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今度こそは。娘の待ち合わせ成功にかける思い。

週末のランチに、家族で近くのイタリア本格ピザ屋さんに行った。レジでオーダーを済ませ、飲み物を冷蔵庫の前で選んでいると、先に席に向かっていた娘が戻ってきた。

1年のとき一緒のクラスで隣のマンション住んでいるあみちゃんの家族がいると言う。私も席に行くと、隣の隣のテーブルにあみちゃん家族がいた。あちらのお母さんと顔見知りだったので、会釈した。

レタスと生ハムたっぷりのピザとマルゲリータが、すぐに焼き上がった。小さい頃から娘はここのマルゲリータが好きで、今回もあまりお腹が空いていないと言いながらも、次から次に食べていく。私もレタスと生ハムのピザを堪能していた。

中盤に差し掛かると、娘がこのあとあみちゃんと遊びたいと言い出した。今にも立ち上がって、あちらの家族のところへ行きそうなところを夫が止めた。「あちらも食事中だし、自分が食べ終わってからにして。」
娘は座り直して、続きを食べた。

私はランチの後に出かける用事があったので、「4時からなら付き合えるよ。雨が降ったらマンションのキッズルームで遊べばいいね。」と娘に言った。

私達家族が先に食べ終わり食器を下げていると、あみちゃんが手を洗いに立った。娘に、「一緒に手を洗っておいで。ついでに誘ってみたら。」と私は気付いていなかった娘に声をかけた。

娘はササッとあみちゃんのところへ行き、少し話して戻ってきた。
「行けるかわからないからだめだって。」
それじゃ仕方がないから帰ろうと、店を出ると娘が急に置いてあったイスに座った。

「どうしても諦めきれない。もう一回行ってくる。直接お母さんに聞いてくる。」と店の中に入っていこうとした。
「待った!待ち合わせはどう伝えるの?」
「家の前の公園に4時。」
「公園のどこ?」
「滑り台のところ。」
「OK!行っておいで。」
娘は、店の一番奥のあみちゃん家族のテーブルに一直線に向かった。

これまで、娘は待ち合わせに何度か失敗している。一度目は、待ち合わせ場所を2ヶ所に指定してしまい、友達と会えなかった。二度目は、まだ時間のわからない1年生の女の子と約束してしまい、待ち合わせが成立しなかった。

今回こそは上手に待ち合わせしたいという思いがあったのか、あまりにも積極的な娘に驚いた夫と私は、店の外から見守った。
しばらくすると、娘が無表情で店から出てきた。

交渉は失敗かな?と思っていると、
「少し遅れるかもしれないけど、4時に来るって。お母さんが少しうーんって言ってたけど、大丈夫だって。」と娘は言った。

「すごいね!一人で交渉してきたんだね。待ち合わせできたね。」と思わず私は言った。
夫も驚きを隠せず、「ほんとに一人で話に行ったんだね。恥ずかしくなったの?」と聞いた。
「全然。」娘は答えた。

3時50分になった。前回失敗した待ち合わせのときは、時間ぴったりに集合場所へ行ったので、今回は早めにいくと娘は言い、一緒に家を出た。

外は雨が降り出し、大きな公園には誰もいない。傘をさして滑り台のところで待っていると、遠くから親子連れが見えた。

「あれ、あみちゃんじゃない?」と娘に言うと、娘は駆け出した。

親同士で一通り挨拶を済ませ、私があみちゃんを預かってキッズルームで遊ぶことになった。初めて待ち合わせが成功した娘と、初めて娘から遊びに誘われたあみちゃんは、ハイテンションでぴょんぴょん飛び跳ねながら、キッズルームへ向かった。

娘はまた一つできることが増えた。


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