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リーダーシップ

試合が急転したのは、ヤクルトの2点リードで迎えた7回表だった。

2番手投手の大下が2アウト2塁の場面で降板。ワンポイントリリーフとして梅野がマウンドに登った。若干19歳の期待の若手だ。
普段は強心臓を見せる若武者も、この場面のプレッシャーは計り知れなかったか。それもそのはず、ヤクルトが勝てば2位が決まり、クライマックスシリーズのホーム開催権を得る。今日の勝利は、ただの1勝ではない。
宮崎・ソトの強打者に対し、連続フォアボール。次のバッターは不動の4番・筒香だ。ますます緊張感が高まる。

そして、悲劇は起きた。キャッチャー・井野がまさかのパスボール。長らく控えに甘んじ、ようやく掴み始めたスタメンの座なのに。嗚呼、あらゆる辛酸を乗り越えた苦労人にとっても、なかなか平常心ではいられないのだろうか。

リードが1点差に縮まり、ざわつきが止まらない神宮球場の外野席。
そんな中で、僕はあることに気がついた。

マウンドに大引啓次がいる。

梅野の登板と同時に、大引は守備交代でこのダイヤモンドの上に立っている。昨日は2つのホームランを放ち、好調をキープしている。まさにいぶし銀。

そういえば。宮崎に四球を与えたときも、ソトに四球を与えたときも、さっきのパスボールのときも、大引はマウンドに近づいたり、声をかけたりと、何かしらのアクションを取っていたな。
流石だ。法大・オリックス・日本ハム。どのチームにいてもリーダーとして慕われた人間である。こういう場でやるべきことがわかっている。

筒香が一塁に向かって歩いている。これで3連続。ツーアウト・フルベース。ライトスタンドから「がんばれ梅野!」と声援が飛ぶ。

でも、僕は意外とこのピンチでも、平常心でゲームを見ることができた。なぜなら、マウンドにいたのが梅野だけではなかったからだ。

続くバッター、ホセ・ロペスはあっけなくピッチャーゴロで終わった。
僕の心の中で、この日のMVPはすんなりと決まった

どうもです。このサポートの力を僕の馬券術でウン倍にしてやるぜ(してやるとは言っていない)