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神戸の文明開化がギュッと詰まった街、元町

元町散歩に出かけた。
前回歩いた記事は4/19の投稿、もうひと月以上も経っている。

神戸の繁華街である三宮と元町は、隣接しているが趣きの異なる街。
三宮は新しい若者の街、元町は歴史ある大人の街。

日本初のアーケードは昭和28年に元町商店街に完成した。

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このアーケード入口の左のビルにある「国際楽器」が中学の頃、バンドのセッションでよく通ったスタジオだ。

朝早かったので人出はまだまばら。

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向かったのは「元町サントス」。
前回「エビアンコーヒー」に寄ったと書いたら、くなんくなんさんがコメントで「落ち着いたらサントスのホットケーキを食べに行きたい」と。
サントスは行ったことがあったのだが、ホットケーキが有名とは知らず、そのコメントを見てからは、なんとしてでも行かねば状態になっていた。

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元町サントスは昭和35年オープンの老舗・純喫茶。
コーヒー豆はこれも神戸の老舗・萩原珈琲(昭和3年創業)のもの…というか、この元町サントスは萩原珈琲の数少ない直営店だ。

2Fの席に腰を落ち着け、元町商店街を見下ろす。
サントスのブレンドはとてもスッキリしていて飲みやすい。

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そして、くなんくなんさんオススメのホットケーキ登場。

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これはうまい! 口に入れてすぐ分かるフワフワ感。
なんでも、1日寝かせた生地を、ステーキ屋のような大きく分厚い鉄板で、1枚ずつフタをかぶせて水分が飛ばないように焼くらしく、それだけ丁寧に作られればおいしいのも頷ける。

店内は落ち着いた時間がトロンと流れる。

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サントスの斜向かいには、これも神戸の老舗喫茶「にしむら珈琲店」。
こちらは昭和23年創業で、さらに古い。

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そして西へ3分ほど歩くとあるのがお茶屋「放香堂」。

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放香堂は天保年間に京都で創業した宇治茶の老舗で、幕末に神戸が開港した際、宇治茶を神戸港から世界に輸出するため神戸に進出。
同時にコーヒーの輸入を始め、にしむら珈琲店よりさらに70年も前の明治11年、日本で最初の珈琲店をオープン。
しばらく珈琲店は途絶えていたが、平成27年にお茶屋の隣にみごと復活。
ここは「珈琲」ではなく「加琲」と書くようだ。

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放香堂(商店名簿『豪商神兵湊の魁』・明治15年)

元町はコーヒーの街。

ちなみにデパ地下でおなじみの、ゴーフルの神戸風月堂(明治5年創業)、エコルセの本高砂屋(明治10年)、バウムクーヘンのユーハイム(明治42年)の本店も徒歩3分圏内にひしめく。

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元町商店街は、律令時代から続く山陽道。
今は近代的なビルが並ぶが、幕末から昭和初期にかけてはハイカラな店舗が建ち並ぶ賑やかな往来だっただろう。

神戸の文明開化がギュッと詰まった街、元町。

(2021/6/10記)

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