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小さな命

あれだけダメと言ってあったお祭りの金魚が突如我が家へ来た
連れて帰ったは良いものの、お姉ちゃんに怒られ
バケツに入れた金魚を泣きながら眺める途方に暮れた様子の息子

仕事から帰るとそのシーンが目の前にあった

作戦会議が始まる
水槽を買わなきゃ、餌も買わなきゃ
誰がお世話するのか

真新しい水槽で元気よく泳ぐ真っ黒な出目金

小さな命をキラキラした目で追う子ども達
今日から新しい兄弟だ

お祭りはまだ数日ある
ひとりぼっちでは可哀想だと考える子ども達

2日後
赤い出目金も仲間入りした

2匹は直ぐに仲良くなり微笑ましい
自由自在に泳ぐ

最初は覚えてくれない餌も食べに来るようになり
名前もつけて愛着が湧いていく
何度も声をかけ愛でる

2匹になり2日が経った

夕飯前に餌をあげに行く息子
大きな声が聞こえる

赤い出目金が動かなくなっていた
2時間前は元気にしていたのに

黒い出目金は動け動けと言わんばかりに
赤い出目金を頭で一生懸命押していた
尾びれの間に入ってみたり押してみたり
赤い出目金の周りを回っている
どんなに押しても動かない

息子は夕飯が喉を通らず
数日間の愛くるしい姿を思い出して涙が止まらない

外は暗かったが
その日のうちにお墓を作りたいと。

庭のジューンベリーは今、沢山の実をつけていて
小鳥やカラス、虫が遊びに来る
その木の根元に入れてあげる事にした

一緒に泣きながらシャベルで穴を掘って
可愛い可愛い赤い子を
また沢山泳げるようにお水いっぱい入れて
土をかぶせた

その後どうなるのかを息子が心配する

明日の朝になったら悲しい事全部忘れていたい
そう言った

子どもが忘れたいと思うほど傷付いてるのは
十分に理解できた
ただ命を都合よく忘れる事は出来ない
心が痛いと言うのは大事に思った証拠
大好きになって嬉しかったね
うちに来て楽しい2日間だったといいね

命のお話をする

あの子は土になり
木になり花になる
また実をつけて
鳥や虫が頂く
命は繋がる
周りの土になれば野菜が育ち私達が頂き命に繋がる

命は繋がり回り続ける
全てが回り続ける
生きるとはそういう事

命を預る
覚悟を持ち最後まで大事にする

今朝もカラスが実を食べに来ていて
合間にすずめ達の姿も見える

命の輪廻
木の近くにはカサブランカが満開

小さな命が教えてくれた命のお話





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