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「買いもの」の本質はエモーショナル

突然だが、月に一度だけお店に立つ機会がある。 私はオフィス勤務がほとんどであるものの、業種としては、いわゆるアパレル業界に属するのだろう。

オフィスの社員が店頭に立つ理由と目的としては、店頭スタッフとのコミュニケーションだ。 しかし、結局は人員が足りず、ただシフトを回している認識だ。 なにせ休日の稼ぎどきに店長が不在、かつ土日なんて混むんだから、そもそもコミュニケーションという目的を果たせない、なんてことがザラにあるので本末転倒だ。 それでも私は現場にいた身なので、エンドユーザーの声はなにものにも代えがたい、と信じている。 だからこそ、割り切ってやっている。

なんとも気の滅入る話で始めてしまったけれど、ハッと気づくのは、いつでもそのようなネガティブな渦にいる時ではないだろうか? カメラを携えて街を歩く人も共感してくれると思う。 だって、シャッターを切りたい瞬間も、そんな時が私にとっては多いんだ。

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ある早朝、出勤前の車窓から

そして、つい最近のことだ。 緊急事態宣言が明けて、久しぶりにお店に立つ機会があった。 そこで、良いお客様に出会えたんだ。

私はそもそも人が苦手で、接客スタイルはいわゆるストリートファイターズのガイル的なスタンス。 だから話され(求められ)たら100に対して120でサマーソルトを返す、それはまあ店員あるまじき、と言われるかもしれない。 しかし、その時は手に取られたジャケットの機能性やディテールの話を数着で比較しつつ、それらがどんな特性を持っているか、どんなシーンに適してるか、その服が生産される国の小話を交えたりと、そんなこんなしている内に盛り上がった。 お互いに、服やその背景が好きだったことがわかって、なんだか久しぶりに会った友人と話したかのような感覚になった。 とにもかくも、楽しいひと時だった。

なにより最後に、安くもない買い物を決めてもらえた上に「服以外のことを知っている人に会えて、楽しかった」と言ってもらえた。 接客をしていて、これ以上にありがたい言葉があるのだろうか。 私自身、勉強不足の身なので恐れ多いけれども、オンラインでの買い物が主流となるこのタイミングで、対面で買ってもらう意味がお客様にあったのなら、この上ない。

私にとっての現実とは決して数値だけではなく、誰かに喜んでもらうみたいな、その上にある想いなのだと、常々思う。 なんだって生きている以上、人を動かすものはエモだ。

As Meias - Instant

「エモ」というキーワードにちなんで、愛聴する曲で締め括りたいと思う。千葉は利根川で開催された「TONE RIVER JAM(通称:トネリバ)」、土砂降り中で聴いたこの曲、最高だったな。

とにかく疲れても、腐らず地道に。 でもたまに息抜かないと倒れるから、それで生き抜いて。 先を見据えて続けることが重要なんだ。

明日も一日、よろしくお願いいたします。

Warp & Weft M

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