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サブスク以外のビジネスにも「カスタマーサクセス」を浸透させる方法

カスタマーサクセスは、サブスク以外には関係ないの?
カスタマーサクセスの話をしていると、そのような話題もあがってきます。たしかに、サブスクリプションビジネスの台頭によって、カスタマーサクセスは広く普及しているとも言えるので、そうではないビジネスには適さないのか、という疑問も沸くと思います。
そして以前のnoteでは、サブスクリプションビジネスとカスタマーサクセスについて書いていて、関係性が深いこともお伝えしていました。

カスタマーサクセスは、サブスク以外には関係ないのか?今回は、「カスタマーサクセスの概念が浸透していく中で生じた誤解」について書こうと思います。

※まずは、カスタマーサクセスって何?などを知りたい!という方は、"カスタマーサクセスの「いろは」がわかるサイト"で解説をしていますので、ぜひこちらもご覧ください!

▼CSのいろはがわかるサイト【カスタマーサクセス for Succession】▼
「カスタマーサクセスとは?」

https://customer-success.virtualex.co.jp/about.html

カスタマーサクセスの浸透と生じる誤解

カスタマーサクセスは、もともと自社の提供するサービスを継続的に改善・高度化することで、顧客の期待にこたえ続け、それによって顧客のビジネスを成功させ、そして自社の成功にも寄与するものとされてきました。アメリカで生まれたこのカスタマーサクセスの概念は、日本でも徐々に浸透してきて、積極的に導入する企業も増えています。

そして、このような概念が浸透してくると、いくつかの誤解も生じてきます。誤解されやすいポイントは3つです。

①カスタマーサクセスは、サブスクリプションビジネス以外には関係ない?②カスタマーサクセスは、ポストセールスフェーズだけ考えればいい?
③カスタマーサクセスは、専用のツールがあって初めて開始できる?

今回は、この3つのポイントをひも解いていきたいと思います。

ポイント①「カスタマーサクセスは、サブスクリプションビジネス以外には関係ない?」


最初に答えを言ってしまうと、「No」だと言えます。
いわゆる「売り切り型」のビジネスモデルでは、売ることが目的なので、売れた後の製品やサービスの利用状況を追跡し、データを蓄積することは難しいかもしれません。しかし、ビジネスモデルの種類を問わず、リピーター獲得は、企業を存続していく上で非常に重要な要素です。そのため、カスタマーサクセスは今、サブスクリプションだけではなく、様々な事業展開に応用されてきています。

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たとえば、新規営業重視型の企業の場合、既存顧客のリテンションのために新規部署を立ち上げるなど、顧客との向き合い方をひとつ見直すだけでも印象が良くなり、リピーターや見込み客の増加につながります。そうして顧客をつなぎとめて、信頼関係を構築することで、アップセルやクロスセルといった成果を上げられます。
どのような事業を展開している企業でも、カスタマーファーストであらゆるサービスや業務、システムを設計し直してみることが必要です。その結果、今までの売り切り型のビジネスモデルだったものがサブスクリプションに移行する可能性も出てくるかもしれません。

ポイント②「カスタマーサクセスは、ポストセールスフェーズだけ考えればいい?」


これも答えは「No」です。
なぜかというと、カスタマーサクセスの原則には、「正しい顧客に販売しよう」というものがあり、その原則を守るためにはポストセールスだけではなく、プリセールスの段階から準備をしておく必要があるからです。その中心的役割を果たすのがカスタマーサクセスマネージャー(CSM)です。これを営業部門の直下に置いて、営業部門やマーケティング部門、カスタマーサポート部門、R&D部門などと連携しながら、見込み客に最適なカスタマージャーニーやCXを経験してもらう必要があります。
※カスタマーサクセス「顧客の成功」10原則(前半)についてはこちらから

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正しい顧客を獲得すれば、自社のビジョンやコンテンツ、従業員や提携会社、顧客のオンボーディングを磨き上げて、自社の事業を正しい方向に進ませてくれます。ただし、そのような顧客を獲得するためには、早めにリスクを表面化できる仕組みとプロセスを構築することが前提となります。仕組みづくりをスムーズに行うには、前もって社内に「正しい顧客獲得に取り組む」というメッセージを発信し続けることが大切だと考えます。

