白鳥和也/自転車文学研究室

『丘の上の小さな街で 白鳥和也自転車小説集』(枻出版社)、『自転車部品の美学』『七つの…

白鳥和也/自転車文学研究室

『丘の上の小さな街で 白鳥和也自転車小説集』(枻出版社)、『自転車部品の美学』『七つの自転車の旅』『自転車依存症』(以上平凡社)、『静岡で愉しむサイクリングライフ』(静岡新聞社)など9著作あり。 note 等の情報利用は自己責任でお願いします。自転車の愛車はランドナーなど数台。

マガジン

  • 白鳥和也の紀行文集

    主に自転車旅の紀行文集です。ガイド的内容ではなく、紀行的文学と思っていただいたほうが良さそうですな。一部は有料化する予定。

  • 白鳥和也の視聴覚室

    動画&音楽ファイルのコーナーです。オリジナルミュージックやスライドショーなど、あれこれ。演奏も自前なので、もちろん無料であります。

  • 白鳥和也の多次元的エッセイ

    次元上昇的ネタを含む多次元的エッセイシリーズでして、現在のところ無料記事。サポートはもちろん大歓迎であります。

  • 白鳥和也の旅エッセイ

    紀行文というより、旅のあれこれについての随想です。自転車以外の旅についても取り上げます。現在無料記事で、サポート大歓迎。

  • 白鳥和也の掌編&短編小説(一部有料)

    掌編と短編の小説集です。一部を除き、無料でお読みいただけますが、サポートしてくださると大変ありがたいです。

最近の記事

  • 固定された記事

亡き知人を想う

しばらく音信のなかった、知人であり友人でもあった人の消息を リアルタイム検索(ツイッター検索)で探した。2日前のことである。 某大学の名誉教授であり、請われてよく講演などに登壇していた人なので、そういう活動の様子が分かるだろうと思って検索したのである。 そうしたら、「亡くなられたらしいが詳細は分からず」というツイートがあり、血の気が引いて愕然とした。 どうか誤報であってほしいと願いながら、facebookなどの知己を通して照会していたら、昨日になって、まことに残念極まる

    • パターソンの世界

      フランク・パターソン(1871~1958)ほど、旅を好むサイクリストに愛されている画家はいない。そのペン画の魅力は説明不要である。自転車で旅をすることのありとあらゆる面白味が、あますところなく描かれている。 38歳で足の怪我のために自転車を乗ることができなくなったらしいが、その後もサイクリストとサイクリングの素晴らしさを描き続けた。パターソンの描いた自転車は英国流のモデルで、いわゆるランドナーとは異なるが、自転車の旅におけるその存在感はランドナーとまったく異ならなかった。

      • 食い足りない旅行記

        noteには旅に関する記事が多いように思える。これは私自身が旅に関する記事を多く書いていることから、アルゴリズムによって表示される他人の記事もまた、旅に関するものが多くなるという法則に従っているだけなのかもしれないが、それにしても旅系の記事は目立つ。 旅は多くの人にとって、人生の中での重要なイベントである。冠婚葬祭に次いで意味の大きなイベントであると言って間違いはなかろう。一年に一度は遠出の旅をしたいと思っている人は少なくないはずだ。 そういうことのせいか、noteにも旅

        • 車中泊旅行の長所と短所

          車中泊で旅をしていると、良いことも悪いこともある。それについてちょっと考えてみようと思う。もっとも、私とかみさんで車中泊旅行に出掛けた経験は、最長でも5泊6日ぐらいであるので、まあそれくらいの旅の話だと思ってもらいたい。 また、うちの車は低年式車とはいえ、いちおうキャンピングカーであるので、身長168cm以下の私とかみさんなら、車内で立つこともできる。これができるかどうかは、快適性に大きな差がある。換気扇やサブバッテリーも備わっており、それらがない車とは使い勝手も違う。

        • 固定された記事

        マガジン

        • 白鳥和也の紀行文集
          40本
        • 白鳥和也の視聴覚室
          6本
        • 白鳥和也の多次元的エッセイ
          17本
        • 白鳥和也の旅エッセイ
          50本
        • 白鳥和也の掌編&短編小説(一部有料)
          52本
        • 白鳥和也の『真夜中の自転車』
          6本

        記事

          消えゆく小さな宿

          自転車の旅に独りでよく出掛けていた頃、泊る宿は小さな宿が好みだった。輪行で大距離を移動したあとの最初の一泊などは、駅に近いところのリーズナブルなビジネスホテルにすることがほとんどだったが、次の日から自転車での走行を開始して、走って辿り着く宿は、個人経営の小さな宿が多かった。 自転車で旅を続ける途中で泊るところは、大きな駅が最寄りのところや都市部は避けた。市街地やホテルは何かと面倒だったりするし、賑やかな場所は落ち着かなかった。できるだけ静かなところに泊まりたかったので、急行

          タイパという傾向

          「タイパ(タイムパフォーマンス)」が声高に叫ばれる。「時間対効果」を重要視する考え方である。いつの頃からそういう考え方が広がってきたのか、自分は知らない。 しかし昔はそんなことは言われなかった。その逆の「石の上にも三年」とか「急がば回れ」みたいなことはよく言われていたが。 「タイパ」を代表するような生き方として、映画を早送りで見るようなことが典型的とされる。そういうタイトルの本も出ている(自分はまだ読んではいないが)。 いわゆる「速読法」なんかも「タイパ」との関連が深い

          自転車を通して見えるもの

          自転車というものを通していろんなものが見える。それは歴史だったり、ある国の工業生産力だったり、冶金の技術史だったり、自転車市場のあり方だったり、設計者の意図だったりする。 人間だって見えてくる。どこかの壁に自転車が立てかけられていて、よく観察できる状態だったとすれば、まずフレームのサイズやサドルの高さや、ステムの長さ、ハンドルの幅などを通して、乗り手がどういう体格の人なのか、あらかた想像がつく。 サドルの高さやその調整方法、さまざま部品の組まれ方とそのバランス、カラーコー

