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映画評&小説同人誌『絶望の恋愛小説』サンプル

※こちらは若林理央が発表する映画評1編と小説3編を収録した『絶望の恋愛小説』の1編の小説のサンプル(中盤まで)です。

※5月29日の文学フリマ東京から発売予定です。予約ご希望の方はTwitterのDMもしくはbunwahitonari429@gmail.comまでご連絡ください。
(6月からは通販も開始をします)

価格などの詳細はこちらから

通販(匿名配送)の予約受付も始めました。こちらの発送は6月1日からです。通販ご希望の方は以下のショップページから予約注文していただけると嬉しいです!

https://bunwahitonari.booth.pm/

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星が消える前に

夜空に星が流れる日、少女は冷たい手を合わせながら庭から空を見上げました。
流れ星が消える瞬間、彼女はこの空の下で毎日のように起こる別れについて考えました。流れ星が見えなくなっても、少女の瞳は悲しみをたたえていました。
海の向こうの国で、同じ星空を見上げる青年がいました。
彼も同じように、晴れた日の夜は外に出て、丘にのぼり少しでも星に近づこうとしていました。
彼は、流れ星が生まれる瞬間が好きでした。今日もまたどこかで出会いがあり、命が生まれる。その息吹を、星を見ながら感じていたのです。
少女は悲しみを、少年は喜びを夜空に見出していました。
それから数十年のときが経ちました。
少女は老い、孫ができました。
星の見える夜になると、今も彼女は孫娘の手を引いて庭に出ます。
「見てみなさい、星はいつか消えていく。あのように誰かと出会っても、その人が死んだり去ったりして、いつか別れは必ずくるんだよ」
孫娘はぎゅっと祖母の手を握りながら、なぜそんな悲しいことを言うのだろうと思いました。
孫娘の名前はミナといいました。
同じとき、遠い国の丘の上で、昔は青年だった老いた男が、星空を指さし幼い孫息子と話をしていました。
「流れ星が見えると希望を感じる。お前が生まれたときに感じた気持ちになれるよ」
孫息子は意味がはっきりとわかったわけではありませんが、祖父が大好きだったので、しわの寄った祖父の目を見て大きくうなずきました。
孫息子の名前はヒコといいました。

ー----続きは『絶望の恋愛小説』でお楽しみください。

価格など詳細はこちらのページをご参照ください。


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