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娘がなぜか通い続ける音楽教室。その理由とは。

娘は3歳からグループレッスンの音楽教室に通っている。保育園という比較的自由なところしか知らない娘が、果たして小学校生活をまともに送ることができるだろうかと心配だったため、3歳になった翌月から音楽教室に通い始めた。

娘と音楽に親しむなんて、どんなに楽しく過ごせるかと私はワクワクして通い始めたが、甘かった。

娘は感情の起伏が激しかった。楽しく歌やダンスをしていたかと思うと、すぐに飽きて不機嫌になったり、椅子にゴロンとしてしまったり。
クラスの子を見ても、こんなに落ち着きのない子はいなかった。

言い聞かせてわかる年齢でもなく、周りに迷惑をかけてしまいひたすら肩身が狭く辛かった。
でも、先生に辞めてほしいと言われるまで、もう少し頑張ろうと私は自分を励ましながら通っていた。

不思議と娘は辞めたいと言わない。

年中、年長の2年間は更に酷かった。練習してきた曲を少しでも間違えてしまうと、たちまち不機嫌になり騒ぎ出す。自分の前にあるエレクトーンを蹴ったり、エレクトーンの下に隠れたり。他の生徒に迷惑だからと、先生に外に出るように促されることも一度ではなかった。

娘に話を聞くと怒りたくないけど、怒りたくなるという。次第に、音楽教室で怒らないことが私達の目標になっていった。上手く弾けたかどうかではなく、怒りたくなったときに、騒がずに深く深呼吸をして抑えられたかどうか。耐えられたときは、親子で喜んだ。

けれど、年長も終わりに近くなった頃、久しぶりに大暴れして教室を出た。迎えに来た先生に靴を投げる始末。いくら悔しいからといって、これはキレ過ぎなのではと思い、音楽教室から帰ったらすぐにかかりつけの小児科に電話で相談し、診察の予約をした。

娘は、どこかおかしいんじゃないか。

小児科の先生からは、娘は場所を選んで騒いでいるから病気の疑いはないとの診断を受けた。むしろ状況を把握している賢い子であり、負けず嫌いはとても良いことでもあるから、気長に見守るようにとのことだった。別のところで、すごく我慢をしているのではないかということも言われた。

翌日、保育園の担任に、音楽教室であまりに暴れるため、小児科に相談したことを伝えると、担任は言葉を失った。

保育園での娘は気の強い友達に囲まれていて、いつも押し黙って自己主張ができない大人しい子だと。もう少し自分を出せばいいのにと心配しているくらいで、暴れるなんて考えられないと。まるで別人だった。

ここで、私のモヤモヤがスッキリした。保育園の我慢が、音楽教室で爆発していたのだ。言葉で気持ちをうまく伝えられないことも相まって、こうなってしまっているんだとよくわかった。
小児科の先生に感謝した。

こんなに小さいのに、いろいろあるんだなとなんとも言えない気持ちになった。

教室からの出なければいけないほど暴れるし、練習も好きではないのに音楽教室を続けるのは、暴れても向き合ってくれる先生や何があっても見捨てることはないとわかっている私がいるからなのだと思った。

音楽教室という保育園以外の居場所を作ったのは、娘にとってとても良いことだったのかもしれない。ただ、私は泣きたいほど辛かったけれど。

今は娘も小学生になり、学校や学童に保育園の頃の何倍もの友達がいて、たくさんの世界を持つようになった。音楽教室でも、暴れることなく安定している。

未だに楽譜が読めなかったり、声掛けがなければ練習をしないので、好きじゃないならそろそろ音楽教室を辞めようか。と私が聞いても、先生もクラスの友達も大好きだから、大変でも続けたいと娘は言う。

そんなふうな習い事の続け方があるとは。
習い事では友達も出来ず、先生のことをそこまで好きになったことのない私とっては、ありえない発想だ。

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