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嫌いじゃないスタジアムの好きになれないトコロ ~新国立競技場に関する個人的雑感~

今回のラグビー大学選手権決勝で初めて、僕は新しい国立競技場に足を運んだ。本来ならば試合前後に色々とスタジアム内を探検し、レポートでも書こうと思ったのだが……まず、会場に到着したのがキックオフ30分前だった。そして、試合後はスタジアム内の動線がまだ掴めなかったばかりに、うっかり外に出てしまった。なので、今回のレポートは全体的な雰囲気だったり、スタジアムの見やすさを中心にお届けしようと思う。

結論を記すと、新国立競技場は悪くないスタジアムだ。ラグビー的にも、これから試合会場としてどんどん活用すべきである。少なくとも、元日の天皇杯を観戦された方々による怒りの声ほどは、悪いと思わなかった。
まず、観やすい。ゴール裏3階席の真ん中あたりに陣を取ったが、何のストレスも無く試合に集中することができた。傾斜がそれなりにあるため、前の観客を気にすること無く、俯瞰して見えるピッチ上の事象に集中することができる。2階席ならばもう少し迫力も増すことだろう。

その一方で、「座席に傾斜をつける」ということは「座席前のスペースが狭くなる」ということとバーターである。ハーフタイムや試合中に離席する際は、相応の苦労がいる。
また、ピッチ上で気になったのは、(特にラグビー的な視点として)インゴールゾーンが狭いというものだ。旧国立競技場時代もその狭さには定評があったが、何だかより狭くなったような……。インゴールゾーンをどれだけ使えるかによって、ゲームの面白さも変わってくる。もう少し広くできないものだろうか。

このように、スタジアムに対する是非はあるのだが、前評判ほどの不満に対しては「そうかね?」と思ってしまった。もちろん、サッカーとラグビーは異なるフットボールであり、立場が変われば見え方も変わってくるだろう。
ただ、スタジアムはスポーツ観戦における「道具」のひとつに過ぎない。試合観戦中に色々と使いこなしていけば、慣れも出てくるし、親しみも湧いてくるものだ。むしろ、時間を経ても解決できそうにない部分は何か? を考えていくべきではないだろうか。

最後に、新国立で1日過ごしてみた上で、スタジアム全体のデザインについても振り返ってみたいのだが、一言で表そうとするとこんな感じになった。

「無印良品がつくったスタジアム」
良く言えばシンプルで、とげとげしさが無く、突き放すような「冷たさ」は抱かない。
一方で、尖った特徴らしい特徴は無い。

もちろん、新国立競技場は無印良品では無く、隈研吾氏がデザインし大成建設がつくったものなのだが、どうも無印良品ファンとしては無印良品っぽさを所々で見つけてしまった。多分、これからも、その感情は変わらないような気がしている。

新国立競技場は完成するまでに、様々な不幸なプロセスがあった。色々な人の思惑が絡み合う中で、当初の案とは全く正反対のスタジアムが完成した。それは身勝手に批判する人たちと戦えず、「嫌われたくない」という気持ちが強まって穏便に事を済ませようとした結果、辿り着いたものなのだろうか。だとしたら、そこに僕は、歩んできた時代の「貧しさ」が詰まっている気がして、寂しさを抱いてしまうのである

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