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時間で従業員を縛る時代は終わっている

一時期「みなし労働」という言葉が出て、社会的にも色々な意見やニュースが飛び交いました。みなしという言葉に若干のネガティブなイメージが付いてしまっていたのか、きちんと定着しませんでしたが、実際にはこの「みなし労働」という労働基準法の改定のタイミングは、世界の流れをしっかり掴んでいたものと言えます。

最近では「働き方改革」と叫ばれ、人の働き方を変えねばならないことだけははっきりしていますが、実際のところ何が働き方を改革できるのかは、明確になっているとは思えません。色々な働き方改革の方法や手段が議論され実践されていますが、人の働く時間という視点を少し考えてみましょう。

勤務する時間とは、どういうことなのでしょうか。経営者や管理職から見れば「会社の仕事だけをしている時間」という感覚はあるでしょう。いわゆるお金を払うことでの拘束時間という概念です。基本的に1日8時間週5日間というのが今の標準かと思います。しかし、この8時間を連続して拘束するという働き方は、日本の外の国ではもともと持ち合わせていなかったり、最近のITの力でその連続拘束をやめている会社や国がたくさんあることをご存知でしょうか。

その概念を説明します。現在、お仕事でPCや携帯端末が必要な方は大勢いるはずです。セキュリティなどがしっかりしている前提で、論理的には、家でも電車の中でも仕事のメールに返事をしたり、プロジェクトのファイルを完成させていたり、エクセルなどへの打ち込みなどをしていたりするかもしれません。そうした時間は、仕事をする業務時間ですが、最初に出てきた「みなし労働」というのはこうした時間を仕事をしている時間として細々履歴を取ることは煩雑で難しいので、みなしましょう、という概念です。今、日本で働いている皆さんは、週末のお休みにメールを返事したらその分の時間をみなされていますか?電車の中でメールを確認したり、カフェに座っているときにPCを開いて仕事の作業をしたらその時間をみなしてもらえてますか?ほとんどの場合、答えはNOであると思います。しかし、そうした時間はお金よりも大切なあなたの時間であり、家族がいる方は家族との時間でもあるのです。こうした時間を企業が仕事のために奪うことは、許されたことではありません。ですから、みなし労働という言葉が出てきたこと、そして働き方改革が叫ばれているのです。

一方、学校の先生や病院のお医者さんなどお仕事で時間が拘束されることが避けられない人たちもいます。今のITの進歩をみてみると、VR(バーチャルリアリティ)やPCでのビデオ通話などの進歩が急がれていますが、全てはこうした人たちの働き方を救うために開発が急がれています。VRを利用して遠隔診断や手術ができるように、いつかお医者さんが自宅にいながら手術を行う日が来ると思います。

アメリカの例では、基本的に家族の事情(子供の授業参観や、家族の病院の付き添いなど)でオフィスにいられなくても、有給休暇を消化するのではなく、リモート、自宅から仕事をしていることをみなし労働としてお給料を支払います。拘束時間がある職業のみに残業手当てというものがつくシステムです。

今の日本で働いている方の中で、どれだけの人たちが出退勤の届け出を会社に提出しているか考えると実はとても恐ろしい状況になっています。ほとんどの方が出退勤の届け出を会社へ提出しているでしょう。タイムカードの打刻をしている人もいると思います。でも、その届け出以外の時間で携帯やPCで仕事関連のことをしていることはありませんか? 考えてみれば、こうした時間での職場拘束というのは、すでに終焉を迎えていて、ITの力で社会の人に幸せな時間を返していくというのは世界の流れなのです。経営に携わっている人も、管理職であっても、そして一般社員の方でも、このことを意識して変化を求めていく必要があります。逆に言うと、こうした変化に対応できない会社はゆくゆくは働いてくれる人材が入社して来なくなるか、または求めた能力に届く人が入社してくれることがなくなってしまい、結局は会社の行方を左右してしまう事態に陥ること間違いなしです。

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