境に身を置いたのは紛れもなく自分の意志。ア式蹴球部で過ごせるのもあと2年とちょっと。もう逃げている時間はないし、周囲にアンテナを張って自分のできることを、可能性を探し続けたい。

ア式蹴球部という恵まれている環境を手に入れた。あとは自分の意思によって行動するだけ。このような環境で活動したくてもできない人はたくさんいる。自分は本当に恵まれていると思う。だからこそ自分の課題に立ち向かわなければならない。

周りの人々から吸収できることは素直に吸収し、感謝を忘れずに、そして楽しんで活動したい。頑張ります!

語彙力の乏しい文章を最後までお読みいただきありがとうございました。

渡邊朋恵
学年:1年
学部:人間科学部
出身校:帝京大学高校

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