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哲学的問題について「情報一元論」の立場から考えていきます。すべてを統一する視座を得る事…

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哲学的問題について「情報一元論」の立場から考えていきます。すべてを統一する視座を得る事が最終的目標です。 ホームページ:https://quickwaipa.web.fc2.com/

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  • 哲学的諸難問をすべて繋ぎ合わせる

    あらゆる哲学的問題を横断し、一本の糸につなぎ合わせるようなひとつの包括的な描像を構築することを目的としています。

  • 音場補正

    スピーカーの音場補正にはまっていた時の記事です

  • 万物の真理についての考察

    万物の真理についての哲学的考察です。 「一体これは何なのか?」から始まり、「何故なにもないのではなく何かがあるのか」「存在とはなにか」「なぜこの世界は何らかの自然法則に従っているようにみえるのか」「現象的意識やクオリアはなぜ生じているのか」「なぜ私はこの私なのか」「死んだ後はどうなるのか」「主観世界と客観世界はいかにして統合されるのか」等々といった問いに対して、はっきりと明確な答えを出したいと思います。

記事一覧

「数学」はなぜ存在するか?:数学の実在性とその物理世界における根拠についての考察

序論1960年、物理学者ユージン・ウィグナーは「自然科学における数学の不合理なまでの有効性」という論文を発表しました。彼は論文の中で、数学がなぜこれほどまでに物理現…

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2日前
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自然法則のハードプロブレム:ボルツマン脳は現実世界の夢を見るか?

概要「なぜ自然法則は存在するのか?」 この謎に答えるべく、「自然法則のハードプロブレム」という概念を提案し、「ボルツマン脳の思考実験」「エントロピックな万物の法…

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4日前
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情報一元論

様々な考察を経て、私の立場が「情報一元論」とでも呼べるようなものに収斂してきたと考えます。 なので、その立場をここに明確化したいと思います。 私の「情報一元論」…

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6日前
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自由意志に対する研究まとめ

概要グーグルで「意識 仮説」などと検索すると「受動意識仮説」の記事が大量に引っかかります。しかし、意識を単に受動的な現象と捉えるような見方は必ずしも意識研究の主…

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8日前
2

主要な意識のモデル・仮説・理論まとめ

概要(探してもなかったので)現在存在する主要な意識のモデル・仮説・理論をまとめた。 方針我々の意識を説明するモデルはたくさんありますが、大きく分けて以下の三つの…

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9日前
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意識の生成メカニズムに対する仮説:物質と意識を統合する(2/2)

上記記事からのつづきです。 3. 原始クオリア3.1 最も単純なクオリア 前章の最後では、「観測による私秘的な情報伝達」を担保するものとして「クオリア」を考え、「クオ…

10,000
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9日前
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意識の生成メカニズムに対する仮説:物質と意識を統合する(1/2)

概要意識の生成メカニズムについては、多くのモデルが提示されている。しかし現在のところ「そのモデルが正しいとしよう。では、なぜそのモデルのような状態から、意識体験…

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9日前
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ある昔話

むかしむかし、あるところに、物理世界の基底にある量子的重ね合わせ状態がありました。 この重ね合わせ状態はあらゆる状態が重なり合っており、この重ね合わせ状態自体は…

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11日前
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現象報告のパラドックスと心身二元論からの卒業

人間は「心」と「身体」からできている。 このような心身二元論的な思想は根深いものです。 しかし、物理主義的な立場から一元論的にこの世界を眺める、というシンプルな…

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12日前
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「存在」とは何か?

目の前に1個のリンゴがあるとします。 艶やかなリンゴは机の上で赤く美味しそうに光っています。手で触ると張りと弾力があり、歯ごたえは十分そうです。顔を近づけると微…

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13日前
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スワンプマンの思考実験と意識の連続性についての考察

スワンプマンという思考実験があります。要約すると、以下のような内容です。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 私がハイキングコ…

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2週間前
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なぜ私は私なのか

考えてみれば妙なものです。 この世界は時空間を越えて遍在する視点から全ての時空点を同時に眺めるような存在の仕方ではなく、なぜか時空間上のある一点を占める「私」と…

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2週間前
4

クオリアはいかにして生じるか?

クオリアとは謎なものです。クオリアがなぜ謎かというと、それが一見物理法則によって記述できるようにみえず、この物理世界から完全に宙に浮いた、いわば「なくてもよいも…

waipa
2週間前
6

なぜ何もないのではなく、何かがあるのか?

