オーストラリアを背負って立つコアラのメランコリックな背中

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ヨルシカ「盗作」全曲レビュー⑮花に亡霊

14.花に亡霊夏の匂いがする 良い曲ですね。いつ聴いても、何度聴いても、どこへ出しても良い曲。 n-bunaさんはこの曲について、 〝綺麗な言葉と、綺麗な情景と、綺麗なメロディだけを詰め込んだ、深い意味のない、ただただ綺麗なだけの曲〟 と仰っていて、そんな曲でも「成立する」、良いものになるんだと。 「花に亡霊」はn-bunaさんのそういう考えを、文句なしに証明するものになってますよね。「キレーだなぁ」と思って聴いて、夏の青空が心に染み入って良い気分になる。それだけで

    • ヨルシカ「盗作」全曲レビュー⑭夜行

      13.夜行この綺麗な情景こそ、ヨルシカの真骨頂だなぁと思わせてくれる曲。歌という形で、こんなに綺麗な景色を描いてくれるアーティストって、他にはちょっとやそっとじゃ見つからないと思います。歌詞だけじゃなくて、ボーカルも周りのサウンドも全部合わさって、最も良い形となってこの美しい風景がお出しされてるんだと感じました。 この「夜行」を先駆けに、アルバム「盗作」という新章が始まったわけですから、一曲だけかなり早い段階で解禁されてまして、そのせいか、独立した曲の印象が拭えません。

      • ヨルシカ「盗作」全曲レビュー⑬幼年期、思い出の中

        12.幼年期、思い出の中ピアノの音だけで出来ている、最後のインスト曲。静かに余韻を残すような終わり方で、「夜行」の穏やかで綺麗なイントロへの、これ以上ないくらい心地良い導入になっている気がします。 あまり想像も膨らまなかったので、特設サイトのインタビューを引用させていただくと、 〝この曲は原っぱで寝っ転がりながら夕暮れを待っているという情景をイメージして作った曲ですね。〟 とのことです。夕方だったんですね。原っぱで寝っ転がっているのは当然、少年の頃の盗作男でしょう。時間

        • ヨルシカ「盗作」全曲レビュー⑫逃亡

          11.逃亡初聴きは、かなり前のYouTubeラジオでの弾き語りでした。アルバムのリリースが発表され、収録曲を見て「あぁ入ってんだな」程度の認識。トレーラーでちょい聴きして「意外とお洒落にアレンジされてんなー」と片付け・・・準既存曲みたいな位置付けで、大して期待はしていなかった。 三回ぐらいフルで聴いて思いました。今回のアルバムの中で一番好きかもしれねえ。 これはあれですね。中学三年間一緒で特に何とも思ってなかった地味な女子を、高校も一緒で入学から三日間くらい何となく目で追

          ヨルシカ「盗作」全曲レビュー⑪思想犯

          10.思想犯認められたい、愛したい                       これが夢ってやつか                         何もしなくても叶えよ、早く、                    僕を満たしてくれ ここの歌詞大好きです。いきなり脳内に流れてくる(笑)。 この曲は特にBメロが半端ないですね。メロディーも疾走感があって、虚ろな調子のAメロからグッと引き込まれるし、何よりボーカルが良い。(suisさんの低音ボイスに潰されたい。)語気が強くなっ

          ヨルシカ「盗作」全曲レビュー⑩盗作

          9.盗作表題曲!音楽泥棒の盗作の起源が描かれてます。 この曲で言ってることは、一部「レプリカント」と似ている気がします。「レプリカント」では、「年老いて命を失いかけた時に、やっと本物が見えるようになる」みたいな解釈をしてましたが、「盗作」の一節はこう。 何もかも失った後に                         見える夜は本当に綺麗だろうから、                  本当に、本当に綺麗だろうから、 ね?似てますよねっ?盗作男の一貫した考えが窺えます。

          ヨルシカ「盗作」全曲レビュー⑨朱夏期、音楽泥棒

          8.朱夏期、音楽泥棒インスト曲ですねー。読み方は「しゅかき」なんですね。人生の真っ盛り、壮年時代を表す言葉らしいです。音楽泥棒も年を取りました。 咳の音と、水が一滴一滴落ちるような音が印象的。っていうかこの咳、  n-bunaさんだよな・・・?多分。ヨルシカファンならピンと来たであろう、「咳をしても一人」ですね。作者は尾崎放哉。 尾崎放哉は享年41だそうで、この句は晩年に詠まれたものということだったので、まさに「朱夏期」の作品ですね(壮年期は31~44歳くらいまでのことら

          ヨルシカ「盗作」全曲レビュー⑨朱夏期、音楽泥棒

          ヨルシカ「盗作」全曲レビュー⑧花人局

          7.花人局「失ったばかり」の歌。日は確実に暮れてきています。 アルバムトレーラーを聴いて、一番気になっていました。ラジオでsuisさんは「ヨルシカらしい曲」と仰ってましたが・・・どうだろう?フルで聴くと、むしろヨルシカっぽくないように感じました。 JPopのよくある「切ない別れの歌」の路線に沿った、良い意味で王道の曲というか。ですから、「ヨルシカあんまピンと来ないんだよな~」って人にもウケそうな気がします。 生活感溢れる歌詞のところで、n-bunaさんから「化粧水」とい

