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不登校の児童生徒数、20万人を超える。2021年度、過去最大の増加率。……“問題”は不登校ではなく、【社会】の方にあるのでは??

文部科学省が10月27日、小中学校における不登校児童生徒数の最新の数値を発表しました(2021年度)。
その数は24万4940人
前年度比約25%増と大幅に増え、初めて20万人を超えました。
不登校児童生徒数は9年連続で増えており、過去最多。しかも今回は、その数が増え始めた2012年以降で最大の増加率となっています。

小中学校別の内訳では
◯小学校……8万1498人
◯中学校……16万3442人
でした。

「無気力、不安」が要因の最多

不登校の要因としては
【無気力、不安】と答えた児童生徒の割合が突出して高く、49.7%。
これに、

・生活リズムの乱れ、あそび、非行…11.7%
・いじめを除く友人関係をめぐる問題…9.7%
・親子の関わり方…8.0%
・学業の不振…5.2%
・入学、転編入学、進級時の不適応…3.3%
・家庭の生活環境の急激な変化…2.6%

と続きます。

「普通教育機会確保法」の趣旨、浸透の側面も

不登校児童生徒数が大幅に増えた背景として、文科省は

「児童生徒の休養の必要性を明示した、『普通教育機会確保法』(※)の趣旨が浸透している側面が考えられる」

としつつ、

◯生活環境の変化に伴う、生活リズムが乱れやすい状況
◯様々な制限がある学校生活において交友関係を築くことなど、登校する意欲が湧きにくい状況

…を挙げています。

※教育機会確保法…正式名称は、「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」。

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「不登校が問題」だとは思わない。

私見になりますが、わたし自身は不登校が問題だとは全く考えていません。
文科省が指摘しているように、今回の不登校急増の一因には「『普通教育機会確保法』の趣旨が浸透している」ことも考えられ、それならばむしろ前向きに受け止めてよい傾向だと思います。
昨今増えていると言われるホームスクーリングも、立派な学びの選択肢ですが、言い方を変えれば不登校です。

しかし、不登校の『要因』として児童生徒たち本人が答えたという回答を見る限り、事態を楽観視することはできない、とも強く感じました。
それは、不登校自体が問題という意味ではありません。
問題があるとすれば、不登校という状況にある子どもたちを取り巻く社会=私たち大人、の方にあるのではないかと考えます。

◯不登校に対し、学校現場だけでなく家庭と社会の両面において、私たち大人はおしなべてどのような捉え方をしているだろう。
◯【不登校=悪/問題行動】という見方があるならば、それはどんな思想に基づくものだろう。
◯不登校というアクションを子どもたちが取る理由は十人十色だけれど、その背景について、どれほど理解しようと努めているだろう。

…こういった事々を、自分の頭で深く深く考え、自分なりの意見をもつこと。
それが、私たち1人ひとりがまず取れる行動なのではないでしょうか。
その先に、文科省も進めようとしている【学校外の学び場の充実】の、本当の意味での実現があると思います。

マスク、黙食をもうやめにしよう

もう1つ見過ごせないのが、新型コロナウイルスの影響です。

多くの学校現場では現在も、マスクの常時着用、給食時の黙食等の実質的な強制が続いているようです。

マスク着用は本来、各自の自由意志に委ねられているはずだし
街を歩けば、飲食店で談笑している人々の姿をごく普通に見かけます。
それが子どもの世界になると認められない、というのは道理が通りません。
まして子どもたちの心身の負担となり、結果として不登校に繋がっているケースがあるならば
現場の対応をすぐにでも変えるべきです。

安心できたら、意欲がもてる

現在、不登校の状況にある子どもたち1人ひとりにとって
家庭の内外に心から安心していられる環境があり
周囲からの肯定的な眼差しに見守られる中で、彼・彼女たちが心身を休ませることができたら
どんな子どもも、それぞれの『次』へ向かう意欲を持てるはず。

だからまずは、問題の在処に関する視点を
【不登校】から、大人が大部分を構成している【社会】に移してみる。

これを実行する人が増えることを、願います。


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