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【8話の2】連載中『Magic of Ghost』

※【途中から有料になります(平均4,000~6,000文字前後で100円)】購入していただいた際の利益は、すべて出版へ向けての費用にさせていただきます。今後とも優鬼、クレアともども、和道をよろしくお願いいたします。


※この記事は【8話の1】の続きです。



クレアは玄関の扉の前で立ち止まり俺を呼んでいる。俺の横を通り過ぎる時、笑顔にはなっていたが、『あれは笑顔じゃない』と俺自身が確信した。俺の『悟り』はクレアにだけは通用しない。あくまで自分の勘でしかなかったが、明らかにたった今作成したような笑顔だった。
 俺は、いくら言葉を選んでもなにも発することができなかった。この時ばかりは俺の引き出しの少なさを恨んだ。
 そして先ほどまで歩いていた道を戻り、エレベーターへと向かった。クレアは普通にしていたが、俺は気まずさを隠せず、なにを話せばいいのか悩んでいた。
「…………」
「そうだっ! このグランド・マウンテンのビュッフェは世界の料理をいくつも並べてあるんだよ!」
 先に言葉を発したのはクレアだった。
「……そうか」
 クレアがせっかく話題を作ってくれたというのに、俺から出る言葉は一言だけだった。先ほどまで空腹と体力の低下で、倒れそうになっていたはずだったが、クレアの寂しげな表情を見た途端、食欲が一気に失せた。
 ジェット機での時は、家絡みであの表情を見せていた。その時の感情に俺がしてしまったかと思うと食欲も失せて当然だ。
 ただでさえエレベーターまでの長い距離が、この時ばかりは2倍にも3倍にも感じた。
「……ところでさ」
「んー?」
「……鍵閉めてないけど大丈夫なのか?」
 我ながら話題作りが下手くそだったが、無言でいるよりはマシなはず。そう思い最大限の話題をクレアに問いかけた。
「大丈夫だよぉ! オートロックだし! 入る時はまたさっきみたいに手を入れて開けてね!」
 どうやら話題作りは成功のようだ。もしかしたら失敗しているのかもしれないが、クレアも話題に乗ってくれた。クレアの靡く黄金色の髪と桜色の瞳を横目に、次の話題を考えていた。
 しばらく黙り込んで考えている内にエレベーターが見えてきた。
「あぁあたしもお腹ペコペコだなぁ! 優鬼最初になに食べる?」
「……そうだな。いや……まずなにがあるんだ?」
 クレアもどうやら空腹だったようだ。先ほど空腹で感情が先走ってしまった俺はまさに幼稚。俺も食欲は失せているとはいえ、それなりに腹は減っている。恐らく、食べ物の匂いを嗅げば先ほどの腹の虫が目を覚ますだろう。
 エレベーターに乗って2階で降り、あの大きい階段が姿を現した。やはり食欲が失せていたのはあの時だけで、匂いが漂って来た途端腹の虫が騒ぎ始めた。
「優鬼っ! 早く行こう!」
「……お、おう!」

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