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希望の第一歩のお手伝い

昨日、1冊の本が産声を上げた。
リスさんの『大吉』だ。

『大吉』(リス作)
『大吉』

この帯にあるとおり、リスさんは難病を宣告され、余命10年という。
僕には想像することのできない大きな病。

そんなリスさんから、これまでnoteに書きためたものを一冊にまとめたいと依頼があったのは昨年の年の瀬だった。
一人娘のために形に残したい、ということだった。
その依頼を受け、うまく二人三脚が組めるだろうかとまず思った。

出版に向けた編集作業は、著者と編集者の二人三脚だとこれまでに何度も書いてきた。
どんな辛く苦しい思いをされているのか分からないリスさんに、僕はどんな声をかければいいのだろう。
原稿をブラッシュアップしていく過程で、僕はリスさんにどんな叱咤激励をすればいいのだろう。

でも何通かメールを交わす中で、リスさんの「特別扱いしてもらったらマズい」というひとことを見て僕は決めた。
僕はいつもの僕のままでリスさんに伴走しようと。
原稿にはふつうに朱を入れ、ふつうに直し、ふつうに本にする。
それがリスさんの望む形であり、僕ができる唯一のことなのだ。

そうと決めてからは早かった。
リスさんの体調がすぐれないときは、校正が戻ってくるのが少しゆっくりになることはあった。
でもそんなの大した問題ではない。
リスさんが原稿と向き合うさまがネットの向こうに見えたのだ。

さらにリスさんは『大吉』というタイトルに前半生の思いを込められ、「私の人生は、大大大吉でした」と評された。
本文中の病に対する考え方に僕は励まされ、リスさんが表紙にと選んだまばゆい画像には、歩を進めて向かう未来しか感じない。
ならば、リスさんの今後がさらなる吉にあふれるよう、希望の第一歩のお手伝いがしたいと走ってきた。

そして3か月——
『大吉』が、昨日ついにKindleに並んだ。
「出版は大きな目標だった」とリスさんは言う。
その大きな目標をなしとげたリスさんと、お手伝いした僕は、応援席で大きな声援を送ってくれたみなさんも羨むような、みごとな二人三脚ぶりだったのだろうと今になって思う。

リスさん、おつかれさまでした。
最後のドタバタもやっぱりあったし、少しゆっくりお休みください。
で、次の目標は何にします?

『大吉』は、本日の夕方あたりから数日間無料キャンペーンをするとのことなので、ぜひそのキャンペーン中にお求めいただき、レビューを書いていただけると嬉しい。

本日20時から音声配信〈スタエフ〉(stand.fm)で本書の告知がある。
昨年『さぼてん煮』でKindleデビューを果たしたさぼてん主婦さんの「ふ・き・だ・すラジオ」という番組内で。
僕もちょっとだけ出演するので、よかったら聴いてみてほしい。

へんいち文庫、全6冊に!
・リスさん『大吉』(2024/3/22)
・ジェッツさん『無職になった父さん それでも父さん』(2024/2/24)
・なちさん『有名人との恋愛体験記』(2024/1/15)
・ゆきママさん『男の子4人絶叫系育児』(2024/1/8)
・さぼてん主婦さん『さぼてん煮』(2023/12/21)
・菊地早秋さん『ヤギと家族になる』(2023/8/10)

(2024/3/23記)

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