【643】わり算の教え方(算数が苦手な4年生以上向け)

算数が苦手な子には、教科書の単元を
順番にさかのぼっていって、
つまづきポイントを1つずつ つぶすことを
オススメしています。

ただ、わり算が苦手な場合には、ボクは
生徒が何年生であっても、九九が苦手、
という前提で授業をしています。

*

わり算は、かけ算の逆です。
2×4=8は、8÷4もしくは8÷2ですね。

しかも、ひっ算の手順を考えると
答えとして上に立てる数字は、
九九で推測していきます。

だから、わり算が苦手な人は
九九が苦手な子だと思っています。

九九ができても、2ケタのかけ算が
苦手な子もいますが、ここは
あまり大差ないと思っています。

今日は、そういう前提で
わり算の教え方を書いてみます。

小学4年生以上が対象ですが、
2年生、3年生であっても、将来、
こういうことがありうるんだと
参考にいただける面もあると思います。

例えば、九九やかけ算に時間をかけること。
かけ算がある程度できるからといって
じゃあ次はわり算だ!とすぐに
すすまないほうがいいこともあります。

*

ステップ①

わり算が苦手な子に、
九九やかけ算を復習してもらうには
100マス計算をオススメしています。

学習プリント.com

参考:学習プリント.com

100マス計算はムダだという意見も
ありますが、ボクは使っています。

理由は、タイムと正答率で
成長を実感させやすいからです。

多くの子は、すぐにタイムがあがります。
2~3回もやれば、慣れて、
その日のうちにタイムがあがるから
やる気もあがります。
宿題として出しても、1日1枚なら
2~3分なので取り組みやすいです。

目標タイムは、4年生以上なら、
1マス1秒、全部で1分40秒です。

だけど、ボクはこのタイムには
こだわっていません。
柔軟に目標タイムを決めて
くり返し練習してもらっています。
最初にやってみて3分かかる子なら
目標は2分30秒などにしてみたり、

また、九九が、本当にできなそうなら
20マスや30マスからスタートすることも。

このとき、「普通は100マスで1分40秒だ」
とは言いません。
子供に聞かれれば答えるけど、
決して責めないようにしています。
1分40秒くらいかな、とぼかします。

子供の性格にもよりますが、
目標達成が好きな子や、高すぎる目標にも
折れない子なら、最初から1分40秒としても
いいかもだけど、そういう子には
ボクはあまり会ったことがありません。

多くの子が、「あ、ムリだ」と気づくと、
やる気がだだ下がりになります。

また、高すぎ目標にも突っ込でける子は、
そもそも2年生の段階から、
九九を極めているように思います。

あとは、「答えがゼロ」も大切です。
理由は後述しますが、ゼロをかけると答えがゼロになるという暗記も、わり算には大切です。

100マス計算はありがたいことに、
無料でダウンロードできます。
「学習プリント.com」「ちびむすドリル」がオススメです。


②わり算の100マス計算をはじめる

かけ算の目標タイム1分40秒が、すぐに達成できれば、わり算をスタートします。

タイムが達成できなくても、
かけ算ばかりが続けば、たいていの子は
すぐに飽きてきます。九九は2年生なので、
不満もあるのでしょう。

そういうときは、わり算もまぜていきます。
ボクは、タイムより、かけ算に飽きてきたらわり算の100マス計算も始めていきます。
かけ算とわり算の同時平行です。

答えが1ケタで あまりのでないものです。
つまり、九九の逆のわり算です。
わり算も九九くらい暗記できるといいので、
100マス計算は有効だと思っています。

このとき、声に出させると良いです。
かけ算のときから声に出させてもいいけど、
わり算は特に重要だと思っています。

かけ算は九九のときに声を出しているので、
音がしみついています。
100マス計算のときも、おそらく
頭のなかで音を再生しています。

でも、わり算はやっていないはずなので、
15÷5を見た時に、音が出てこない。
九九の「さんご じゅうご」と結びついていなくて、覚えられていないように思います。

英単語も一緒ですが、書くことと声を出すことで、二重のアウトプット効果があります。
わり算も読みながらがいいと思っています。

ただ、わり算の計算プリントは
前述のサイトにはないようなので、
別サイトを探してください。

③計算問題に取り組む

上記①②をやりつつも、学校や塾から
別で宿題を出されます。そういうものは、
極力、ひっ算を書かせるようにします。

2ケタ÷1ケタや、3ケタ÷1ケタなど
72÷8のようなものでも、あなどるなかれ。
暗算できそうなものでもできる限り書かせるようにする

これが瞬時にできないから、
ケタ数が大きいひっ算で
あたりを付けられず、困ることになります。100ます計算が、1マス1秒でできるなら不要かもですが。

特に、余りのでるわり算には、有効です。
暗算で、わり算をして、その答えを覚えながら、引き算して余りをだすには
算数が苦手な子には、大変な作業だと思っています。

ここは、現在の教科書と異なるかもしれません。
普通の教科書では、こういった計算では
まだひっ算は習いません。たいてい、答えが2けたになるときです。
九九の逆を覚えさせるという理由があるのかもしれません。

ただ、注意が必要なのは
子供一人だと嫌がることです。
書くのめんどいですのもんね。
大人が横についているときだけでも書かせるようにすると変わります。

なお、ひっ算の教え方については
後日また別記事をあげようと思います。

④ゼロの計算

わり算のよくあるミスに、「ゼロの書き忘れ」があります。

32÷3が、10あまり2ではなく
1あまり2という答えになったり

329÷3が、107あまり2ではなく
17あまり2になったり

このミスの対策として、
ボクは答えがゼロになる計算を教えることを
おすすめしています。

かけ算なら、前述の①のところでやります。

なので、ここでは、2÷3とか、
数字はなんでもいいのですが、
左の数字のほうが小さくなるわり算です。

分数で答えるのではなく、
あえて、ゼロあまり2と教えます。

できれば絵や実物を見せてあげると良いです。2個のチョコを3人で分けるなら?

昨日の記事にも書きましたが

わり算の原則である、
・1つ1つを同じ数で、
・分けられるところまで分ける
この2つの条件を満たすためには、

ジャンケンで勝った2人だけがチョコを
もらって1人が悔しがるのはよくないです。

現実ではそうするかもしれませんが、
わり算を教えるときには、全員がゼロ個。
あまり2個になるという意識が重要です。

ただ、チョコを使うと、
チョコ1つを、3つに分けるという
ステキな発想をする子がいます。
その子の考える力を否定したくないし、
分数の考え方としては必須の発想ですので

もしチョコを例にしたときに、
このステキな発想が出てきたら
否定するより、次の例として、
ペンのように物理的に割れないもの、
もしくは、カブトムシのように
割ると大変なことになるものを使うといいかもしれません。

子供によっては、
ペンくらいなら折ろうとしますが、
カブトムシは「割ると大変だぞ」と言うと笑ってくれたりします。
教えるときには、笑いも大切ですから。


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