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エスパーになるゲーム 上司はなぜかくも曖昧な指示を出すのか

会社員として勤めたことのある方には身に覚えがあるかもしれないが
上司の指示が曖昧すぎて困るというシチュエーションがある

たとえば、下記のような記事のようなケースだ

一般的にはマネジメントの本質として上司の指示が曖昧であることは組織を混乱させるだけであり、マネジメントとして失格だということが言われる

だが、一方で松下幸之助さんの下記のような記事もある

松下幸之助さんは曖昧な質問をして、しかも答えを言わずに指示もせずに同じ質問を繰り返す

指示が曖昧なだけでなく指示もなく質問だけでさらに同じ質問が繰り返される

部下にとってこれほど難しいことはない

松下幸之助さんの禅問答のような質問は難し過ぎるかもしれないので、前述のような曖昧な指示しか出さない上司の対処に困っている会社員の方になぜ上司は曖昧な指示を出すのかを書いてみる

まず、上司には2パターンがある

曖昧にしか指示できないので曖昧な指示をする無能な上司と
あえて曖昧な質問をすることで部下を鍛えている優秀な上司である

部下の立場からはどちらなのかはわかりにくい

部下からするとあの上司はなぜいつも適当かつ曖昧な指示しかしないのか
考える力がないのか、馬鹿なのかという疑念がわく

馬鹿を装って部下を鍛えている上司もいれば、本当の馬鹿もいる
この違いは観察眼を鍛えないと見抜けない

上司のタイプが後者の場合、上司の考えていることは
部下に曖昧な質問をすることでどこまで仮説立案ができるかということを探っていることがほとんどだ

いわゆるフェルミ推定である

部下の立場からすると、

上司が■■くん、あの件やけど、あれはこんなふうにうまくっやっといてや

という指示が来たりすると左脳系のロジカルかつ完璧主義者で仕事も早い知的な部下ならこのように考える

あの件ってなんだよ、だいたいあれってなんだよ

あの件とかあれじゃなくてAエリアのマーケティングデータを競合他社と比較して分析結果をパワーポイントで10ページにまとめてグラフィカルな図を用いて来週の水曜日までにまとめて報告してください、とか言えないのか、無能な上司だなまったく

とか考えてしまう

ネット上には、上述のような上司がいかに正確な指示をすべきかというような記事が溢れている

だが、上司の立場とすれば、部下を観察し、上記のようにすぐに合理的な推論ができる部下であればあるほど上司はさらに抽象的かつ曖昧かつ適当に思えるような指示を出して部下の推論力を試しているのである

なぜなら、上司がその指示を作ったり話したりするにも時間がかかる
それがたとえば10分でも15分でも上司が持っている時間と部下が持っている時間には差がある

あえて曖昧な指示を出している上司というのはやろうと思えば、きめ細やかな指示を出すことなどたやすい

だけどその考えたり準備をしたりする時間を上司が取るのか部下が取るのかという問題である
同じ時間をかけるなら上司が考えるのでなく部下が考えたほうが組織としての生産性は上がる

世の中には適切かつ正確な指示をしないと困るタイプもあり、いわゆるASDタイプの部下にはきめ細やかな指示を出すほうがよい

一方で左脳系のロジカルなタイプというのは、自分がロジカルに考えるため、右脳系の曖昧な指示を出されたときに上司が無能だから曖昧な指示しか出せないと勘違いしやすいのである

かくして優秀な上司はあえて抽象的かつ曖昧な難しい指示を与えることで部下を鍛え続ける

あの■■社の件やけど社長怒らせんようにしといてな、あと社長の奥さんによろしくな

部下は社長の奥さんってなんだよー
そんな情報持ってないし!いまの仕事となんの関係があるんだよ、単に社長の奥さんと仲がいいだけどしょ!となる
社長の奥さんなど今の仕事にどう影響しているしまったくわからないしそんなものがビジネスに関係しているとは思えないが上司はすべてつながってわかったうえで計算して指示を出しているのである

例えば、表向きな社長が一番の権限を持っているように思われている会社でも家庭での実権は奥さんが持っているから奥さんの機嫌をとったり奥さんにプレゼントをしたら家では奥さんに頭が上がらない社長を裏からコントロールできるような会社だったりする

もしあなたが優秀な部下のタイプならまず何をすればよいかというと
まず観察である

上司を徹底的に観察し、まず、あれが指しているのが何なのか
あの件が指しているのが何なのか

優秀な左脳系タイプの方であれば、会社内のあらゆる情報を収集して、あの件を類推しようとするとそこまで難しくはない

そして上司が求めるアウトプットのゴールを類推するのだが、これは上司をかなり観察しないと見えてこない

上司が無能で馬鹿だと思っている限り見えてこない

反発したくなる気持ちをおさえてじっと一挙手一投足を観察してみるのである

そうすると、だんだん上司が考えていること見ている風景が見えてくる

これはマネジメント層や経営層が何を見て何を考えているかの知的訓練になる

能力があり成長したい方にはおすすめの方法である

修行だと思って観察訓練を続けているとだんだん上司のことがわかってくる

かくしてそのうち上司が■■くん、あれがこれがという指示を出しても、すぐに、あ、あの件ですが、あの件ならいついつまでにこういう形でアウトプットするので問題ございません、という能力が発達してくる

そのうち、周りの人からは、なぜ、■■さんは、上司のあんなに適当かつ曖昧な指示で答えを導き出せるのかと言われはじめる

エスパーなんですか?

と聞かれるかもしれない

そうこれはひとつのエスパーになるゲームをしているのだと思えば
適当かつ曖昧な上司の指示がきてもやりすごせたりするかもしれない

ただし、例外もある

それは上司が単に二日酔いだったパターンだ

昨日、飲みすぎたから単に面倒くさく指示が曖昧になってしまったパターンである

上司を観察しているとすべてが見えてくるのでその際は遠慮なく行って構わない

上司、わたしの情報と類推では上司は昨日、クラブ●●で22時までには絶対帰るよ奥さんと約束しているからねと言っていたにもかかわらず、きれいな▲▲さんに褒められてついつい調子に乗ってしまい、夜中3時になっても飲みすぎていましたよね、しかも請求金額が予想の3倍になってしまい家に帰ってからへこんで寝るのが遅くなったから朝会社にきても、こんな指示になっているのですよね

そこまでいえば上司は■■くんはようわかっとるなーさすがやなー、まるでエスパーやなー笑

と言ってもらえること間違いなしである

かくしてあなたは上司の気持ちや行動や思考パターンや強み弱みなどをすべて理解したうえで上司と同じようなことができるようになったので無事に出世するのである笑

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