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なぜ万物は引き合うのか?次兄との思い出は私にとって重大な万有引力の話。

私には二人の兄がいましたが、次兄は数年前亡くなってしまいました。

その次兄からはたくさんのことを学び、私の人生を決めたのは次兄だと言っても良いくらいです。

数々の思い出がありますが、私の進路を決めたという意味では重大な話があって、それは万有引力についての話です。

万有引力の法則

万有引力の法則は、みなさんどこかでお聞きでしょう。質量あるものは全て引き合う、という話です。

私は高校の夏、東京の次兄のアパートに田舎から遊びに行ってて、そこであまり好きになれなかった物理を勉強していました。

なぜこうも公式が多いのか、、、とげんなりしつつ。

それに、数学とは違って場面によって使う記号が決まっています。

例えば、速度はvだし、加速度はaだし、時間はtだし、、、みたいに。

数学だと、自分が使う記号は自由に宣言してよいのに、全くそれが通用しないのです。むしろ数学では、きちんと「○○をxとおく」みたいに必ず何が何を表しているのかはっきりさせなさい、と叩き込まれます。

今になってみれば、vもaもtも、その他の様々な記号も、英語などの頭文字を取っているだけで、vはvelocity、aはacceleration、tはお馴染みtime、というだけの話だったのですが、当時は誰も教えてくれませんでした。もちろん、先生も知っているはずなのにそういうことは授業では習わなかったし、自ら調べようとも思わなかったので、全く私は物理のセンスないと思って最初から、からきし勉強しませんでした。当然物理はできませんでした。

しかし

しかし、受験では物理を勉強せざるを得なく、次兄のもとで勉強していました。

そして、勉強していて万有引力の法則が出てくるのですが、これは誠に奇妙な話だと思ったのです。

万物は引き合う?

どういうこと?

と思って次兄に聞くと、先程も触れましたが、質量あるものは何でも引き合っているんだ、というではありませんか?

そんなバカな!

と私は、次兄も教科書も参考書も、物理というのは頭が変なのでは?(失礼ながら!)と思ってしまったのです。

ところが次兄には全幅の信頼を置いていたので、仕方なく、そうなの、と言ってその場を凌ぎました。

が、全然分からない!

モノとモノはこうして動いていないじゃんか、引き合っているなら、こう、引き合って動いていくんじゃないの?と私の頭ははてな???でした。

次兄が言うには、ウィッテンという人がいて、その人は物理学者だけどフィールズ賞(数学界のノーベル賞にあたる、とよく言われる賞ですね)を取ったんだよ。いま、宇宙は10次元って言われているんだ、物理の最先端はすごいことになっているんだよ、なんてなことを言いました。

文系の次兄でしたが、理系の話題にも事欠かない人です。しかし、この話はちょっとどうかな?めちゃくちゃだよ、と思わずにはいられません。

そのときはやはり仕方なく、そうなの、と言って過ごしました。

で、高校物理はとうとう受験のギリギリになって、公式どばどば使うとあら不思議、答えが出るので、なんとか大学に入ることができました。

しかも物理学科に入りました。

なぜか?

なぜか?

それは次兄の話を聞いて、宇宙10次元の話を勉強したい!研究したい!と思ったからです。そして、もちろん万有引力についても。

今振り返れば、高校物理教育というのは、こういうと失礼も程があるのですが、あれはよくありませんね。

大学に入って、英語も学びつつ、微分・積分やベクトルなどもある程度自由にできるようなってて、ようやく分かってくる。

エネルギー保存の法則などの公式も、運動方程式からヒョイと導ける。

公式は覚えるものじゃない、導くものだ、と高校までの数学の先生はおっしゃっていまして、確かに数学では自分で導けるようでないと本当に理解したとは言えません。

ですが、高校物理教育は、どうして公式を導けるように作ってないのでしょうか?

もちろん、本質的なところでは教科書をきちんと読むと公式の導出はできるようになっています。ところが、いかにも不自然な感じなのですね。これでは高校で物理が嫌いになっても仕方ない気もします。

と、まあ、しかしそんな私でしたが、次兄から強烈な話を聞かされた私は踏ん張って自分の道まで物理にしようと思っちゃったのですから、動機づけというのは恐ろしや、です。

次兄よありがとう

次兄は亡くなりましたが、こうしてお盆や次兄の命日、誕生日がくるたび、万有引力の話を思い出します。

私と次兄も引き合ったのですね。あのとき、あの夏。

ありがとう。

合掌。


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