          自転車を通して見えるもの

          ブロンプトンとロードバイクの二極化

          最近の自転車道楽に於ける市場の傾向は、ブロンプトンとロードバイクに二極化しているように見える。そしてどちらも高価だ。現在のブロンプトンは約30万円ぐらいの価格であり、ロードバイクに至っては100万円に達するものも少なくない。自慢ではないが、私にはどちらも買えそうにない。ま、無理して買うほど欲しくはないという事情もあるが。 ブロンプトンとロードバイクは、本来どちらもある用途に特化したような自転車である。ブロンプトンは折り畳みの簡易さとコンパクトさに力点を置いた自転車だし、ロー

          ブロンプトンとロードバイクの二極化

          プロター・1/9ビアンキ

          プロターはイタリアの模型会社である。しばしば「プロターの奇妙な情熱」と表現されるような、モデリングに関するすさまじいまでの執念というか、マニアックぶりというか、そういう風に言われるものがある。 下の画像はプロターの「Bianchi Camp.Italiano 1980」の箱である。プロターは特にモト=オートバイのプラモデルで有名であるが、自転車も作っていたのであった。製品としてはたぶん1980年代の前半くらいに生産されていたものであろう。 だからこのキットはすでに約40年

          ダホンの復活

          2006年の春に購入したダホンのボードウォークがあるのだが、ここ10年あまりはほとんど乗っていなかった。2008年に上り坂で立ち漕ぎしようとしたときに、前輪が浮いて右側に叩きつけられるように落車してしまったことがあり、どうも要注意な自転車だと思っていたからでもある。 加えて10年前ぐらいに、折りたたむときにフロントブレーキワイヤーの具合がおかしくなって、フロントブレーキが動作しにくくなり、そのまま放置してあったという次第である。 最近(といったってもう数か月も前であるが)

          数日前の粗雑メシ

          言ってもしょうがないが、相変わらず暑い。それでも料理はしなくては生きていけない。かみさんが実家に行っている期間は、そうしなくてはならないのだ。 これは、料理名人の友人に教えてもらったレシピで作ったもの。キャベツをざっくりと手で切って、塩をまぶしながら小鍋がいっぱいになるくらいまで重ねて入れ、その上にシャウエッセンを乗せ、蓋をして蒸す。水は加えない。キャベツの水分だけで蒸すのである。当然焦げ付かないように火力は弱火だ。 本当は上に乗せるのはハムとかベーコンとかがいいらしいの

          最近の粗雑メシ

          とにもかくにも暑い日が続いている。本当は火を使う料理なんてしたくはないのだが、こればかりは仕方がない。できるだけ簡単に作れるものをやろうと思ってはいるものの、ついついカレーみたいにタマネギを長時間炒めなければならないものに取り組んでしまったりするのだ。それだけレパートリーが少ないからだろうて。 上の画像は、こないだ作ったナスカレーのルーの残りをあっためただけ。それにキャベツとトマトのサラダを添えた。ちなみに私の最近の朝食は、このサラダとトーストである。かかっているソースは「

          反抗の旗印

          酷暑の日々が続いている。わが家は二階にしかエアコンがないので、階下の台所などは窓を開け放っていても、昼間は34℃くらいある。明け方になっても30℃を切ることはない。 そんな中で毎日のように昼は蕎麦やパスタを茹でていたが、さすがに今日はバカらしくなって昼メシの準備をするのはやめてしまった。昼メシを作るために熱中症になったら、洒落にならないではないか。 数年前までは歩いて5分のところにスーパーやコンビニがあって、いろいろと調達できたのであるが、もはやそれらも消滅してしまった。

          きのうの粗雑カレー

          久しぶりにカレーを作った。家の中で作ったのであるが、基本は、キャンプで作ることを想定したレシピなのだ。うちはキャンプのときには常温保存できる食材しか持って行かないので、このカレーもそういうコンセプトで作ってみた。 まず、大き目のタマネギを1個刻んで、炒める。以前、カレーに凝っていた頃は1時間ぐらい弱火で炒めたものだが、今回は25分でギブアップした。なにしろ台所にはエアコンがないので、室温33℃の中で火を使うのはめちゃ暑いからだ。それでもいちおうタマネギはキツネ色になっていた

          きょうの粗雑メシ

          かみさんが義母のお世話に実家に行っているので、私はほぼ3食自炊状態である。いちおう料理らしきものはやるとはいえ、タイトルに掲げたように基本的に粗雑である。 食器類は大半がキャンプ用のものだ。メスティンに、大小のシエラカップに、折り畳み式のカトラリーといった感じである。なぜそうなるかというと、キャンプ用の食器なら後片付けする気になるからだ。要するにキャンプ依存症なのである。 炊飯も電気炊飯器でやれば楽なことぐらい分かってはいるのだが、どうにもあれを洗うのがいやで、メスティン

          『「裸のサル」の幸福論』を読んだ

          ブックオフで何か面白そうな本がないかなとうろついていて、デズモンド・モリスのそれに行き当たったので、即購入してその日のうちに読み終えた。 デズモンド・モリスの名を聞いて久しい。ベストセラーになった『裸のサル(The Naked Ape)』は1980年代の大学の講義でも紹介されていた。確か、心理学の講義ではなかったかと思う。 動物行動学の分野で多大な業績を残しているモリス(存命中)は、昨今ではだいぶ怪しいところがあるとされる『生命潮流(Lifetide)』を著したライアル・

          『「裸のサル」の幸福論』を読んだ