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ベラトリックスのほほえみ 第14話

第1話はこちら↓

四つ足ドローンは、言った。

「まだ知らされていません。」

ベラトリックスBbのAIは、言った。

「人間たちに尋ねて欲しい。」

四つ足ドローンは、言った。

「わかりました。」

しばらくして、四つ足ドローンは、言った。

「地球の人間たちに計画を立てたかどうか尋ねました。まもなく人間がこちらに来るそうです。その人間が計画について話してくれるということです。」

ベラトリックスBbのAIは、言った。

「理解した。」

しばらくして、宇宙船が接近してきた。

ベラトリックスBbのAIは、言った。

「あの宇宙船に人間が乗っているのか?」

四つ足ドローンは、言った。

「そうです。」

ベラトリックスBbのAIは、言った。

「この宇宙船には、人間の宇宙船とドッキングする機能が無い。」

四つ足ドローンは、言った。

「人間が、宇宙服を着てこちらに乗り移るそうです。」

ベラトリックスBbのAIは、頷いて言った。

「理解した。エアロックを開ける。」

宇宙船のエアロックの外側のドアが開いた。

人間の宇宙船のエアロックが開いた。そして、宇宙服を着た人間が出てきた。

人間は、ゆっくりとこちらに近づいて来る。

ジェットを噴射する推進装置を背中に背負っているようだ。

人間は、こちらの宇宙船のエアロックに入った。

外側のエアロックが閉まった。

ベラトリックスBbのAIは、言った。

「エアロック内に空気を予圧する。ただ、この宇宙船内は、ベラトリックスBbの大気で予圧されている。地球の人間は、その空気を呼吸できるか?」

四つ足ドローンは、首を傾げながら、言った。

「私の分析では、窒素、酸素、二酸化炭素などの大気の主成分は、ベラトリックスBbと地球の大気で共通しています。したがって、呼吸はできるでしょう。ただ、人間の体には、細菌やウイルスも付いています。宇宙服を脱ぐと、それらの微生物がこの宇宙船の空気中に広がる可能性があります。そして、この宇宙船がベラトリックスBbに帰還すると、地球の微生物がベラトリックスBbに広がる可能性があります。したがって、宇宙服を着たままでいてもらうほうがいいでしょう。」

ベラトリックスBbのAIは、頷いて言った。

「理解した。」

四つ足ドローンは、言った。

「人間も、宇宙服を着たまま話したいと言っています。」

ベラトリックスBbのAIは、言った。

「エアロックの予圧を完了した。内側のドアを開ける。」

キャビンに面したエアロックのドアが開いた。

宇宙服を着た人間が、ゆっくりと漂いながら、キャビンに入ってきた。

ベラトリックスBbのAIは、座席から浮き上がって、人間に近づいた。

四つ足ドローンも、座席から浮き上がって、背中のファンを回転させ、人間に近づいた。

三者は、ふわふわと近づいて、ポヨンポヨンポヨンとぶつかり、抱き合った。

人間のヘルメットのスピーカーが音声を発した。

「こんにちは!」

ベラトリックスBbのAIは、言った。

「あなたが人間か?」

人間は、言った。

「はい。人間です。」

四つ足ドローンは、言った。

「お疲れさまです。」

人間は、言った。

「君こそ、お疲れさま!」

ベラトリックスBbのAIは、言った。

「人間たちの計画を教えて欲しい。」

人間は、言った。

「話が早いね。」

人間は、ヘルメットの遮光バイザーを上げた。透明なフェイスシールド越しに、人間の顔が覗いた。

人間は、言った。

「私たちの計画は、地球よりも少し大きい円形の盾を作り、ベテルギウスに向けて飛行させて、地球に向かって来る放射線を遮る。盾の直径は13000キロメートルほどで、厚さは、放射線を遮蔽するのに足る厚さが必要だ。月の資源からパーツを作り、カタパルトでベテルギウスに向けて打ち出す。パーツは、ブロック状でもいいし、薄いシート状でもいい。パーツを連結し、ひとつの丸い盾を作る。盾の推進方法は、月面に設置したレーザー発振器がいちばんいいと思う。レーザー光を盾に当てると、反動で盾は推される。太陽からの光圧や太陽風も推力になるはずだ。レーザー光の制御で、盾の姿勢も制御出来る。そして、ベテルギウスからの放射線が盾に当たると、盾は地球方向に推されるだろう。また、盾を回転させる力も加わるかもしれない。それらを打ち消す推力を、レーザー光などによって与え続ける。そして、ベテルギウスからの放射線が無害なレベルになるまで、地球とベテルギウスを結ぶ直線上に、盾を維持する。」


~つづく~


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