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歴史ある街は、食の楽しみにもバリエーションがある

金沢には以前の仕事でよく行った。
〈めいてつ・エムザ〉という百貨店に毎年販売に行っていたのだ。
その名のとおり名古屋鉄道グループの百貨店だったが、今は名鉄との資本関係を解消し、屋号は〈金沢エムザ〉に変わっている。

エムザのある一帯は〈武蔵ヶ辻〉と呼ばれ、古く江戸期から栄えた。
有名な香林坊に並ぶ大きな商店街で、中でも200店舗ほどからなる〈近江町市場〉は生鮮食品が揃って賑わい、金沢の台所と呼ばれる。

市場の鮮魚店では、バックで売られた刺身のラップを外し、その場で醤油をかけて豪快に立ち食いしたりもできる。

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新鮮そのもの、これはホンマにうまい。

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金沢といえば、観光客の多くが訪れるのが〈ひがし茶屋街〉。
国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された古い街並みだ。

561_ひがし茶屋街22©金沢市

茶屋街の「茶屋」とは、喫茶店でもなければ茶舗でもない。
もともとは遊郭に端を発したが、そうした営業が禁止されると、芸妓が雅な芸で客をもてなす店だけが残り、「一見さんお断り」の社交場となった。
今なお現役の茶屋もあれば、伝統建造を活かして和菓子や工芸の店、カフェなどに改装された店も並び、金沢の一大観光地となっている。

そのひがし茶屋街に〈十月亭(じゅうがつや)〉はある。
2006年、金沢を代表するミシュラン二つ星の料亭〈銭屋〉が茶屋を改装してオープンした。

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画像15©十月亭

昼は気軽に食べられる〈竹かご弁当〉が人気だが、夜は少し改まった気持ちで懐石料理をば。

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あぁ、写真を辿るだけでお腹いっぱい。
ごちそうさま。

食後に女将が、少し見学されますか? と声をかけてくれた。

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画像14©ぐるなび

趣のある店内はさすが元茶屋だ。

そして2階の、いわくのありそうな部屋へ通された。
なんと、本妻が押しかけてきた時に旦那が逃げ隠れる部屋だとか。
茶屋ならではの粋な?はからいが見て取れておもしろい。
数々の修羅場があったかもしれないその部屋は、少し怖くて撮れなかった。

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そしてもう一つ、金沢といえばカレーだ。

〈金沢カレー〉と呼ばれるこのカレーの特長は、
・濃色のドロッとしたルー
・ステンレスの船形皿
・フォークで食べる
・千切りキャベツがつけ合わせ
・ルーの上にカツが載り、ソースがかかる

こんなのだ。

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見たまんま濃厚な味わいがやみつきになる。
1週間ほど滞在した金沢出張では、ランチに何度食べたか分からない。

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茶屋街で懐石料理かと思えば、市場で刺身を立ち食いしたり、チェーンのカレーショップでドロッとしたカツカレーをハフハフしたり。

歴史ある街は、食の楽しみにもバリエーションがある。

(2022/7/6記)

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