「資格」に迷う
2006年4月22日 (土)
私が属しているサービス業界には、たくさんの「資格」があります。
国が認めた資格から、さまざまな団体が認定している資格まで、列挙すると大変な数になりますが、じっさいに業界で働いている私達も、この「資格」には迷うことが多いのです。
今日は、そのあたりのお話を少し…。
だいぶ以前に、サービス関係の専門学校に通う学生さんから、質問を受けました。
「専門学校生だが、学校からいくつかの資格取得を勧められて
悩んでいる。
どれも勉強はしてみたいが、受講料、受験料いずれも高く
て、学生の自分には払えそうもない。就職や昇進にに有利と
言われたが、実際にそうなのだろうか?」
この質問に対しての私の答えです。
「学校の方針や事情もあるので一概には言えないが、そう急い
で取ることはない」
就職、昇進に有利か?ということについては、その会社の考え方に大きく左右されます。
就職の募集要項に「○○資格取得者は優遇します」と書いてあることもありますし、「まったく関係無い」という会社もあります。
昇進、昇給もしかり―。
入社して何年か経つと、社員に国家試験である「サービス技能検定試験」の受験を受けさせ、合格者には受験料や交通費を支給して、さらに昇給などの参考にする会社もあれば、まったくのノータッチ、あくまでも個人のやること、というスタンスの会社もあります。
仕事については、自分が実際に現場で働き始めてみて、初めてわかることもあります。
自分のやりたい仕事には、いったいどういう勉強が必要なのか、自分は何を知りたいのか、働き出すと出てくるさまざまな「???」に対しての一つの回答が「資格の取得」だということもあるでしょう―。
「資格」というのは、獲得して終わりというものではありません。
車の運転免許に例えるとわかりやすいのですが、「免許」をもらったからといって、誰もがレーサーのように車を自在に操れるわけではありませんよね。
あくまでも、「車を動かすにはこう、止めるにはこう、曲がるにはこう…」という最低限のことを理解し、出来るようになった、ということでの「免許」だと思います。
運転レベルを上げるには、結局その後の練習と意識の継続が大切ですが、これは「資格」もまったく同じことです。
資格を取ることにおいての自分への大きな「+」は、
・取るための勉強で新しいことを知ること
・今までの知識をブラッシュアップ出来ること
・資格を取ってからも新しい知識の勉強をする意欲が
続くこと
だと思います。
「資格」があるから仕事が出来るのではありません。
仕事を積み重ねた結果が「資格」として目に見えるカタチになったということなのではないでしょうか。
専門技術で、その資格を持っていないかぎり何の仕事にもならないという場合を除き、「資格」というのはあくまでも日常の仕事の延長上にあるものだと考えてよいのではないでしょうか。
残念ながら、国家試験以外のものでは、「資格」としての基準があいまいなものも見受けられますし、理由がはっきりしないまま、高額の費用がかかるものもあります。
「事前講習会費用」「本試験の受験料」は言うに及ばず、合格したら合格したで「認定料」を支払わないと「資格」として認めてくれないとか、さらに「認定証発行料」や「認定メダルや盾、パネルの制作費」を請求されることもあります。
「資格」を認定する団体も数多くありますから、中には口の悪い人たち(含む:自分)に、「こんなの金儲け以外の何ものでもない!」とばっさりやられてしまうものもありますし、「そもそも、そんな資格あったの?」というものもあります。
こういうことをふまえると「資格」とは、何が自分に必要で何が大切か、実際に働いてみてから考えても充分に間に合うこと、だと思うのです。
ええと、その代表がここにいますよ。
異動後に新しい仕事として料飲サービスを始めた時、あまりにも何も知らない自分が笑えました。
少しずつ自分の中にスキルを積んで、これで良いのかという確認のため、また、スキルを次の段階に上げるために「資格」を取ったような気がします。
そして、取ってからが本当の勝負―。
それをどう生かすか、それを考えて実際に働くことが、資格の最大の目標だと思っています。
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