リゾナントブルーの夢
会話劇 ふたりのはなし
「求愛のダンスって知ってる?」
「あー、南米の鳥が踊るやつ?」
「そうそう、オスがメスに踊ってアピールするやつ」
「ダンスが美しいとメスもメロメロってやつだよね」
「そうそう!それよ!」
「それがどーしたの?」
「ミユキちゃんっているじゃん」
「あー、同じゼミの?」
「そう、かわいいよなぁ」
「え、なに?好きなの?」
「好きなんだよなぁ。かわいいよなぁ」
「まさかだけど、一応聞くわ。 踊るなよ」
「踊る!」
「やめとけ」
「いいや、踊る。俺は鳥達の様に生命の神秘の舞でミユキちゃんに求愛するんだ!」
「お前、正気か?なんで踊るんだよ。普通に言葉で告白しろよ」
「正気だよ。わかってないなー。求愛のダンスは情熱なんだよ。言葉は嘘を含むが、ダンスに嘘は無いんだ!ラブパッション全開で求愛すれば、ミユキちゃんだって振り向いてくれる!」
「いや、ひくと思うよ。いきなりお前に呼び出されて目の前で踊られたら」
「いいや、昨日テレビで観た鳥はカップルになっていた」
「鳥はな。お前は人間だぞ」
「なんだよ、じゃあ言わせてもらうけど、フラッシュモブはどう説明するんだ。あれだって踊って、求愛して、サプライズで嬉しい!だろ?」
「あれは、ほぼ確のやつがやるんだよ」
「ほぼ確?」
「告白してもオッケー貰える状況下のやつだけが許された特権なんだよ。あとあれ大人数で踊るだろ。
おまえのソロなんぞもってのほかだよ」
「ソロのなにが悪い」
「ってかお前ダンス経験あたっけ?」
「あるよ」
「そーなの?いつやってたの?」
「幼稚園」
「幼稚園!?」
「幼稚園の頃、お遊戯会で踊るポンポコリン踊ったさ」
「それを経歴に入れるなよ。じゃあなにか、ミユキちゃん呼び出して踊るポンポコリンを踊るつもりなの?」
「ああ、サビのピーヒャラピーヒャラで手でハートを作って、パッパパラパでウインク」
「やば」
「なんだよ!せっかく寝ないで練習したのに」
「努力だけは買うよ、でもやめとけ、ダンスで求愛が成功するのはEXILEか熊川哲也くらいだ」
「ISSAは?」
「ISSAも!そこはどーでもいいだろ」
「でも、もう抑えられないんだ俺のミユキちゃんへの熱い気持ちは」
「そっか、わかったよ。お前がそこまで言うならおれは何も言わないよ。応援するわ」
「ありがとう、友よ。そこでお願いなんだけど」
「なに?」
「俺がミユキちゃん呼び出して二人っきりになったら、陰からラジカセで踊るポンポコリン流してほしいんだ」
「いーーーーやーーーーだ!」
「けっ!このインチキおじさん」
「お前がな!」
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