そういう意味では、カスタマーサクセスの成功は、プリセールスの段階からいかに社内調整を含め入念に準備をしておくのかにかかっています。正しい顧客に最適なCXを提供し伴走し続けられるよう、新規顧客の獲得を行っているマーケティング部門や営業部門との認識をすり合わせて、共有し続けることも大切です。

ポイント③「カスタマーサクセスは、専用のツールがあって初めて開始できる?」


カスタマーサクセスは顧客データを構築したり、顧客行動を分析したりする専用のツールが必要という認識をされることもありますが、これも「No」です。

顧客の購入価格や頻度に合わせて、顧客の接し方を変えることが必要です。購入価格や頻度高いロイヤルカスタマーに対しては、人的コストをかけてでも直接会うなどのコミュニケーションを取ることが顧客満足度を維持するためにも大切だと思います。しかし、購入価格や頻度があまり高くない客層や見込み客層に対しては、かけられるコストやリソースが限られているため、テクノロジーにどうしても頼らざるを得ない部分もあります。そのために、MAやCRM、カスタマーサクセスツール(以下CSツール)、BIといったツールが豊富にあれば必要最低限の手間やコストだけでテクノロジーを駆使して顧客とコミュニケーションを取る「テックタッチ」がより一層しやすくなると考えられます。

図4

※以前のnoteで「顧客価値ごとにアプローチ方法を階層化したタッチモデル」を、テクノロジー活用を前提として、顧客に対する最適なアプローチ方法を選択することも大切であることを、ご紹介していました。
詳細はこちらから

しかし、様々な理由からテクノロジーを駆使した顧客とのコミュニケーションが難しい場合もありますが、テックタッチ以外にもやれることは多くあります。

まずは「全社を挙げてカスタマーサクセスに取り組む」という決意を社内に打ち出し、個々のスタッフがカスタマーサクセスが何かを理解して、日々の行動に反映できるよう、オンボードさせることが先決です。そのためには、マーケティング部門・営業部門・カスタマーサポート部門・R&D部門などの各部門が、顧客のビジネスの成功をイメージして、それぞれ施策を検討することが大切です。
特別なツールがなくても、たとえば、

<すぐに始められること>
● 契約開始/製品納品したお客様にフォローを定期的に行う
● イベントや新製品の情報など有益な情報をメール配信する
●  Webサイトを更新して、掲載している情報を最新化する

といったことは、すぐに始めることができます。

そして、CSツールがなくても、顧客のフォローメール配信などを効率的に行うためにMAやCRMなどのツールを導入している場合は、それを疑似CSツールとして活用してみることもできます。
それらを駆使して、カスタマーサクセスに必要な顧客のセグメントを分け、その中で社内にあるテクノロジーを活用して対応すると決めた顧客に対してはメール等でフォローし、リテンションやリアクションを見ることができます。また、アップセル・クロスセルを狙った新製品・サービスなどの情報を掲載したリコメンドメール等を配信するなどの方法も考えられます。それらのテクノロジーは、ハイタッチ層やロータッチ層への対応に一部利用することも可能です。

カスタマーサクセスをまずはライトに始めたい場合は、カスタマーサクセスに使える既存のツールが多少でもあれば、その範囲で始めると良いと思いますし、ツールが全くない場合でも、できる範囲で顧客のエンゲージメントを高める施策を考えることから始めてみるのも良いと思います。フォローメールなどをすでに実施している場合は、既存ツールに工夫を加えてその作業を効率化する方法も考えられます。

さいごに

今回は、バーチャレクス・コンサルティングのtkが、サブスク以外のビジネスにもカスタマーサクセスを浸透させる方法について書いてみました。

カスタマーサクセスの本来の目的は、顧客(カスタマー)の成功なので、提供する側は「顧客起点」となって顧客にどのような価値を提供し、伴走支援するのかを検討・実行し続けることが大切です。
サブスクリプション型ビジネスではなくても、そして専用ツールがなくても、はじめにカスタマーサクセスという概念を企業全体が理解して、顧客エンゲージメントを高める施策を考えることから始めてみるのはいかがでしょうか。

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https://customer-success.virtualex.co.jp/
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