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久方ぶりのミュージカル

先日、ボイトレのトレーナーさんが出演するミュージカルを観に、中目黒まで行ってきた。
中目黒と言えば、数年前、友人とランチを食べに出掛けて、有名な桜を見た時以来。
結構な時間がかかったはずと思い、検索してみたら、確かに2回乗り換えはあるけれど、さほど時間がかからないことを知り、自分の記憶のいい加減さに苦笑してしまった。
昼と夜公演がある日で、Wキャスト制。トレーナーさんは、昼の部の出演だった。年に数回、音楽会やミュージカルに出ていて、今ままでは観に行く機会がなかったけれど、今年は、観に行こうと思い立ち、チケットを取ってもらった。
劇場は、中目黒駅から歩いて10分もかからないところのキンケロシアター。随分前に、愛川欽也さんとうつみ宮土理さんが建てた劇場で、外観はシンプル、内部は椅子が大きめに設られるなど、工夫されていて、観やすい劇場だった。

トレーナーさんの役どころは2番目
元彼に未練のある女性数人が、ある人の勧めである神社に出かける。
途中で邪魔が入り、最後までお祈りできなかったせいで、いろいろなものに取り憑かれてしまう。
除霊をしてくれる人と出会い、指定された場所に集合したみんな、すべてが終わるまで話してはいけない、笑ってはいけないなどの約束事があったが、守れない人ばかりで、怖い思いをする。
が、その最中に、ある女性が気づき、元彼に執着しているのは自分。憑き物に取り憑かれたのも、自分が原因、もう元彼のことは手放そうと気づいたところで、呪縛は解かれ、以前の女性たちに戻ったというストーリー

オカルト的ではあったけれど、最後の問題は自分にあった、古いものに執着するにはやめよう、前を向こうと決心するところは、今、まさに元カレや元カノと復縁したい、未練がある、などという人や、なかなか以前の自分から変われないともがいている人にとっては、自分のことを言われたように感じたのではないだろうか。そうでない人にとっても、執着しないことの大切さを教えられたのではと感じた。

あまり広くない舞台ではあったけれど、ダンスに歌がふんだんに盛り込まれていて、熱気がここまで伝わってきた。

現代的なところでは、ゲイが元彼を忘れられないという設定で、実際に髪をピンクに染めた人が、低い声で話したり歌っていた。その人が、ダンスに定評があるのか、ブレイクダンスや何度もターンをして見せてくれた。
歌うときも、ゲイっぽい歌い方をして声も中性ぽい声。
実際は、ストレートの人だそうで、セリフはもちろん、歌声までゲイを連想させていて、どうやってその声を出しているのだろう、声帯や発声の仕方はどうなっているのだろうと、作品以上に、それが気になった。

ボイトレをしているせいか、ステージのお芝居を追うより、一人一人の歌声や歌い方に、ついつい集中してしまう。
十数名いる中で、一人として同じ声はなく、高い声で力強い、高い声で細い、中音で通る声、低めで通る声など、実にさまざま。今まで舞台を観ていた時は、同じように気づくことはあっても、どんな声の出し方をしているんだろとか、どうやって普段の話し声とは違うトーンでセリフが言えるんだろうなど、考えながら耳をダンボにして聴いていた。

二時間半のステージが終了して、帰るという段になって、タクシーを呼ぼうか考えたけれど、劇場の人に聞いたところ、わかりやすそうだったので、歩いて中目黒駅まで行ってみることに。
途中で、目新しいレストランや、雑貨の店を見つけたけれど、ここで入ってしまうと、また迷ってしまって、帰れなくなると断念。
思いのほか、駅まで近くて、助かった!

昔々は、劇団四季や、明治座など有名な劇場ばかり行っていたが、戯曲を数年学んだことがきっかけで、小劇場にも足を運ぶようになった。先だっての友人の演劇も小劇場だった。展開に道具を入れ替えたりするのに、クエ王するけれど、こじんまりして、俳優さんたちの熱気や、その芝居を熱心に観るお客さんの息遣いも感じられて、小劇場の良さに気づかせてもらった。


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