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どんな価値を訴求する?価値の種類について調べてみた。

今週もウェブ解析士のnoteをご覧いただきありがとうございます。
さて、今週は何について書こうかなと思案していたのですが、「価値」について考え直すのもアリだなと思いまして。
というのも、ウェブ解析士の主戦場になるのはウェブサイトですよね。で、ウェブサイトは”何か”を伝えるためにあるものです。特に利用頻度の高いLPなどは”価値”を伝えるために用います。その”価値”とは当然ながら、ターゲットにとっての価値ですよね。じゃぁ、どんな価値を訴求するのかというのはウェブサイトを作るときの根幹にあたります。
ということで価値について学び直してみましょう。


価値の種類

ブランド論上ではベネフィット(便益)とも言い換えられるのが、ここで指す”価値”です。
アメリカの経営学者で、電通の顧問も歴任するAaker氏によると、価値は大きく分けて機能的価値・情緒的価値・自己表現価値の3つに分類されるそうですよ。自己表現価値については、情緒的価値に含めて語られることも多いようです。
これらの価値はブランド・イメージに影響を与えるそうです。ブランド・イメージとは、消費者がブランドを認知したときに、消費者の頭の中で形成されるその商品(企業)に対する印象のことです。これらの価値をどう表現するかによって、このブランド・イメージをコントロールすることができるとも言えますね。
以下で、それぞれの価値についてみていきましょう。

機能的価値

機能的価値とは商品が持つ特徴によってもたらされる価値を指します。これらは、消費者が思考することによって評価することができる思考型属性を持つと言われています。思考型属性とは機能やサイズなどの表面的な属性や、価格や新しさなどの比較優位性を持つ属性が含まれます。
もっと簡単にいうと、優劣を客観的に判断する基準を有するものと言うことができますね。例えば、価格については「安い」「高い」といった基準が存在します。機能についても車を例に取ると、「燃費が良い」とか「加速が良い」とか評価する基準を設けることができます。
この機能的価値は、ブランド・イメージにおける知覚品質に影響を与えると言われています。知覚品質は、消費者が自身の購入目的に照らして、他社商品と比べた際に「知覚」できる品質や優位性を指します。この知覚品質で重要な点は、実際の品質ではなく、消費者が感じることができれば良いという点です。実際は他社商品と比べて機能が劣っていようが、消費者が優れていると判断すれば優れていることになるのです。
ということは、機能的価値をしっかり訴求することができれば、より良い知覚品質を形成することができ、マーケットに対して優位性を築くことができるんですね。
ただし、注意しなければならいこともあります。それが、模倣困難性の低さです。もっと噛み砕いていうと、他者に真似されやすいという点ですね。
優れた機能的価値を提供できたとしても、すぐに真似される可能性が高いのです。そうなると、一時的に市場優位性を築けたとしても、その優位性はすぐに失われてしまいます。
もっと言えば、成熟した市場ではパリティ化(同質化)が進んでいて、そもそも機能的価値だけで差別化することが難しいケースも多いです。

情緒的価値

対して、情緒的価値とは商品を持つことによって得ることができる充足感などの感情的なものを指します。これは消費者が感覚や感情で評価する感情型の属性と言われています。機能的価値が客観的な判断基準を有するのに対して、情緒的価値は客観的な判断基準がありません。例えば「カワイイ」と感じるものは人それぞれですよね。「中の人」は今時の女子高生が発する「カワイイ」を本当の意味で理解することができないような気がします。(笑)サンリオのキャラクターをカワイイと感じる人もいれば、こびとづかんのようなキャラクターをカワイイと感じる人など、感じ方は人それぞれです。ゆえに、客観的判断基準はなく、消費者それぞれの主観によって判断されます。
この情緒的価値は、ブランド・イメージにおけるブランド連想に影響を与えると言われています。「あの商品ってかっこいいよね」みたいな情緒的価値が「かっこいいものが欲しい」と思った時に連想を助成するのだと言います。つまり、情緒的価値をしっかりと訴求することができれば、購入時の候補(想起集合)に入りやすい=競合に対して優位に立つことができると言えます。
ここでも注意点があります。それが、機能的価値がなければ情緒的価値は成り立たないという点です。
パソコンを例に考えてみましょう。「ストレスのない作業環境」という情緒的価値を訴えようとすると、メモリの容量やCPUの処理速度といった機能的価値が必要になってきます。仮に、処理速度の遅いCPUを搭載するとしたら、立ち上げるアプリケーションや行う作業次第では処理に時間がかかってスムーズな作業を阻害するかもしれません。それを「ストレスのない作業環境」というには無理が生じますよね。
といった具合に、機能的価値がベースにないと、情緒的価値を感じさせることができないのです。

情緒的価値の考え方についてはウェブ解析士ナレッジでも紹介されていたので、ご参照ください。

自己表現価値

最後に自己表現価値です。自己表現価値は、商品を持つことが自己表現・自己実現をすることができるような価値を指し、商品自体が消費者を構成する要素になるという特異な価値になります。
情緒的価値が「その商品を使うとき、私は〇〇な気分になれる」という感情に影響するのに対し、自己表現価値では「その商品を使うとき、私は〇〇である」と思わせる価値なのだそうですよ。これも情緒的価値と同様、感情型属性に分類され、客観的な判断基準はありません。
その価値の性質上、アパレルブランドなんかでよく訴求される価値なんですよね。例えば、「シャネルを見にまとう私はハイセンスな人間」といった具合です。
「中の人」的には、トヨタのVOXYが、この自己表現価値をうまく訴求して、ブランド・イメージを作っているように感じています。

カッコいい父親、父親になってもカッコいい男といったブランド・イメージを訴求することで、「VOXYに乗ってる父としての私はカッコいい」という自己実現価値を表現しています。

まとめ

ということで、今回は訴求する価値の種類について書いてみました。
それぞれの価値をまとめると、下図のようになります。

情緒的価値も、自己実現価値もベースにあるのは機能的価値です。機能的価値を訴求しつつ、差別化要素として感情型属性の価値を訴求できるとよさそうですね。

あとがき

今週も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
「中の人」はウェブサイトの制作やリニューアルに携わるとき、ターゲットを決めた後はこの訴求価値の検討をします。
どんな強みを持っていて、その強みがターゲットに対してどんな価値を提供できるのかを検討し、コンセプトに落とし込みます。これが決まっていると、クライアントへの提案もスムーズですし、デザイナーなどの制作スタッフへの共有も楽になります。まぁ簡単に言ってはいますが、一番難しいところでもありますね。(笑)
さて、それではまた来週お会いしましょう。

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