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わかおの日記40

なんとなくやる気が起きなくて、目を覚ましてからもずっとぼーっとしていた。ぼっーとしたまま適当にギターを弾いたりしていると、あっという間に昼前になっていた。
昼は三鷹にあるインドカレー屋さんに行った。そこそこ広めの店内には、デシミュージックが絶え間なく流れており、とてもインドを感じる空間だった。すこし段差があり、舞台のようになっている空間に、シタールやタブラなどの楽器が置かれていて、とても異国情緒を感じた。
卒業アルバムくらいの大きさのナン、カレー、さらにはタンドリーチキンやマトンのソーセージなどが出てきて、すっかり満腹になってしまった。ナンがおかわり無料なのは、きっとおかわりする人が極めて少ないからであろう。さすがインド人、計算が得意である。
午後は肩を治しに整骨院に行った。野球肩専門の整骨院であるゆえに、ハイスピードカメラを用いた投球動作の分析など、かなり高度なことをしてもらった。何だかアスリートにでもなったかのようで、とても気分が良かった。
そのあとは、大学の友達と待ち合わせをしていたので、一旦家に荷物を置いてから上野に向かった。この友人は爽やかな見た目をしているが、ぼくに負けず劣らずのヒモ思想である。春学期の単位取得数は驚異的な少なさであり、留年の危機にある。「親のスネはかじっといた方が親孝行だと思うな」というようなことを真面目に言っていたので、ぼくは彼とはとてもいい友達になれそうだと思った。波長の合う友達を多く見つけることが出来たので、やはり文学部に進学したのは正解だったと思う。
上野の美術館で芸術作品を鑑賞したが、ぼくにはサッパリ理解できなかった。たぶん周りの人も、ブックオフの本棚を覗くのよりも速く作品の前を通り過ぎていたので、作品のことはよくわかっていなかったのだと思う。ああいう難解なものを芸術というのなら、ぼくにはまったく芸術のセンスがないようである。唯一感動したのは、東勝吉という画家の絵である。老齢の画家であるが、雪景色の絵が、とても素敵だった。
最近は人との出会いに恵まれているような気がする。ありがたいことである。大学4年間で、この人見知りな性分が治ればいいなと思う。

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