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「耳をかたむけて聴くことで、生まれるビジネスがある。」

昨日のコンサルティングは、年に1度あるかないか、「ほとんど話を聴かずに、僕が話をすることからスタートする」時間になりました。

ビジネスにとって、とてもとても重要な「事業のポジショニング」を提案する日。ここがばちっときまると、事業は「広げる」から「広がる」にシフトチェンジします。
お相手には、ここ数ヶ月いろいろ仕事の支援をしながらクライアントさんへの理解を深めて、「この経営者さんがここでビジネスを展開すれば、事業が伸びるのでは」という事業の居場所を見つました。もちろん仮説です。けれど、とても有力だと考えています。

それで数ヶ月かけて(つまり待ってもらいながら)理解を積み上げてきたので、
昨日はめずらしく「ほとんど話を聞かずに」対話をスタートさせることになりました。

裏を返すと、
僕はコンサルティングで「クライアントさんの話を聞くこと」を大切にしているということでもあります。


事務所の近くの緑です。

仕事は、その人から地続きなもの。

「コンサルタント」といいう仕事をしていると聞いたら、あなたはどんなイメージを持ちますか?
あやしい・・・というのをわきに置いておくと(笑、「その人の持つ知見を手渡してくれる人」というイメージがありません?知っている専門的な知識を、手渡してくれる人です。
もちろん、その側面もあります。
でも僕は自分がしているコンサルティングに、少し違うイメージを持っています。
それは、ビジネスは「知識を仕入れて、それを実践すればうまくいく」ようなものではないと思うからです。

「どの仕事をするか」も、「どんな打ち手を打つか」も、
「その人の内面から地続きで繋がっているほど形になりやすいし、うまくいきやすい」というのが僕が多くの方をサポートしてきて感じている実感です。
逆に、どれだけ論理的で説得力があっても「とってつけたような話」は、クライアントさんの人生の中で、ほとんど効用がない。動きません。

よく「可能性は無限大」といいますが、
布団屋さんをやる人は、魚屋さんに興味を持たないし、魚屋さんをやる人は家具屋さんになる気が(少なくともその時は)ないものです。
SNSで集客できると知っていたって、頭でわかるだけでは動けない、ということは経験のある方も多いのでは。
その人の内面と地続きで「やることになっている」「自分ごととして動ける」ことを上手に生かすと、形になる。

僕は聴くことが好きなのですが、
コンサルティングで話を聴くのは「その人が、何を形にする人なのか」を知りたいから。それを感じ言葉にして、クライアントさんと分かち合うためでもあります。
少し深く目の前のその人のことを理解すると、ビジネスを広げるような打ち手が「場から」生まれてきます。


だんだんと感覚を言葉にできる。ー 僕らはたくさんのことを感じている。

だから相手を理解するとき、
僕は「まだその人が言葉にできていないこと」を聴きとりたいと思っています。

僕らはみんな仕事をしたり、普段の生活を送ったりしながら、さまざまなことを感じています。例えば朝通勤するときに「最近疲れてきたな」と、どこかで感じるのもそうですし、仕事をしていて「もっとこういうふうにしたら、うまくいくかも」と感じることも同じです。
ただ、たくさん感じているけれど、多くの感覚とは向き合うことがないまま、どこかに流れていきます。「最近疲れてるな」に気づかずに、「仕事だから、8:45までに急いで会社に行く」から離れられないことは、きっと少なくないでしょう。
今やっている仕事のしかたに違和感を感じているけれど、立ち止まって、その違和感の正体をつきとめることも少ないかも知れません。

僕らは、さまざまな「重要なこと」を感じているのですが、最初「言葉になっていない」から、うまく扱うことができません。
自分がやりたいことも、問題に感じていることも、
僕らの発想の根本は、まだ言葉になっていない「豊かな沈黙」であって、
これから言葉にしてもらい、形にしてもらうのを待っているんです。

僕に取って大切な「話を聴く」は、その人が感じている「まだ言葉にならない、豊かな沈黙」を受け取ることでもあります。

「その人が普段から言葉で考えていること、わかっていることを、聴くこと」これも大事です。
「その人が本当は大事にしていないことを、さも大事そうに語るのを聴く」
これも、話しきらないと次にいけないものなので大事です。

でも、そうやって話を聴いていると、言葉の向こう側で「この人が本当は、わかっていること」が、見えてくる。
話を聴くとき、できる限り、その「言葉になっていないこと」を聴きたいと感じています。
コンサルティングで、物事がうまくいくときの大事な要素だから。


今うまく行くビジネスは、その人の意志を感じられるビジネス。

僕は世界中の素敵なビジネスの研究をしてきました。お客さんから特別視されて、買った人が「ありがとう」といいたくなる。社員スタッフさんを大切にする会社も多くて、社員さんが自分の仕事とのつながりを感じ、高い生産性を誇ります。地域社会や自然との関わりを大切にしているビジネスも多いです。そうして、競合他者からすら敬意を払われたり、みんなに素敵だなと思われているビジネス。
世界には(もちろん日本にも)大小さまざまな素敵なビジネスがあります。

