Satoshi Yanagisawa

元オリンピック競歩選手 オリンピック・世界陸上ではTV解説を努める。 縁あって理学療法士・作業療法士の教育機関 「国際統合リハビリテーション協会」の皆様と ウォーキングをツールとした社会貢献を模索中。

Satoshi Yanagisawa

元オリンピック競歩選手 オリンピック・世界陸上ではTV解説を努める。 縁あって理学療法士・作業療法士の教育機関 「国際統合リハビリテーション協会」の皆様と ウォーキングをツールとした社会貢献を模索中。

最近の記事

ウォーク&競歩 年齢を重ねれば重ねるほど、ただ長い距離だけを歩いてもスタミナがつかない理由

ウォーキングをする方で、 「いつも長い距離を歩いているのに、歩くスピードが落ちてきた」 っと感じる方は少なくない、と思います そういう方ほど、普段のトレーニングが =とにかく長い距離を歩く= というトレーニングに偏りがちです 長い距離さえ歩いていれば「スタミナ」がつく は間違いです。 特に「年齢を重ねれば重ねるほど」 持久系トレーニングは、遅筋の発達を促すので 筋肉自体は細くなり、筋肉量自体は減る方向になります そうなると、最大酸素摂取量 つまり、身体

    • 速く歩く、ために「上下動を無くす」ということがどれぐらい大切か?

      前に進むときに「上下動が起こる」ということは 重心の位置が「上がって、下がる」ということを繰り返している ということです 簡単に言うと 一歩一歩で大きな上下動が起きるのは、スクワット運動をしながら歩いている、ということです そして、上がった重心は当然下がる訳ですから、その衝撃を受け止めなければならなくなります 筋肉は当然のことながら、関節もその衝撃を受け止めなければなりません ウォーキングとランニングを比べると、跳べるランニングは重心の上下動が ウォーキングよ

      • 自分の力ではどうにもならない、わずか3か月で去る君に伝えたいこと

        「自分の力だけではどうにもならない」 そんな経験は、50近くになると数多く経験している そんなときの割り切り方や、頑張り方、心の持ちよう いくらでも整理を付けられる まだ入学したばかりの1年生が大学を辞めることになった コロナの影響で父親の仕事環境が厳しくなったのが 主な原因らしい。 そんな彼にどんな言葉を掛けようか?っと悩んで 掛ける言葉も決まらないまま、練習が終わって 声を掛けた。 私の表情が雄弁に語っていたのだろう 自分でもそんな顔をしていたと思う

        • サッと振って、ギュッと引くではダメ、擬音での動作指導の楽しさ難しさ

          トレーニング指導をしていて、 つい「擬音」で表現してしまうことがあります。 例えば地面を蹴るというか、足で身体を 前に押し出すために、 「もっとグッと押す感じ、グーだと長すぎる」 っと言ってみたり 腕振りで肘を振るときに 「パッっと振って、サッと引く」 サッと振ってパッと引くではダメなんです(笑) 骨盤を使う時に 「お腹をもっとギュッとねじる」 これは何となく分かりますかね もちろん、この擬音で伝えて 通じる人と、通じない人がいます 実は、同じく擬

          時速6kmのスピードで「ウォーキング」できない方の特徴

          ネットでいろいろと検索を掛けてみると 人の歩行速度は時速4~5kmと解説されていることが多いです そうなると、時速6㎞は普段の歩行よりもやや速いペース 12分/kmが時速5km 10分/kmが時速6km 1km歩いただけで、150~200m近い差が開くので 時速6㎞が速いと感じるのも無理はないでしょう 時速6kmでウォーキングすることは難しいか? っと聞かれれば、 「健常な方であれば身長に関係なく誰でも歩けます」 それでも、時速6kmで歩いたことが無い方に

          時速6kmのスピードで「ウォーキング」できない方の特徴

          怪我を防ぐためにウォーキングからランのススメ

          ウォーキングとランの決定的な違いは 「跳ばない(ウォーク)」「跳ぶ(ラン)」 跳ぶという事は、どうしても着地の衝撃が大きくなります 跳ばなければ、「前方への重心移動」をさせるだけで前に進みます いかに「衝撃」を起こさないか、というのは怪我を防ぐためには とても重要なポイントです。 しかし、ランで「跳ばない」というのは難しいこと(っというかできない) そうなると、衝撃を少しでもやわらげる為に 高く飛ばないように意識付けをするか?が大切です だからこそ、必然的に

          怪我を防ぐためにウォーキングからランのススメ

          ウォーキング人口が4000万でも医療費は削減に寄与できない不思議

          リライト版 内閣府の調査ではウォーキング人口は4000万人と言われています。 それは、本当でしょうか? ということで調べてみると、確かにこんなページがありました。 44%の人がウォーキングをしたと答えているので、4000万という数字がでます。 スポーツ庁の調査でも、20,000名規模の調査で 実に60%の方が「1年間でおこなったスポーツ」に《ウォーキング》 っと回答しており、2位の《ランニング》16%ですから その実施率たるや圧倒的です https://ww

          ウォーキング人口が4000万でも医療費は削減に寄与できない不思議

          夏の時期、雨の日のウォーク&ラン  実は一番気をつけなければいけないこと

          雨の日でも、走る!歩く! っという猛者は意外に多いと思います 夏の時期であれば、気温も低くなく 雨がちょうど良く体温の上昇を防ぎ かえって歩きやすかったり、走りやすかったりするものです ウォーク初心者・ラン初心者が失敗しがちなのは 濡れない準備をしてしまうこと。 夏の気温の高い時期に濡れない準備をしてしまう つまり、雨除けの合羽などを着てしまうことです そうなると、体温が上がりやすくなり 大量の汗を掻くことになり、結局はびしょぬれになる なんてことも少な

          夏の時期、雨の日のウォーク&ラン  実は一番気をつけなければいけないこと

          100kmを歩くために、スピードを身に着けよう!

