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考え過ぎなら、旅に出よ①

最近、考え過ぎてしまうことばかりで、すっかり疲れてしまった。
そんな頭の中をスッキリさせたく、一人旅に出ることを決意。
「全然知らない土地の海を見たい」
という思いつきで遥か南の彼方へ行くことに。

新幹線で移動し、レンタカーに乗り換えた。
旅の始まりは、流行りのドーナツ屋さん。
開店前に並んだので、焼きたてほわほわの生ドーナツを買うことができた。
一口食べて思わず、
「うっま…!」と一人呟く。
卵多めのもちもち甘めの生地。揚げたてサクサクな表面には岩塩がふりかかっていて良いアクセント。


これは素晴らしい旅になる予感。
ふわふわした気持ちのまま車を走らせる。
私は車で旅に出るのが好きだ。
自由にどこへでも行けるし、目に入った気になるお店に立ち寄れる。
事前に作成したプレイリストをかけながら、ご機嫌に鼻歌を歌って運転するのも楽しい。
これは、おひとりさまの特権。

山道をひたすら走る。
勾配の急な坂道を登ったり降ったり。
目の覚めるような夏の緑のワインディングロード。
フロントガラスいっぱいに絶景が広がっている。
運転していて、こんなにも目が奪われる景色は初めてだった。
まだ見ぬ海への期待が一層高まっていく。

2時間運転し、疲れてきたので寄り道。
歴史ある街並みを散策。
ふと目についた茶寮に入る。
キンキンに冷えた緑茶が出された。
水ではないことに驚き。
どうやらお茶が有名な土地らしい。贅沢だなぁと思いつつお茶を飲み干す。
夏の日差しで火照った体の温度が気持ちよく下がっていく。



注文していたシャケとイクラの釜飯が来た!
蓋を開けると、ほわっと湯気が立つ。
中を覗くと、脂の乗ったシャケとキラキラ光るイクラ。
しゃもじでかき混ぜるとお焦げがちらり。
心の中でガッツポーズをして一口。
美味しい…!
シャケとイクラ、この世で一番推せる親子かもしれない。

お腹もいっぱいになったので、ぶらぶら歩く。
道の脇には水が流れていて、そこには鯉が悠々と泳いでいた。
やっぱり水の綺麗な街が好き。
自然も生き物も生き生きと輝く気がするから。
お土産屋さんで、お勧めのお茶を購入して、再出発。

さらに1時間運転して、漸く目的地である海の街に到着。
本日宿泊するところは、街角にある古びたゲストハウス。
古民家特有の静謐な雰囲気が居心地いい。
歴史は感じるが、隅々まで掃除が行き渡り、スタッフの方も温かく出迎えてくれた。
またもや素晴らしいお宿を見つけてしまった。

近くの有名な温泉へ向かう。
その途中、海の見える美しい小路があった。
思わず写真に撮る。
しかし、何回撮っても、眼前の美しさを写真に閉じ込めることができない。
仕方ないので、目に焼き付けようと暫く佇む。

海を見ていたら、すっかり汗をかいてしまった。
早いところ温泉に浸かりたい。
シャワーを済ませ、
手の先でお湯の温度を確かめる。
熱々だ。
つま先からゆっくりと入る。
それから全身お湯に浸り、手足を伸ばす。
不思議と、これまでの嫌なことが思い出せなかった。
温泉は人を前向きにするらしい。
お湯で心がじんわりと温まってゆく。
今ここに生きているという感覚だけ残り、ふつふつと生きる力が湧いてくる。

温泉でサッパリした後は、一人呑み。
地の物を味わえるバルへ。
創作海鮮料理とお酒が合うこと合うこと。
そこでしか獲れない貝のバター醤油焼きが、凄く美味しかった。
常連さんと店員さんのやり取りをBGMに、黙々と食べる呑む。
適度に放っておいてくれるお店はありがたい。
ただただ味に浸れるから。 



夜の海沿いを歩き、漣の音に耳を傾けながら、ほろ酔いでお宿へ帰った。
もう大満足の一日目。

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