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幕末のラップバトル「富士宮囃子」を浴びる3日間
浅間大社の例大祭でもある秋祭りの3日間、富士宮市には静岡県指定無形民俗文化財に指定されている「富士宮囃子」が鳴り響く。
ふだんは静かな街なので、祭りを知らせる空砲や、太鼓と笛の音が遠くまで聞こえる。
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地元、富士宮市のお祭りを久々に見た。浅間大社のまわりの地域は、地区ごとに山車(だし)を持っている。全部で20台以上あるらしい。その山車が浅間大社に参り、街を練り歩き、お囃子を演奏したり、その周りを踊ったりする。春の流鏑馬祭りに並ぶ秋の大祭だ。
そして、練り歩く山車がほかの地区と出会えば、道を譲るかを賭けて「競り合い」をする。
これがとにかくカッコいい。
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お囃子はよくよく聴くと地区ごとに個性がある。(わたしは「よくよく聴くと」だが、祭りの地区の人はきっとすぐに聴き分けられるのだろう。)
競り合いでは、このお囃子を演奏しながら、山車を限界までくっつけあって、相手に釣られないようずっと演奏し続ける。
これには勝敗があり、立ち会い人が見守っている。相手の囃子に釣られた方が負けで、道を譲る。勝った方は、譲られた道を通りながら勝利のお囃子を演奏する。さながらラップバトルである。
とはいいつつも、現在はいつどの地区と競り合いをするか決まっているし、勝敗も引き分けと決まっている。
しかし、競り合いをする当人たちの中では勝負だし、きっと今も勝ち負けの気持ちがあるのだと思う。だから、観ていて気分が高揚する。
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子供の頃ははお祭りの屋台に気を取られてお囃子なんて聴いてなかった。高校の頃なんかはこの次の週がテスト期間だったので、祭りどころではなかった。お囃子が聞こえるなか、塾に向かっていったものだった。
なので、じっくり競り合いを観るのは20年ぶりくらいになるのかもしれない。
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改めて観て、すごくいい祭りだな、と思った。お年寄りから子供まで、お祭り地区の人は法被を着て練り歩き、代わるがわる演奏したり、サポートに徹していたりする。見物客は食べ物片手に山車を見上げる。
見物客が帰っても、地区の寄り合いどころからは賑やかな声が聞こえる。なんというか、どこまでも地区が主役で、そこをちょっと覗かせてもらう感覚が、すごくいいと思った。
故郷を離れても、また訪れたい。
富士宮囃子参考:
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