          競歩で100㎞を歩いてサブ10(10時間切り)をするのは トップ選手であればそれほど難しいことではありません。 20㎞くらいであれば4’/㎞(時速15㎞)で歩く訳です。 そうなると5’/㎞(時速12㎞)だと1㎞で1分遅くていい訳です。 これはかなり遅いです。 そして、6’/㎞(時速10㎞)となると、 何とか進んでいる…という感覚でしょう。 このことは、 でも書いています。 競歩選手の100㎞への挑戦にあたってトレーニングは、 選手はそれほど長い練習は多くし

          100kmを歩くために、スピードを身に着けよう!

          「怪我をするために、走っているようなものだよ」と医師に言われてした選択

          表題の言葉は、サポートしている方が、 膝の軟骨浮腫を患い、それでもマラソンを走りたいと思い やっぱり走ってみたら膝が痛くなり、 医師に相談をしたら言われた言葉です。 このままでは医者の言う通り 「膝を痛めるために走っている」ということから抜け出せない そこで、膝への負担を少なくした走り方を身につけよう!っと 努力が始まりました。 そこで選択したのが、ランのトレーナーではなく 競歩のコーチ。 なかなかのかい選択だと思います。 そこで聞いてみました。 「な

          「怪我をするために、走っているようなものだよ」と医師に言われてした選択

          競歩の選手は本当に「お尻を振って」歩いているのか?

          まずは、ご覧いただこう トレッドミル(一般的にはルームランナー)で歩く競歩選手です そのフォームの印象は、 ・リラックスされている、 ・腰が柔軟に使われている ・スムーズに歩いている ・クネクネしてる などなど、 見る人によってさまざまな印象を持つでしょう この動画で歩いているのはチリの選手で オーストラリアで測定をしているときに撮ったものです 一般的にYouTubeにある競歩動画と違って 横からも後ろからも、競歩のフォームが分かります このチリの選

          競歩の選手は本当に「お尻を振って」歩いているのか?

          一般のランナー・ウォーカーがトップアスリートから《学んだ方が良い理由》《学ぶべきではない理由》

          何か習い事をしようと思う時 その道のトップになった経験がある人から 学んでみたい、というのは当然でしょう マラソンで言えば大迫選手(マラソン日本記録保持者) 競歩やウォーキングなら鈴木雄介選手(世界陸上金メダル) やはり、最速で走る・歩く技術を学びたい その経験や技術を学びたい、誰もが思うことです トップアスリートに学ぶのは、一定のリスクがあります それは、トップアスリートは「応用力」に長けているからです つまり、基本的なことをベースに 自分に合った技術や

          一般のランナー・ウォーカーがトップアスリートから《学んだ方が良い理由》《学ぶべきではない理由》

          【歩いて】走っている人を抜くために必要なこと

          3つの大事な要素がありますが、順番に解説していきます 3番目に大事なのがスピード 意外に思うかもしれませんが、スピードは大事な3つの要素の 3番目です。 スピードが速ければ速いほど、すぐに抜ける可能性は高く 当然、走っている人を抜く訳ですから、走るより速いスピード これを出さないといけないのですが、 スピードが出せてもすぐに抜き返されては元も子もありません 2番目に大事なのはスタミナ 走る人を抜く、となると相手も走っているので 抜くためのスピードを出し続け

          【歩いて】走っている人を抜くために必要なこと

          100kmを10時間を切って「歩く」ということを解説

          サロマ湖100㎞マラソン、はランナーにとって 有名なマラソン大会です。 日本代表の競歩チームは何回かトレーニングの一環で出場しています 2018年にサポートしていた競歩選手が出場しました ゴールタイムは、9時間52分51秒 順位は陸連登録部門別男性200位でした。 男女合わせて3500名くらいが参加する「走る」大会で 歩いて200位、というのは、その速さが分かると思います。 ラップ表を見てみましょう フルマラソンをサブ4で通過しているのが分かります。 ゴー

          100kmを10時間を切って「歩く」ということを解説

          ウォーキングや競歩で、スピード維持し続けることができない要因

          ウォーキングであれば、時速8㎞(7’30/㎞)ペースで歩けると かなり速い方になります。 100㎞ウォークだと、12時間30分でゴールができる計算になります 競歩のトップ選手であれば、10時間は切ります。 以前は強化の一環として、サロマ湖100㎞マラソンに出ていたので その速さを目撃したことがあるという方もいるでしょう 100㎞というとかなり極端な距離ですが、 距離が短かろうと、長かろうと、 スピードが維持できない理由に大きな違いはありません スピードが維持

          ウォーキングや競歩で、スピード維持し続けることができない要因

          純日本人って、どんな人? 代表選手の視点で考える

          世界陸上ロンドン大会男子4×100mリレーで銅メダル獲得しました。 「今回は純日本人でメダルを獲得出来て良かった」という、コメントをもらいました。 強烈な違和感を感じて「そもそも日本人しか日本代表になれませんけど…」と返事をしたら、 「ハーフを日本人というには違和感がある」とのこと。 うーーーーーん… 日本は島国。 どうしても多人種を受け入れるという土壌や文化が無かったのが起因して 多くの方にはハーフは純日本人じゃない、っということ? を感じる人が多いのかな?

          純日本人って、どんな人? 代表選手の視点で考える