そういうビジネスに僕は、「意志」を感じます。
わかりやすい例で言えば、AppleがDVDの再生機能をMacから外したり、3MやGoogleが研究者さんたちに「週5日のうち1日は、好きなことを研究していい」としたりするような「わざわざ判断してやっていること」が多くある。誰に求められるわけでもなく、どこかにある正解を後追いするでもなく、「自分はこういうビジネスをしたい」と意志を表明します。

このとき、
意志を表明するのに大切なのが、「感性に気づき、形にすること」だと思っています

「過去誰かがやった正解を学びトレースすること」も、すごく大事です。
学べるリソースも多いですし、使えるものは使った方がいい。
けれど、「どこかに自分のビジネスを形作る正解がある」わけではありません。

本当にうまくいくビジネスは、「わざわざ、こういうことをやりたい。だって実現したいのはこういう世界だから」とわがままなものなのです。

ただ、多くの会社が「結局業界の他の人と同じことを後追いするだけ」で、本質的に「同じビジネスを展開している」のには理由があります。
それは「自分が何を感じ、やりたいと思っているか」には、最初「形」がないのです。
「最近疲れてきたな」の感覚と同じように、「日々の忙しさ」や「これをやるべきだ」という過去決めたことにかき消されてしまう。

僕は、その人の感性を活かした素敵なビジネスを作りたい。
そうして、お客さんが引き寄せられる「好循環」を提供するのが、コンサルタントとしてのコンセプトです。
「まだ言葉にならない豊かな沈黙」を聴き、言語化したいと思うのは、その人の意志をビジネスから感じられるようにしたいからでもあるのです。


自分の中心につながっていく。ミッションはただの言葉ではない。

僕が話を聴くとき、最初は、「モデル」を頭に置きながら聴きます。
経営にとって大切なことを、シンプルなモデルにまとめているんです。例えば、こんなふうに。

モデルを眺めると、どこでつまずいているか、落ち着いて点検できます。

こんなモデルがあるだけで、「経営のことを、すこし広く考える」ことができます。
でも、モデルを意識するのは、コンサルティングを始めた「最初」と、「話がひと段落したて次の話に移る時」くらい。
あとは、相手の話す言葉の流れに任せて、問うていきます。
「この人は、何を感じ、どんな想いでこの言葉を話しているんだろう」

そうやって聴いていくと、あるとき「そのひとの中心」とつながります(そんな気がします)。
「ああ、この人はこれをやりたいのか」「ここに課題や可能性を感じていたのか」「でもそれじゃ足りないから、こういうアイデアで事業化すると、おもしろいビジネスができそうだ。突破口になる」と。

そして僕はそうやって深いところ繋がるほどに、
クライアントさんのパーパスやミッションが生まれると感じます。

経営の教科書を見ると、「パーパスやミッションを書くと、書かない事業よりも収益が上がる」と書かれています。セミナーに参加して、「自分がビジネスをする目的を書いた」ことがある方もいるかもしれません。

でも、そこで書くのは「自分が扱っている商品のメリットを抽象化しただけ」とか、「いくつか扱っている商品の共通点を書くだけ」。
なんとなくそんな言葉を書いても、大した意味は生まれないのでは。僕はそう思う。それはベン実に、みんなそういう言葉を書いて、大した意味が生まれているとは思えないからです。
結果的に、業界の他の会社と同じことをやっている。その人がビジネスをするー生きる営みー目的は、隣の人と同じなのだろうか。

心には深さがあります。
浅いところで考えることは、日々移ろいます。今子供を叱ったけれど、5分後には可愛くて仕方がないような経験を、したことがありませんか。浅い心は、風が吹くだけでさざ波が起こります。
でも深いところで感じていること ー 子供を愛していることとか ー は、ずっと変わりません。深い感覚は、その人にとってとても大切なものであることが多いと思います。

自分が、深いところ感じていること ー 良心 ー を、言葉にする。商品やサービスにする。組織にする。ビジネスにしていく。そういう活動を通じて、ビジネスを作っていく。
その活動を通じて段々と「自分がやりたいことが、自分でわかり、しっくりくる言葉になる」。
そのとき、意味のある「ビジネスをあらわす」言葉がかけると思う。

その感覚を、僕は聴きたいと思います。僕が聴くことで、この世界で形を持ちはじめる。
感性が形になり、いい意味で偏りのあるビジネスが生まれる。おもしろい!
それが「ミッションやパーパス」とつながっている事業だと思っています。
そしてそれは、とてもうまくいく。
結果、クライアントさんも、ビジネスからとても大きな充実感を受け取ることができるようになると感じています。自己表現のようになりますから。

「聴く」というところから少し離れたところまで来ましたが、
僕は「聴く」に、大切な意味を感じています。
経営コンサルティングで成果を出すために必要不可欠ですし、
クライアントさんの人生のためにも、とても重要だと思う。

聴くことで、その人にフィットしたアイデアも生まれてきますしね。


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最初は無料です。
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