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一晩だけ残るぼんやり赤い温もりの記憶

僕はまだサンタクロースを信じている。
そんなバカなと思う人は思えばいい。
僕はただサンタクロースを信じているのだ。

もちろん子供の頃は半信半疑だった。
家中、プレゼントが隠し置かれていないか兄と徹底的に探したこともある。
絶対に見つからないでほしいと願いながら。
しかしどれほど捜索しても見つけた例しがない。

プレゼントはいつもクリスマスの朝、枕元に置かれていた。
なのに、あるイヴの夜、今サンタクロースが玄関に来て預かったとプレゼントを母が部屋まで持ってきたことがある。
えーっ! なんで呼んでくれんかったん! と大泣きしたりもした。

確か中1くらいまでプレゼントが届いていた。
しかし、お願いするものが年々高度化したことがどうやらサンタクロースの負担になったようだ。
もうこれ以上は用意できないので、あとは両親からもらってください、との手紙を最後にプレゼントは届かなくなった。

あぁサンタクロースなんてやっぱりいないんだ…とはこれっぽっちも考えず、サンタクロースの仕事は小さな子供におもちゃを届けることなんだ、と心から反省した。

サンタクロースって親やろ? とは小3くらいからクラスでは話題にのぼっていたが、僕はそれを裏付ける何かを見たこともなく、親から実は…と聞かされたこともない。

幼き頃のサンタクロースの温かさを書いた9年前の記事がある。

赤い服を着た白髭のおじいさん、なのかはもう分からない。
青白くひんやり冷たい冬に、一晩だけ残るぼんやり赤い温もりの記憶。
それを思い出すとき、心がほわっと温かくなる。
それが僕のサンタクロースだ。

メリークリスマス!

(2021/12/25記)

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