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【エッセイ】 休日の清々しき断捨離

休日。

僕はクローゼットを開けて、深呼吸した。

眼前に広がるのは、長年積み重ねてきた衣類や小物たち。



今日の目的は一つ、「断捨離」。



まさに、物理的な空間を取り戻すだけでなく、心の中にも新たなスペースを生む作業だ。


まず、服。


手に取ったのは、大学時代によく着ていたスウェット。

あの頃の自分は、このスウェットにどんな思いを託していたのだろうか。

しかし、もう着ることはない。

それは「過去の僕」が選んだもので、「現在の僕」には必要ない。

そう確信して、袋に入れる。
その瞬間、なんとも言えない清々しさが心を満たした。



次に、小物類。

古い時計、大切にしまっていたキーホルダー、学生時代のメモ帳。

それぞれに想い出が詰まっているけれど、もう必要ない。

かつて大切に思えたものも、時間が経てばただの「物」に変わる。

それを認めることで、心に新たなスペースが生まれる。



そして、最後に書類。

中には、古い資料や書類、未読の雑誌が山のように。

でも、これもまた過去の「僕」が必要だと思ったもの。
今の「僕」にとっては、ただの紙切れに過ぎない。

それを理解すると、書類を捨てることに迷いはなくなった。


僕がクローゼットから出したものは、全て大きな袋に詰められ、部屋の隅に積まれた。

それを見て、僕はふと考えた。

これらは全て、一度は「必要だ」と思ったものたち。

だけど、時間が経つと「不必要」に変わる。


それは、物だけでなく、心の中の「思い」にも言えることなのかもしれない。


断捨離を終えた僕の心は、クローゼットと同じようにスッキリとしていた。

新たに生まれた空間は、新たな「僕」の可能性を迎え入れるための場所だ。


そして、これからは、その場所にどんな「物」を置くのか。
それを選ぶのは、「現在の僕」だけなのだと感じた。

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