見出し画像

“学びの連続性”を担保せよ!子ども1人ひとりの“発達”に着目。教育課程のこれからを探る①

これからの教育課程や学習指導、学習評価などの在り方を議論する有識者会議で、『これからの教育課程の在り方』をテーマに、委員の話し合いが行われました。


前回の検討会で、「教育課程に関連して議論の必要がある」と示された論点は4つ。
その中でも

①幼児教育から高等教育卒業段階までの、発達をどのように支えるか?
②子どもたち1人ひとりの特性を考慮した教育課程の個別性と、それらを包摂する学校の教育課程との調整をどのように図るか?

の2点について、出された意見を紹介していきます。
前編では、①について。

子どもたちの”発達”には幅がある

「子どもたちの発達には、幅がある。
このことを踏まえると、学びの連続性を共有することが大切だ」

発達心理学などを専門とする委員が、こんな趣旨の指摘をしました。
以下、意訳したまとめです。

✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼

制度上は2年ごとの区切り。が、子どもの視点に立つと…

『人々は多様である』という認識が昨今、共有されつつあるが
学校教育においては、低学年・中学年・高学年という2年ごとの区切りで
各時期における、子どもたちの特性が示される形が一般的。
しかし、当然ながら子どもも多様であり、個人差があるわけで
1人ひとりの子どもたちの視点に立つ必要がある。

その上で、発達保障の観点からすると
1人ひとりの《経験》や《学び》が、《連続していること》が重要になってくる。
これまでしてきた経験が、次の経験とつながることで初めて、発達の段階を経ていくからだ。
この点を学校教育関係者などが共有し、今後の教育課程などにも反映させていく必要がある。

進級、入学&卒業…環境移行期が‘”危機

実際には、進級に伴う学年間、また入学や卒業といったタイミングでの学校間の環境移行によって、学びや経験の非連続性が起きている。
「自分のしてきた経験や学びが、次につながらない」=学びや経験の非連続性は
“発達の危機”といってもいい。

こうした事態の解消に向けては
例えば「幼稚園・保育園/小学校」といった、異なる学校種間でつながりを持ち
学習面や経験面で、行きつ戻りつできるような内容を組み立てることが、発達の観点からは重要になる。

様々な経済背景や個々人の特性によって、発達の過程は今、多様だ。
その点については、従前の学習指導要領でも言及されてはいるけれど
より配慮し、丁寧に論じていく必要がある。
✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼

幼児期の学びを、小学校につなげる

なお、文科省が22年3月に公表した
『学びや生活の基盤をつくる幼児教育と小学校教育の接続について ~幼保小の協働による架け橋期の教育の充実~』には

0歳から18歳の学びは連続している
(中略)幼児教育と小学校教育が、それぞれの教育の充実を図るに当たり
幼児教育施設は、小学校以降の教育を見据えて、小学校以降の学習や生活の基盤の育成を行うとともに
小学校においては幼児期に育まれた資質・能力を踏まえて、教育活動を実施することが重要である」

と書き込まれています。

今後の教育課程の編成に際して、個々の発達保障という観点から
つながりを踏まえた教科や単元の設定が行われやすいような環境整備が、なされていく予感がします。

〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・

「実際には、進級に伴う学年間、また入学や卒業といったタイミングでの学校間の環境移行によって、学びや経験の非連続性が起きている」

実体験を踏まえて、共感しかありません。
我が家の長男は今春、小学校に入学しましたが
まさに環境移行に戸惑い、1人で通学できず、登校から下校までわたしが校内でずっと付き添っています…。
わたしから見ても、3月末まで、自然保育園で毎日泥だらけになって遊んでいたのに
4月の入学以降はそれが叶わない、ということをどう説明したらいいのか、分からずに今日まで来ました。
分からない、というより、説明に自信が持てません。
なぜなら今回の環境の変化が、彼の発達のペースではなく
「満6歳から就学」という制度に基づいたものだからです。

進級や、小学校から中学校への移行も、子どもによっては相当なインパクトを持つのでしょう。
杓子定規に「低・中・高学年」とカテゴライズするのみでなく
もう少しきめ細かい、個々の発達特性を汲んだ教育課程が組まれやすくなるよう
個人的にも願っています。


#多様性を考える

この記事が参加している募集

多様性を考える

よろしければ、ぜひサポートをお願いいたします。 電話代をはじめ、「教育行政かわら版」の取材経費にあてさせていただきます。 100円などでもとっても助かりますし、お気持ちを大切に巡らせたいと思います。