みーつけたって言ったから
「もーいーかい?」
「もーいーよ」
僕は教室のロッカーの中に隠れた
ドキドキする
みつかりませんように
子供の頃から大好きなかくれんぼ
狭いロッカーの中は色々と考えが巡るようになっている
僕は漠然と考えていた
母親って凄いよな
父親のいない私にとって
身を粉にして働き
高校まで入れてくれた母親には尊敬しかない
もっと親孝行したいな
ガラガラガラガラ
鬼が僕の隠れているロッカーのある教室に入ってきた
バタバタ
鬼が近づいてくる
見つかりませんように
かくれんぼは緊張の塊だ
バタン
「みーつけた」
僕の視界に入ったのは
鬼の右手で鈍く輝くバタフライナイフだった
お母さん
ごめんなさい
僕はここまで
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