表題の問いについてはすでに自分の中では結論がでていますし、他の記事でもまとめているのですが(さらには音楽にもしているのですが)、改めて簡潔にまとめようと思い、記…

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2週間前
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rePhaseを使ってスピーカーの位相補正をする方法のまとめ

この記事は何か? 「rePhase」というフリーソフトを使ってスピーカーの位相補正をする方法を調べたので、備忘録としてまとめたものです。なお筆者は音響の専門家でもなん…

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3週間前

「死んだ後はどうなるのか」について真面目に考察してみた

「死んだ後はどうなるのか?」 この疑問について考えたことのない人はおそらくほとんどいないでしょう。宗教を信じる人は死んだ後はあの世や天国、地獄があると考え、魂を…

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1か月前
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「数学」はなぜ存在するか?:数学の実在性とその物理世界における根拠についての考察

序論1960年、物理学者ユージン・ウィグナーは「自然科学における数学の不合理なまでの有効性」という論文を発表しました。彼は論文の中で、数学がなぜこれほどまでに物理現象を正確に記述できるのか、という疑問を提起しました。 ウィグナー自身は数学的実在論について明確な立場を示さなかったものの、その問いかけは数学と物理世界の密接な関係を示唆するものでした。 はたして、数学は実在するのでしょうか? そしてするとしたら、なぜ存在するのでしょうか? この記事では、「カオス・シー:Chaos

自然法則のハードプロブレム:ボルツマン脳は現実世界の夢を見るか?

概要「なぜ自然法則は存在するのか?」 この謎に答えるべく、「自然法則のハードプロブレム」という概念を提案し、「ボルツマン脳の思考実験」「エントロピックな万物の法則」という二つの方向からこの問題への回答可能性を探る。 1.「自然法則の」ハードプロブレムリンゴが木から落ちる様子から、万有引力の法則を導き出したニュートンのエピソードはあまりに有名です。 しかしもし仮に、リンゴが場合によって木から落ちなかったり、落ちたリンゴが木に逆戻りしたり、今度は明後日の方向に吹っ飛んで行ったり

情報一元論

様々な考察を経て、私の立場が「情報一元論」とでも呼べるようなものに収斂してきたと考えます。 なので、その立場をここに明確化したいと思います。 私の「情報一元論」の主な主張は以下です。 あらゆる「情報」の根拠は量子状態のうちある状態が「観測」され、「選択」されることにある。 「観測」は私秘的に起こる。この私秘性を担保するのが「クオリア」である。 よって情報とクオリアは等価である。 最も単純なクオリアは1ビットの情報を現す「原始クオリア」である。 情報、すなわち観測行

自由意志に対する研究まとめ

概要グーグルで「意識 仮説」などと検索すると「受動意識仮説」の記事が大量に引っかかります。しかし、意識を単に受動的な現象と捉えるような見方は必ずしも意識研究の主流ではありません。 以下では意識研究の中でも「自由意志」に対する研究に絞り、主な研究や仮説を年代別にまとめます。 1960年代ウォルター・ミシェル (Walter Mischel)「人間の意志決定に無意識的要因が関与することを示唆する実験的研究(Delay of gratification experiments s

主要な意識のモデル・仮説・理論まとめ

概要(探してもなかったので)現在存在する主要な意識のモデル・仮説・理論をまとめた。 方針我々の意識を説明するモデルはたくさんありますが、大きく分けて以下の三つのカテゴリーに分類できるのではないかと考えます。 1. 意識の機能的な役割に対する仮説 意識がどのような役割を持つのか、その機能面から説明する仮説やモデルです。これには意識が生存や適応にどう寄与するのか、意識が情報処理や意思決定、社会的相互作用にどのように関与しているのかといった観点が含まれます。このカテゴリの仮説

意識の生成メカニズムに対する仮説:物質と意識を統合する(2/2)

上記記事からのつづきです。 3. 原始クオリア3.1 最も単純なクオリア 前章の最後では、「観測による私秘的な情報伝達」を担保するものとして「クオリア」を考え、「クオリアの生成と情報の生成は等価である」という大胆なアイデアを提示しました。本章以降では、そのアイデアの可能性を探っていきたいと思います。 まずは最も単純なケースで考えましょう。2.2 節と同様、ベル状態にある粒子のペアを考えてみます。 ここに、粒子AとBの間で伝達される「私秘的な情報」は、スピン上向きか下向き

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意識の生成メカニズムに対する仮説:物質と意識を統合する(1/2)

概要意識の生成メカニズムについては、多くのモデルが提示されている。しかし現在のところ「そのモデルが正しいとしよう。では、なぜそのモデルのような状態から、意識体験が生成されなければならないのか?」という問いに明確な答えを与えているモデルは存在していないといっていい。これは、「意識のハードプロブレム」として知られるものであり、物理的な脳の状態から主観的な意識体験がどのように生まれるのかを説明することは非常に困難であるとされている。 本稿では、量子論的な素過程から意識現象に至る一

ある昔話

むかしむかし、あるところに、物理世界の基底にある量子的重ね合わせ状態がありました。 この重ね合わせ状態はあらゆる状態が重なり合っており、この重ね合わせ状態自体は「存在」というカテゴリーに属しません。よって、「なぜ最初にそれが存在したのか」と問うことは意味をなしません。 さて、重ね合わせ状態はあらゆる状態をとり得ますから、その中にはごくごく稀に、十分に低エントロピーなパターンが生じることもありました。 そのような低エントロピーなパターンは熱統計力学の法則に従ってすぐに散逸しま

