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わかおの日記18

前々から釣りをしてみたいと思っていた。半分くらいは、漫画「釣りバカ日誌」の影響であり、もう半分くらいはYouTubeの影響だ。海に釣り糸を垂れ、心を無にして魚信を待つ……。非常に乙な趣味である。文豪たるもの、趣きを感じ、趣きに生きるべきである。ぼくはいてもたってもいられなくなり、釣りに詳しそうな友人を誘って、若洲海浜公園に赴いた。

釣りをしたいとは言うものの、ぼくは全くの素人なので、売店で釣竿をレンタルして挑むことにした。お店の人に勧められたサビキ釣りの竿を選択し、防波堤に釣り座を構えた。昼過ぎであったが、雨が降り出してしまい、開始早々釣りがしづらい環境になってしまった。オキアミ団子を丸めて針に付けるのだが、これがどうやっても途中で外れてしまう。しびれを切らしたぼくは、やけくそで餌のついていない釣竿を海に投げ込んだ。するとどういうわけだか、程無くして小さめの魚が釣れた。魚が釣れる瞬間は嬉しいものである。久々に純粋に喜びをかみしめたような気がする。

その後は雨も弱まり、釣りに慣れてきたこともあってか、最初に釣れたのと同じ種類の魚が、3,4匹くらい、ハイペースで釣れた。釣った魚を持って帰って食べるつもりだったので、ぼくはこの得体のしれない魚が、食べられるのかどうかということばかり気にかけていた。しばらくすると、ぼくたちの様子をうかがいに来た、常連らしきおじさんが「それはサッパだね。小骨が多いから俺は放しちゃうんだけど、『ままかり』ともいうくらい美味しいんだよ」と教えてくれたので、ぼくはこの小魚たちを持ち帰ることにした。

4時間くらいは粘っただろうか、釣竿の返却時刻が迫ってきてしまったので、後ろ髪をひかれつつも退却した。釣果は、ぼくと友人合わせてサッパが8匹といったところだった。

サッパは天ぷらにして食べた。自分で釣ったからだろうか、やはり味は格別であった。あまりの充実感と心地よい疲労に、湯船につかる際、思わず大きな声を出してしまった。

これはまたいい趣味を見つけてしまったようである。いつかは友人たちと、慶応大学SFC(サウナ・フィッシング・チャイニーズヌードル)の会を結成したいものだ。


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