          ヨルシカ「盗作」全曲レビュー⑦レプリカント

          6.レプリカントROCK KIDS 802 で初めてオンエアされた時、清涼感あるいつものヨルシカらしい曲調で、割と冷静に聴いていられたのですが・・・ ラストが最高!! その時にやっとわかる 僕もその青さがわかる ここですね~ブチ上がりました。激エモです。何度聴いても良い。 「だから僕は音楽を辞めた」とか「八月、某、月明かり」とかも最後ブチ上がりで終わるやつで、こういう曲は正義ですな。 それから、「夏の匂いに胸が詰まっていた」のところ、流石suisさん鬼の表現力で、ギ

          ヨルシカ「盗作」全曲レビュー⑦レプリカント

          ヨルシカ「盗作」全曲レビュー⑥青年期、空き巣

          5.青年期、空き巣今回のアルバムのインスト曲の中で一番好きです! 「爆弾魔」は昼下がりくらいのイメージなので、この曲は昼下がりの更に少し夕方寄りといった感じでしょうか。冒頭にカラスの鳴き声のようなものが入っていますし。 印象深いのは、ラジオのお知らせ音声みたいなフレーズですよね。 This is the end of side 1 of this record.                Please now turn it over for the second

          ヨルシカ「盗作」全曲レビュー⑥青年期、空き巣

          ヨルシカ「盗作」全曲レビュー⑤爆弾魔

          4.爆弾魔「負け犬にアンコールはいらない」から時を経て蘇った曲。 音の透明感が増して、ボーカルがよりエモーショナルになった印象です。 n-bunaさんのハモリも、負けアンバージョンと比べるとガッツリ入ってますね。今回のアルバムは全体的にn-bunaさんのハモリがよく聞こえる!囁くような声というか、ちょっとハスキー(?)というか。正直、好きです(好きです)。 前回のYouTubeラジオの生演奏でも歌ってくださってましたが、想像以上にお上手で・・・!上手いし声が良い。暖かみ

          ヨルシカ「盗作」全曲レビュー④春ひさぎ

          3.春ひさぎ「昼鳶」と並んで、このアルバムのダーティな空気感を醸すのに一役買っている曲。 「おくんなまし」「おくれ」「左様な」「言勿れ」「詮の無い」等、郭詞風・文語風の言い回しが個性的な曲です。またまた特設サイトのインタビューでは、n-bunaさんがこの曲のきっかけについて教えてくれてます。 〝そもそも犯罪をテーマにするということを話したときに、suisさんが「売春の曲を作ってよ」と言ったんです。それで「ああ、なるほど」と思って。〟 suisさん、なんちゅう提案を・・・

          ヨルシカ「盗作」全曲レビュー③昼鳶

          2.昼鳶言うまでもなく、suisさんの舌打ちが最高な一曲。 ラジカセのボタンを押す音から始まって、suisさんの舌打ちで終わる。 もうイントロからカッコいいですよね!特設サイトのインタビューを見ると、あの低音はスラップギターというやつを使っているらしいです。アコギのキュッ!て音がするやつかな?ボーカルも低音。今回のアルバムで確定しましたが、suisさんの低音は耳が妊娠するやつですね。(もっと!もっと聴かせてくんろ!) サビ前、高らかに鳴るギターがトンビの鳴き声を連想させ

          ヨルシカ「盗作」全曲レビュー②音楽泥棒の自白

          1.音楽泥棒の自白1曲目。インスト曲ですね。アメリカの初期のラジオショーの始まりみたいな導入から、ノイズ、suisさんのハミング、ガラスの割れる音など、アルバムの世界観を作るような音たちが、n-bunaさん曰く「コラージュ的に」顔を出します。奥で鳴っている、何かが燃えているようなノイズが不穏な感じですよね。 ここでのsuisさんのハミングですが、「春ひさぎ」「花人局」「逃亡」「夜行」でも似たような旋律(?)のハミングが入ってます。アルバム内に散りばめられた共通の要素という感

          ヨルシカ「盗作」全曲レビュー②音楽泥棒の自白

          ヨルシカ「盗作」全曲レビュー①

          7/29にリリースされたヨルシカのアルバム「盗作」について、キャンペーンに合わせて全曲感想を書いていきます! *初回限定盤の小説は読んでいません。音源だけ聴いた立場からの感想になります。 *ですので背景の物語については、概要把握してる程度です。 まずアルバム全体を通してn-bunaさんとsuisさんのお二人が、ずっと前のラジオ(?)でチラッと言及されていたこととか、発売前の試し聴き、クロスフェードなんかで判明していたのは、今回のアルバムはこれまでのヨルシカと比べて、ダー