現象報告のパラドックスと心身二元論からの卒業

人間は「心」と「身体」からできている。 このような心身二元論的な思想は根深いものです。 しかし、物理主義的な立場から一元論的にこの世界を眺める、というシンプルな描像の方が私はロマンを感じます。 この記事では、一元論的な立場から人間の意識とそれが物質世界に及ぼす影響について、一つの視座を提供します。そういうことにロマンを感じる人は、ぜひこの続きを読んでみて下さい。 現象報告のパラドックス「現象報告のパラドックス」というものがあります。要約すると以下です。 そもそも物質一元

「存在」とは何か?

目の前に1個のリンゴがあるとします。 艶やかなリンゴは机の上で赤く美味しそうに光っています。手で触ると張りと弾力があり、歯ごたえは十分そうです。顔を近づけると微かなリンゴの甘い芳香が漂います。 さて、ここで問題です。 目の前にあるこのリンゴは、はたして「存在」しているといえるのでしょうか? 1.量子状態と「存在」還元主義的に考えてみましょう。 我々が「リンゴ」と認識しているそれは、還元すれば様々な分子、原子、素粒子から構成されています。 そのように考えると、そこに「本当に

スワンプマンの思考実験と意識の連続性についての考察

スワンプマンという思考実験があります。要約すると、以下のような内容です。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 私がハイキングコースを歩いていると、突然雷が落ちてきて、私に直撃し、私は死んでしまった。 しかし、なんということだろう。私のすぐ近くにあった小さな沼に再び雷が直撃し、雷との複雑な化学反応により、奇跡的に私と全く同じ原子構造をもった私のコピーが誕生したのだ。その私のコピーをスワンプマンと呼ぼう。スワンプマンには私の記憶が完全に引き継が

なぜ私は私なのか

考えてみれば妙なものです。 この世界は時空間を越えて遍在する視点から全ての時空点を同時に眺めるような存在の仕方ではなく、なぜか時空間上のある一点を占める「私」という原点から眺められる、という存在の仕方をしています。 なにを当たり前のことを、と思うかも知れませんが、まさにこの奇妙な存在のあり方が表題の問いを生みだしています。 「なぜ私は私なのか」 この問いは次のように言い換えられるでしょう。 「なぜこの世界に数多に存在する意識の中で、『この私』が世界を眺める原点として選

クオリアはいかにして生じるか?

クオリアとは謎なものです。クオリアがなぜ謎かというと、それが一見物理法則によって記述できるようにみえず、この物理世界から完全に宙に浮いた、いわば「なくてもよいもの」のようにみえるからではないでしょうか。実際、「哲学的ゾンビ」とか「ゾンビワールド」のような思考実験が存在するように、クオリアが存在しない世界は一見、問題なく想像できるように思います。 しかし、論理的によくよく考えてみると、まったく真逆の世界像が浮かび上がってくるのです。クオリアは物理世界の存在に不可欠なものだし、

なぜ何もないのではなく、何かがあるのか?

表題の問いについてはすでに自分の中では結論がでていますし、他の記事でもまとめているのですが(さらには音楽にもしているのですが)、改めて簡潔にまとめようと思い、記事にしました。この哲学的問いについて考えて夜も眠れない経験をしたことのある人は是非読んでみていただけるとうれしいです。 「存在」とは何か?表題の問いを考えるにあたり、最も重要なキーとなるのは、そもそもの「何かがある」とはどういうことか、すなわち、「存在」とは何か? という存在の定義の問題です。 これは哲学上重要な問題

rePhaseを使ってスピーカーの位相補正をする方法のまとめ

この記事は何か? 「rePhase」というフリーソフトを使ってスピーカーの位相補正をする方法を調べたので、備忘録としてまとめたものです。なお筆者は音響の専門家でもなんでもないため、細かい所はよくわかりません。 スピーカーの位相補正をして何の得がある? 音が若干クリアに、綺麗になった気がします。 主に低域の位相遅れが改善されることで、低域のボゥンボゥンした余韻が改善され、低域が速くなり、タイトになります。 デメリットは? レイテンシーが生じます(ただしレイテンシーの

「死んだ後はどうなるのか」について真面目に考察してみた

「死んだ後はどうなるのか?」 この疑問について考えたことのない人はおそらくほとんどいないでしょう。宗教を信じる人は死んだ後はあの世や天国、地獄があると考え、魂を信じる人は輪廻転生して生まれ変わると考えるかもしれません。また、唯物論者は死んだ後は無になるのだと疑いなく信じていることでしょう。 しかしそもそも、この問いは何を問うているのでしょうか?? だいたい、死んだ後はどうなるか? などということは明らかに決まっているはずです。すなわち、 「死んだ後は、死体になる」 考